見出し画像

政治に興味が出てきたら! もっとチャレンジしてみたいアクション5選――NO YOUTH NO JAPAN代表 ・能條桃子さん(後編)

政治は、私たちの生活とつながっているもの。難しく考えなくても、気軽に政治と関われるきっかけはたくさんあります。
後編は「関心の強い社会課題がある」「特定の政策や政治家が気になっている……」「より深く政治のことが知りたい!」という方向けの応用編。
さらに挑戦してみたい“若者が政治と関わるためのアクション”を、5つご紹介します!
U30世代に向けた政治・社会メディア「NO YOUTH NO JAPAN 」(以下NYNJ)代表の能條桃子さんにうかがいました。

▼前編はこちらからお読みいただけます。
初心者歓迎! 5分でできる「政治と関わるためのアクション」5選――NO YOUTH NO JAPAN代表 ・能條桃子さん(前編)


1.投票しよう

投票は、行ってしまえばたった5分で終わること。簡単だけど確実に政治に参加できる、基本のアクションです。

「よく知らないから選べない」「難しそう」と思うかもしれませんが、すべての情報を把握する必要なんてありません。正解も間違いもない。とにかく『投票すること』に大きな意味があるのが、選挙です。

夏になったら花火大会に行く人って、いっぱいいますよね。でも、強い想いを持って「一人でも絶対に花火大会に行くんだ」と思っている人は少ないと思います(笑)。誰かと一緒に行く夏の風物詩だし、花火だけではなくそれ以外の楽しめるポイントを知っているから、当たり前にみんな誘いあうんだと思うんですよね。
選挙も同じで、「選挙に行くこと」を深く考えなくてもいいと思うんです。コンビニに行くついでにでも、投票所に寄り道してみてください。自分がもやもやしている社会課題を解決してくれそうな候補者を探して投票できたら、さらに最高です!

当日に予定があるなら、期日前の投票も可能。あらかじめ郵送されてくる入場整理券を、お財布などに入れておけば、思い立ったときに投票できます。期日前投票所は駅の近くだったり、ショッピングモールの中にあったりするので、当日以上に投票しやすくなる可能性も。


【+α】せっかく投票するなら、応援する人をちゃんと探したい!

NYNJのInstagramアカウントでは、選挙の手順を伝える『投票の方法』や、立候補者のプロフィールをまとめたコンテンツを発信しています。情報をわかりやすく整理しているため、政党の名前をひとつも知らなくたって、ちゃんと投票先を決められるのです。

以前、友達から「政治の話って、ONE PIECEを70巻から渡された感じ。それまでのストーリーを知らないのに、いきなり面白いって言われてもわからない」と言われたんです。私はONE PIECEを読んだことがないんだけど(笑)、たとえの意味はよくわかって。
だから、まずは今回なんで選挙があるのか、この選挙で決めるのはどんな役割で、私たちの生活にどう影響するのか? といった“あらすじ”をちゃんと伝えたいと思っています。

NYNJの目的は『誰かを当選させること』ではなく『若い世代の投票率を上げること』。特定の政党や候補者に誘導せず、中立を貫いているのもポイントです。

スタンダードな情報発信のほか、先日の都知事選からはインスタライブも始めました。何かしらのテーマに想いを持っている10代や20代の子たちを呼んで、みんながどんな理由で誰に投票するかを話してもらうんです。そうすると「私もこの子みたいにジェンダーに関心があるから、この人に投票しよう!」って考えやすいし、面白く感じられるかなと思っています。

U30の争点』というコンテンツも、若い世代にぜひ見てもらいたい内容。政策全体の比較ではなく、とくに自分たちに関係のありそうな教育、就職や結婚などについて、各政党にアンケートを取り、どんな政治をするつもりなのか伺っているんです。

先日の都知事選では『オリンピックの学生ボランティアは賛成? 反対?』と聞いてみたところ、小池百合子さんや小野泰輔さんは賛成。宇都宮健児さんは「ボランティアは自発的にやるものだから強制するのはおかしい」と、反対。立花孝志さんも「働き甲斐搾取だ!」と反対でした。さまざまな回答や理由から、候補者の人柄も見えてきます。


2.署名に参加しよう

この数年、SNSでもよく見かけるようになった「署名」。投票と同じで、やってみれば5分もかからないアクションです。「Change.org」などには、さまざまな署名を求める声があふれています。

とはいえ、いきなり「署名をしよう!」と思っても、自分の関心とちょうどマッチするものが見つからないかもしれません。
おすすめなのは、まず自分がモヤモヤしている社会課題について、活動している団体を探すこと。その分野で声を上げている人をフォローしておけば、いざ署名が必要になったときに、情報が流れてきます。そのタイミングで、ぜひ署名をしてみてください。
たった一人分の署名じゃ役に立たないと思うかもしれないけれど、その一人がいることをきちんと示さなければ、未来はなにも変わらないんです。


3.デモに参加しよう

デモとは、同じ主張を持つ人々が集まって行進したり、パフォーマンスをしたりして、その意思を示すこと。プラカードを持って怒鳴っている映像などがよく流れるので、少し怖く感じるかもしれません。だけど、本当は楽しいデモもいっぱい。近くにいる人と「どうして来たの?」などと会話するので、友達ができることもあります。

デモも署名と同じで、興味のあるトピックや社会団体をフォローしておくと、情報を上手にゲットできます。高校生や大学生が主催しているデモなら、とくに参加しやすいはず。どんな思いから生まれたデモなのか話を聞いているうちに、自分の関心も深まると思いますよ。もちろん、集合場所に行ってみて「ちょっと違うな」と感じたら、そのまま帰ったっていいんです。

コロナ禍では、デモもオンラインに。
この自粛中に日本でムーブメントとなったハッシュタグは『#自粛と給付はセットだろ』『#検察庁法改正案に抗議します』『#COVID19学費問題』『#気候も危機』など。気になるハッシュタグで声を上げるのも、オンラインデモへの参加といえそうです。

例えば、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが始めた気候変動対策のアクションを呼びかける“Fridays For Future”のムーブメントは、毎週金曜日に『#ClimateStrikeOnline』のハッシュタグでツイートを投稿するオンラインデモを実施しています。9月25日(金)には、世界共通でオンラインアクションが企画される予定のよう。小さなアクションから参加できるといいですね。


4.議員に請願や陳情をしよう

請願も陳情も、政治への意見や要望を提出すること。ややハードルが高いものの、政治に与える影響も大きいアクションです。
投票は18歳以上じゃないとできないけれど、陳情なら高校生にもできるのがうれしいところ。自分たちが気になっている課題や改善してほしい政策などを直接訴えることで、議員が行動してくれる可能性を高めます。

お願いするのは「この公園でボールを使えるようにしてほしい」「バスの本数を増やしてほしい」といった、自治体宛のささいな要望でもかまいません。
まずは自分たちの住んでいる自治体の議員さんに連絡をとって、相談に行きましょう。SNSのDMなどでも反応してくれる方がきっといるはず。市区町村で一番若い議員さん、くらいの選び方で大丈夫です。正式な手順や書類のつくりかたも、全部教えてもらえます。
議員さんたちがいるのは、住民ひとりひとりの困ったことを聞いて、よりよい街をつくってもらうためです。だから、考えていることをどんどん伝えましょう!


5.立候補しよう

衆議院議員や都道府県議会議員、市町村長には、満25歳から立候補が可能。大人になれば、誰しもが立候補する権利を持っています。
『政治家は選ぶもの』だと思いがちですが、じつは『自分が政治家になる』という選択肢もあると思います。

しかも、地方議員は副業でもできるのです。出馬にはちょっとお金がかかるけれど、もしも当選すればお給料もいただけます。

生まれながらの政治家なんて、一人もいません。もし、さまざまな社会課題について調べたり、自分なりの考えを深めたりしていくうちに興味を持ったら、いずれ政治の世界に飛び込んでみてもいいと思います。副業で政治家をする若者が増えていったらおもしろいのではないでしょうか。


★政治に興味を持っている姿に、ネガティブな目を向けられたら?

私も、昔は友達から「意識高いね」と言われて、いやな思いをしたことがありました。でも、同じように政治に興味を持っていて少し動き出したいと思っている人はたくさんいるし、周りのネガティブな声には、あんまり真剣に向き合わなくていいと思いますよ! いつか周りに伝わればいいなとは思いつつ、自分がやりたいと思えることを続ければいい。

それに、周りにばれないように政治に関わるアクションもたくさんあります。投票や署名なんて、こっそりすれば人にはわからない。SNSで自分の意見を発信するのはハードルが高いなら、別のアクションからはじめればいいんです。

だけど、こっそり興味を深めているうちに、きっと自分から言いたくなる日がくると思う。アイドルとかも、ハマりかけのときってなかなか言いにくいでしょ? でも、ハマりきったら布教したくなって、いろんな人に話すと思うんです(笑)。だから、言いたくてしょうがないタイミングがくるまでは、自分なりにひそかなアクションをすればOKです!