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エクスパンス-巨獣めざめる- シーズン2(2017年/アメリカ)感想 このドラマの面白さが一気に見えてくる。

※2019年7月29日に『趣味と向き合う日々』に掲載した感想記事の再掲修正版です。


物語が大きく動いたシーズン2。

 

〘エクスパンス-巨獣めざめる-〙

(The Expanse)

エクスパンス2

画像引用元:Amazon https://www.amazon.co.jp

シーズン1の感想はこちら↓↓↓

以下、シーズン2全体のネタバレを含む感想記事です。


■ストーリー
 

プロト分子に支配された小惑星エロスの破壊作戦が実行された結果、新たな火種が生まれ世界が大混乱へ。

 

■内容

シーズン1から直接的に繋がる一連のエロス騒動の結末までを前半で描き、後半ではプロト分子による新たな脅威と地球火星間の緊張状態に端を発する各勢力の混乱が描かれました。

今シーズンからプロト分子が本格的にストーリーの軸になっていくイメージです。

シーズン1から描かれていた各陣営とその緊張関係に基づく常態的な危険性の、全く上をいく事態が起こり始めている事がようやく判明し始めるのも今シーズンです。


火星軍所属のロベルタ・ドレーパーが新キャラクターとして登場します。

登場当所は武骨で忠誠心が高く、いかにも堅物な兵士らしい兵士といったキャラクターで描かれる彼女ですが、シーズン2の物語を通じてそのキャラクター性がどんどん変化していく様がとても面白かったです。とくにアヴァサララとの会話の掛け合いは見所多い印象です。

アヴァサララもまた、ドレーパーとの交流を通じてどんどんユーモアの側面が強化されますし、ドレーパーの登場によって地球を離れ宇宙を駆け巡り散々な目に遭うことになるので、ドレーパーというキャラクターがこのドラマシリーズに付与した魅力は多いと思います。

 



■感想
 


エロスの破壊作戦は、ティコステーションの主でOPAの幹部的なフレッド・ジョンソン主導の元、本来モルモン教徒達の為だけに造られた超巨大な宇宙船ノーブー号を強奪して爆弾に転用し、エロスを粉砕するというモルモン教徒だけが圧倒的に不憫な作戦が展開されて笑いました。ノーブー号はとにかくデカい船で、この後のシーズンでも重要な役割を担ってたりします。
 

しかしエロスは突然超常の力を発揮してノーブー号の衝突を回避、結果破壊されること無く無傷で残されたノーブー号はモルモン教徒達に返還されるのかと思いきや、これ以降もOPAの主力艦として使われる事になります。それってもうやってる事ヤクザなんだよな。


そうして破壊を免れたエロスを阻止する為に、ミラーが孤軍奮闘する展開になるんですが、ここがもうホント、絵的にもストーリー的にも綺麗すぎてこのドラマここで終わっていいとすら思えるクライマックスを、前半5話目で迎える事になります。ここで視聴辞めても許される。

プロト分子と意識が融合しちゃったような状態のジュリーに対して、ミラーが愛のパワーでその意識を中和させてくような形でなんとか地球への衝突コースを逸らせるというもので「結局愛のパワーでなんとかすんのかよ」的な安っぽさ感じそうですが、全くそんな事は無いんですよね。

この最期に至って人類全体の危機というところから超個人的な感情の物語にシフトするのちょっとエヴァぽさも感じます。

エロス内に最後の瞬間まで留まっていたミラーは最終的に、金星に衝突したエロスと共に死亡してしまって悲しいんですが、ミラーもミラーでこの時点で完全にそのキャラクターが役割を終えるというわけでも無かったり。

 

 

そして後半、農業ステーションであるガニメデ上空で戦闘が発生、その結果ガニメデは崩壊し多くの難民が助けを求める事態に。

また、戦闘の際にスーツ無しで宙域を移動する謎の生命体の襲撃に遭った火星軍の地上偵察隊はドレーパーを残して全滅。

この一連の事件によって、地球と火星の緊張は限界まで高まる、というのが後半の大まかな話でした。後半は地球火星間の緊張と対立を中心にした政治ドラマ色がとても濃くなる印象です。

 アヴァサララと黒幕プロトジェン社および首謀者マウとの対決など、シーズン1で引っ張っていた物語の流れは殆どこのシーズン2後半で最大の盛り上がりを迎えました。

ところが、それでプロト分子問題が完全に解決するわけでも無く、新たな火種を残して無事にシーズン3へ繋がっていくわけで、この辺りはドラマらしい展開ではあります。

政治ドラマっぽさが前面に出た事もあって、アヴァサララのキャラクターが一気に引き立ってきます。ドレーパーとの絡みもあって単純にキャラの魅力も引き立ってきますし。


そして実際に災害が起きたガニメデを舞台にしたSFサバイバル的なストーリーをロシナンテ号のストーリーで描いていました。この辺りからロシナンテ号がプロト分子殲滅専門家みたいになってくるの好きです。絶対殺すマン。

植物学者の男の絡みで彼の娘を捜索しつつ、プロト分子の脅威に立ち向かうというストーリー構成は分かりやすく、それがメインストーリーの後押しをしっかりする形になるので、難解な雰囲気漂う政治ドラマパートと上手くバランスが取れていると思います。緩急のバランスが丁度良い印象です。


他にも新型核融合エンジンの開発者のストーリーがちょっと描かれたり、ロシナンテ号クルーとヒト型プロト分子との対決シーンが思いの外エイリアンチックなSFホラーテイストで描かれていたり、細かい部分でも好きな要素が多かったシーズンでした。

 

■〆
 

 個人評価:★★★★☆

 シーズン2はとにかく面白いエピソードばかりで、各勢力陣営がどのようなスタンスなのかであったり、それぞれの主役キャラ達がどう立ち回っているのかも整理され始め物語の繋がりが分かりやすくなってくるので、本格的にこのドラマの面白さや魅力が顕在化するのがこのシーズン2だと思います。

シーズン1からシーズン2の5話までで一区切り、その後はガニメデを舞台に更に想像の上をいくパワーを発揮するプロト分子と、人類同士でゴチャゴチャやってる場合じゃないのに、逆にプロト分子を兵器として所有した勢力が次の時代の覇者になりそうな空気を濃く漂わせて人類同士の対立が深まりっそうというダークな未来がチラつく重い雰囲気全開の後半ストーリー。

その密度の高さもとても魅力的だと思います。


 ではまた。

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