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『音部記号』 楽譜制作ソフト比較 5

Finale、Sibelius、Doricoで初期状態で入力できる音部記号を比べてみます。
比較の為に中央のCを入力して同じ順に並べてます。
・よく使われる記号
・古い楽譜で使用される記号
・オクターブ指示付き (11以外はあまり使用されない様です)
・パーカッション・タブ譜

図1 Finale 音部記号
図2 Sibelius 音部記号
図3 Dorico 音部記号
  1. 高音部記号(ト音記号)

  2. アルト記号

  3. テノール記号

  4. 低音部記号(ヘ音記号)

  5. フレンチバイオリン

  6. ソプラノ記号

  7. メゾ・ソプラノ記号

  8. バリトン記号

  9. バリトン記号

  10. サブバス記号 【Sibelius/Dorico】

  11. ト音記号(1オクターブ下)

  12. ト音記号(1オクターブ上)

  13. ト音記号(2オクターブ下) 【Dorico】

  14. ト音記号(2オクターブ上) 【Sibelius/Dorico】

  15. へ音記号(1オクターブ下)

  16. へ音記号(1オクターブ上)

  17. へ音記号(2オクターブ下) 【Dorico】

  18. へ音記号(2オクターブ上) 【Sibelius/Dorico】

  19. アルト記号(1オクターブ下) 【Dorico】

  20. テノール記号(1オクターブ下)【Sibelius/Dorico】

  21. パーカッション記号

  22. パーカッション記号

  23. 6弦 タブ譜

  24. 4弦 タブ譜

  25. インド太鼓記譜 【Dorico】

各ソフトでの入力画面、設定画面は

◆ Finale

図4 Finale   音部記号ツールを選択して小節内をダブルクリック
図5  >書類>ファイル別オプション>音部記号

・2段目以降の音部記号非表示が出来ます。
・段末での予告を調号・拍子記号と別に設定出来ます。
(小節ツールで段ごとに設定する場合は調号・拍子記号と共通)
・五線の途中に表示される場合の縮小率は自由に設定出来ます。
・「音部記号の設計」で新しい音部記号を作ることもできます。

※オクターブ指示のある音部記号を使用した場合は音域も変更されます。

◆ Sibelius

図6 Sibelius  >記譜タブ>音部記号
図7  >外観タブ>記譜ルール>音部記号と調号 

・2段目以降の音部記号非表示は出来ません。
・段末での予告を非表示にしたい場合は個別に非表示にします。
(段組が変更になり段の途中にきた場合は見えなくなります)
・五線の途中に表示される場合の縮小率はキュー音符と共通です。
(個別には設定出来ません)

※オクターブ指示のある音部記号を使用した場合も記譜は変わりません。

◆ Dorico

図8 Dorico
>記譜モード>右パネル

グループ分けされていて不要なパネルは閉じておくことも出来ます。種類が多くても必要な記号は見つけやすいです。

図9 
>ライブラリー>記譜オプション>音部記号

・オクターブ指示付きの音部記号の記譜を選べます。
・2段目以降の音部記号非表示が選べます。
・段末の音部記号の予告は非表示にできません。

図10
 >ライブラリー>浄書オプション>音部記号

・五線の途中に表示される場合の縮小率を設定出来ます。

■ MusicXMLで他のソフトに移した場合。

Finale→Sibelius
全部の音部記号が反映されますが
・オクターブ指示付きの場合音程が変わってしまいます。
(ノートナンバー的には同じですが、楽譜的には変わってしまってます。)
・パーカッション・TAB譜は問題ないものには変換されています。
(上記の譜例の同じ番号のものにはなっていません。)

音部記号とは関係ない部分ですが、段組は維持されていますがレイアウトは維持されていません。小節番号をクレフの識別に使用していたので抜いてある番号があったのですが、1からの連番で2段目以降の先頭小節のみに変わっています。

Finale→Dorico
音部記号に関する部分はSibeliusに移した場合と同じですが、段組も維持されていません。小節番号も連番で1小節目以外の全ての小節に表示されています。小節線は普通に表示されてしまいます。

Sibelius→Finale
Finaleに無い10番は普通のト音記号で表示されています。
・14・18・20番はそれぞれのオクターブ指示が無いクレフに変換。
楽譜として互換性があります。
・小節番号は2段目以降の先頭小節のみに変わっています。

Sibelius→Dorico
10番はDoricoにもあるのにト音記号に変わってます。
・オクターブ指示のある記号は(図9)で「オクターブ指示記号に従う」をすると正しく表示されます。
楽譜として互換性があります。
小節番号は2段目以降の先頭小節のみに変わってしまい、小節線は普通に表示されてしまいます。

Doricoでは非表示の小節線が無い為、(図3)では小節線を削除しています。そのままですとFinale、Sibeliusでは全く判読できないので小節線だけ挿入してから検証してみます。小節がないので他では小節番号で書いていた音部記号の番号はリハーサルマークを使用してかいています。

Dorico→Finale
・10番はFinaleにはなかったのですが表示されてます。
・11番、12番、15番、16番は入力時のノートナンバーが同じになる位置に表示されているので楽譜的には別です。
・13〜14、17〜20番は五線上の位置は同じですがクレフはオクターブ指示のないものになっています。
・リハーサルマークは数字のままです。段組は維持されていません。

Dorico→Sibelius
・13番、17番、19番は五線上の位置は同じですがクレフはオクターブ指示のないものになっています。
・リハーサルマークはアルファベットの囲み文字に変換されています。段組は維持されていません。

 他のソフトに変換して読み込む可能性がある場合はオクターブ指示付きの音部記号は使わない方が良いかもしれません。最後に図1〜3の譜例のデータを載せておきます。

1 譜表の追加 
2 楽譜情報の設定 
3 連符
4 調号・臨時記号
5 音部記号
6 拍子記号

使用環境
PC Mac mini(M1,2020)
OS Monterey 12.5

Dorico 4.2.0.1092 (Jul 12 2022)
Sibelius 2022.5build 1074
Finale 27.2.0.143




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