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ニンジャスレイヤーTRPG所感

※注意

これはあくまで、ニンジャスレイヤーTRPGを初めてNMとしてプレイしたときの感想、ないしは感じたことを記した散文であり、公式を非難するようなつもりは一切ありません。また、あくまで初プレイの感想なので熟練者から見たら「いや、そうではない」という部分もあるかもしれませんが、目を瞑っていただきたい。


「ニュービー・イントゥ・ザ・ネオサイタマ」


https://www.youtube.com/watch?v=IoKiyCs4w48


先日、ついにニンジャスレイヤーTRPGをプレイする機会に恵まれた。卓のメンバーはよく知れた顔馴染みであり、その様子はYouTube配信が行われた。

ニンジャスレイヤーTRPGはミニマルなTRPGを謳っているとおり、サンシタのニンジャを作成するのに10分もかからない。プレイヤーはすぐさまニンジャとなり、ネオサイタマで任務に就くことができる。

これは非常に魅力的なことだ。僕は今回、ニンジャスレイヤーに関する知識がほとんどないメンバーを呼んだ。長ったらしい世界観説明というのは退屈を生むし、勢いが削がれる。その点、キャラメイクがあっという間に終わるし、僕はキャラメイクと世界観説明を絡めながらひとつひとつニンジャスレイヤーにおけるニンジャを説明できた。この試みはうまくいったと思っている。

ニンジャスレイヤーTRPGの戦闘は、いい部分と悪い部分が見受けられた。いい部分は、プレイヤーはソウカイシンジケートのニンジャとして事前の作戦準備を楽しんだことだ。プレイしたのはサンプルシナリオ2「ニンジャの自宅」であり、プレイヤーは各々の考えを述べながらニンジャやクローンヤクザを配置し、これから現れる敵ニンジャを迎え撃つために話し合った。

また、回避ダイスをリソースとした戦闘のやりとり自体も好評だったように思える。ニンジャのイクサは非常に苛烈で、一瞬の油断でダメージを負う危険性があることを認識したプレイヤーは、回避ダイスの使用するタイミングを考慮しつつ動く必要があった。

ただ、問題としては思った以上に戦闘内容が「刹那的」になりにくい、ということだった。

これは、早々にクローンヤクザが始末されたことや、ルーリングに関する認識がまだ甘かったことによる点もあるが、「強力なニンジャに対してダメージを与えられても、それが基本的に1点ダメージのみに止まる」ため、テンポが落ちるような感覚があった。

TRPGのスタンスは様々なのでこれはあくまで僕の見解であることは再三述べさせていただくが、プレイヤーは自らが死ぬ危険性が薄い状態が長く続くと、緊張感がなくなりやすく、だれてくる。ニンジャスレイヤーTRPGにはアトモスフィアというシステムがあり、戦闘の回避難易度を上げることでイクサが厳しくなるように出来ている。しかし、ウルトラハードのアトモスフィアになったとしても回避は起こりやすく、当てられたとしてもダメージ自体は変わらない。

個人的にはアトモスフィアの上昇でダメージも何らかのボーナスが入ってもいいような気がした。もしくは体力の基本値自体を下げる、などをすれば、よりプレイヤーは回避ダイスを大事にするのではないだろうか。

卓が最高に盛り上がったのは終盤だ。我々が待ち望んでいたイベントが発生する。

「ニンジャスレイヤー」が登場したのだ!

僕はこのとき心底胸を撫で下ろした。ニンジャスレイヤーが登場するかどうかはダイスによる判定で決まる。もし登場せず終わってしまったら?

YouTubeで配信しているからには、僕は配信の「見どころ」が欲しかった。なのでどうしてもニンジャスレイヤーには登場して欲しかったのだ。

ニンジャスレイヤーの登場は卓のアトモスフィアを一気に変えた。ニンジャスレイヤーの理不尽な攻撃は、プレイヤーのニンジャを一瞬にしてネギトロに変えるという説得力がある。停滞していた戦場に活気が戻り、今度はプレイヤーが狩られる番となったのだ!

僕は配信で、特にこれが見たかった。僕が呼んだプレイヤーたちはどれもTRPG熟練者であり、「惨たらしく死ぬ負けロール」を楽しめる人たちだったからだ。

ニンジャスレイヤーに追い詰められ、必死に逃げ回り、天運に任せるダイスの一投……失敗すれば、すべてが終わる。この緊張感に、視聴者も含め皆が一体となった。

「ガンバレ! なめくじマスター=サン!!」

必死に命乞いをしながら逃げる姿は、まさにニンジャスレイヤー第一部の再現であった。

TRPGがダイスを振るゲームである以上、やはり運に身を任せる瞬間というのは楽しい。ダメージの細かいやり取りより、理不尽な出目というのは盛り上がる。もちろん個人的見解だが。

ニンジャスレイヤーTRPGがシステマチックな戦闘TRPGになるのか、それともアトモスフィアを重視したものになるのかは今後の改訂次第だろう。僕としては、あのネオサイタマの世界に誰もがダイブできるようなシチュエーションの表現や、雰囲気作りに使えるようなフレーバーがさらに充実さるといいと感じた。(僕はアトモスフィア重視派だ)

僕は今回、卓の最初にプレイヤーニンジャの出自を、2d6ダイスを振りその出目の大きさで決めるというローカルルールを使用した。出目は全員が7前後だったので中流サラリマンとした。プレイヤーのひとりは最初「ニンジャはどういう喋り方をすればいいのかわからない」と言っていたが、サラリマンは想像がしやすく、それ以降のロールは安定した。原作ありきのTRPGは「振る舞い」を把握するのが実はかなり難しい。この試みは成功したと思っている。「世界観についていけない」とプレイヤーが感じてしまうことは、TRPGでもっとも大きな失敗だと思っている。


ニンジャスレイヤーTRPGは楽しいひと時だった。そして、まだまだ進化の余地があるTRPGだ。

TRPGのシステムを作るのは大変だろうが、僕は今後も応援したいと思っている。


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