見出し画像

エクスパンス-巨獣めざめる- シーズン3(2018年/アメリカ)感想 話の規模観一気にバグるけどしっかり着地はする三作目。

2019/7/31に「趣味と向き合う日々」へ投稿した感想記事の再掲加筆修正版です。

初見時はシーズン3はかなり厳しい目で観てたんですが、今観返すと中々面白くて、今回の感想記事では意見を改めた箇所が本当に多くなってしまいました。元記事は上の「趣味~」のリンクで見れます。


地球、火星、ベルターの対立構造と、プロト分子を中心とした外宇宙文明の謎、この2つの大きな軸の本筋にいよいよ切り込んでいく「待ってました感」満載なシーズン3。

〘エクスパンス-巨獣めざめる-』

(The Expanse)

エクスパンス3

画像引用元:Amazon https://www.amazon.co.jp

前シーズンの感想記事↓↓↓


以下、一部にシーズン3全体のネタバレを含む感想記事です。



■ストーリー


人類同士でいざこざを続けようとしてたらいつの間にか太陽系が消滅寸前で大混乱へ。


■内容

シーズン3も大きく前半後半で話が分かれます。


前半はシーズン2からダイレクトに繋がる内容で、火星と地球の戦争から物語が始まります。

ロシナンテ号はプロト分子の反応を追いつつ、プラックス(シーズン2の後半から登場する植物マニア)の娘探し、アヴァサララは暗殺されかけたりしながら色々政治家らしい立ち回りを披露、後にドレーパーと合流する感じです。

そしてロシナンテとアヴァサララ達も合流して、プロト分子の破壊が戦争を止める事に直結すると知り、戦争を阻止すべく奮闘するといった流れ。

シーズン2が後半戦からは怒涛の展開の連続で幕を閉じたので、勢いをそのまま引き継いで猛進するかのような、密度の濃いストーリーの連続でした。


シーズン3後半は、プロト分子が本気を出しすぎちゃった結果、文字通り異次元の構造物"リング"が出来上がってしまっていよいよ何が起こるのか分からないやばい的な内容。

リングに興味津々な人類ちゃんが場当たり的コンタクトを繰り返しながら破滅と共生の狭間で勝手に揺れまくるっていう、とにかくこれまでのエクスパンスとは良くも悪くも大きく違う展開の応酬で個人的にかなり印象的な内容でした。


■感想(ネタバレあり)


前半のハイライトはやはり地球と火星の両陣営の艦隊が集結し一触即発状態になる辺りでしょうか。一触即発というか、勝手に自滅する地球陣営に冷たい視線を送る事になるんですけど。

宣戦布告を無事に済ませ、いつでも戦闘可能な限界ギリギリの状況ですが、ロシナンテ号やアヴァサララ達の活躍によってアーリンライト国連事務総長の陰謀が暴かれ、それを知った両陣営の一部の人間が、なんとか戦闘を回避できないか画策したり交渉し狂ったりするハードコア政治バトルドラマが繰り広げられました。


地球艦隊の元司令官であるサウザーは陰謀を知り、現司令を務めるグウェンに対し反乱を起こしますが敢え無く失敗、更にグウェンの暴走によってサウザーを支持した味方艦を攻撃し始め、地球陣営の艦隊は遂に同士討ちを始め勝手に消耗、その様は正に滑稽、火星軍はもちろん視聴者すら誰もが困惑する展開へ。


そんな「戦争は地獄」を自演するかのような地球艦隊の不幸は終わらず、ここへイオから発射されたプロト分子を弾頭に込めたミサイルが地球艦隊旗艦アガサ・キングに着弾、サウザーたちの反乱と併せ船内は一層混乱するという、もうわざとやってるよねってくらいのセルフ交戦回避を繰り広げてました。火星軍目線で見ると本当に地球の艦隊色々ぶっ壊れてて楽しい。

そんなこんなで混乱を勝手に極めた地球艦隊と、その間にアーリンライトの陰謀を暴き切ったロシナンテ号とアヴァサララ達の活躍によって、なんとか艦隊決戦は回避され、戦争も集結する形でオチが付きます。

ギリギリのところでなんとかアヴァさんとロシナンテ号のクルー達が惨事を防ぐという展開に一見思いますが、実際は地球サイドの謎の遅延自爆行為の賜物とも取れる結果だったりするので、最後の最後まで困惑する気持ちは残りました。




後半は、戦争終結からかなり時間が経っています。

後半のハイライトとなるのがリングというプロト分子の集合体の存在。

エロスの落下地点から謎の巨大構造物が宙域に飛来、次第にその形状を変え大きなリングを形成します。


太陽系外から飛来したプロト分子ですが、かつて別の宇宙の超文明が創り出した存在であり、そんなプロト分子を生み出した存在が、外敵との戦争の最終兵器として生み出したのがリングで、彼らはこれを用いて自らの太陽系を滅ぼしたとの事。リングの環には膜のようなものが形成されており、この膜を通過すると異次元のような空間に繋がります。

リング内では物質に制限速度が課されるのですがそれが発覚する前に、超高速でこの環の内側に突入して弾け飛ぶ青年の死に様は正に笑撃。唐突にダークな笑いを挟んでくるからねこのドラマ。「俺は今日歴史を作る!」とか言ってヤベエ勢いですげえ死ぬ。


リング内にはコアのようなものがあります。

このコアを怒らせちゃって更に速度制限された結果、内部に侵入した多くの艦が急減速を強いられ、大量の死傷者を出すほどの甚大な被害に遭い、この出来事が結果として人類の団結に繋がるんですが、状況と裏腹に結構なコント感漂っててちょっと置いてけぼり食らう部分でした。

また、リングから脱出する為に起こした核爆発にリングが反応し、核のエネルギーを敵と判定。侵入してきた艦の核融合炉にも反応して、全ての艦を敵と見なし攻撃姿勢を取るという展開もありました。

訳あってプロト分子の毒電波を受信できるようになったジムが、リングに自分達が無害だと示さないと太陽系が滅ぼされると力説します。

全艦がエンジンを停止させるとリングは攻撃を取りやめ、全艦の速度制限を解除し拘束を解いてくれる優しいリング。プロト分子の顔色を窺っている感が凄いですこの辺り。

そしてリングは無数の宇宙へ繋がるゲートを出現させ、人類の新たな繁栄に繋がる一歩を提供するという粋な一面を見せ解決へ。



これによって後半の結末、というかシーズン1からの一連のプロト分子にまつわる物語の結末は、結果としてプロト分子や外宇宙文明の恩恵によって人類繁栄の可能性が広まった、みたいな感じで締めくくられた形に。

初見時はこの結末に中々の不満を僕は覚えていたんですが、今改めて観返してみると納得する部分も多くて(後のストーリーを知っているからなんですが)、リングと共存する道を選ぶことで、戦争目的では無くいわば宇宙時代の人類のストレスを逃がしているような、そういう着地の仕方をしているように思いました。ベルターと内惑星系の格差とか、その辺りの問題を新たなフロンティアへの希望という一点で解消するようなオチ。

火星のテラフォーミング計画とかリングの登場で一気に意義が問われるような弊害もあると思うんですが、そういう目線では確かに納得できる結末かなと今は思ってます。


■〆


個人評価:★★★☆☆

人類同士の、惑星間規模の戦争とその終結から、外宇宙文明の齎した存在による人類の団結と繁栄への可能性を示す形で締めくくられたシーズン3。

初見時とはかなり印象がかわり、今観てみるとこれはこれでかなり面白い内容だと思います。

ジムが本格的にエスパ―拗らせ始めるシーズンでもありますし、次の内容に繋がる要素もてんこ盛りで、二周目の感想は率直に言って面白かったです。

ではまた。

前シーズンの感想記事はこちら↓↓↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?