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【3/8】ジェンダーについて知り、考えるということ #国際女性デー

3月8日は #国際女性デー です

「国際女性デー」は、女性の活躍と
勇気ある行動を称えると共に、
社会参加と地位向上を推進する日として
1975年に国連によって制定された国際デーです。

1904年3月8日にニューヨークで行われた
婦人参政権を求めるデモが起源となり、
この日が選ばれました。

イタリアでは、3月8日が「ミモザの日」
と呼ばれ、男性が普段お世話になっている
女性に感謝を込めてミモザの花を贈ることが
習慣になっています💐

元々は女性の地位向上を訴える日として
制定された国際女性デーですが、
2018年から今年2023年まで6年連続で
テーマに「平等」という言葉が含まれるなど、
近年はよりジェンダー平等を重要なメッセージ
としてキャンペーンが行われています。

今回は「女性の地位向上」や「ジェンダー平等」
について、自らを「ハッピー・フェミニスト」
と称したチママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
著書『男も女もフェミニストでなきゃ』
(河出書房新社、2017)
を題材に、本noteの執筆者である大学生目線から
考えてみたいと思います🤔

男も女もフェミニストでなきゃ

私自身、この本のタイトルを初めて見たとき、
「男女格差は女性だけで解決できるもの
ではなく、男性も当事者意識を持って
課題解決に貢献するべき」そういった内容の
ものだと想像していました。

おそらく、これも間違いではありませんが、
筆者が伝えようとしたメッセージは
より深く、そしてより「明るい」ものでした。

彼女はどういった意図を持って、
こうした著書を記すに至ったのでしょうか。
まずは彼女の生い立ちから見ていきましょう。

著者アディーチェの生い立ち

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェは、
1977年にナイジェリア南部のエヌグで生まれ、
大学町スッカで育ちます。

彼女の幼少期のナイジェリアは、
現在よりもずっと「女性であること」
を理由とする差別・区別が多く存在し、
彼女自身もそのことに疑問を抱きながら
成長しました。

今回紹介する『男も女もフェミニストでなきゃ』
(河出書房新社、2017)は、彼女が2012年12月に
TEDxEustonで行ったトークに加筆したもので、
彼女自身の経験や感じていることが
語りかけるように記されています。

“フェミニスト”とは

一般的にフェミニストは、
以下のように定義される
フェミニズムを支持する人々のこと
を指します。

フェミニズム(英語: feminism)とは、女性解放思想、およびこの思想に基づく社会運動の総称であり、政治制度、文化慣習、社会動向などのもとに生じる性別による格差、性差別に影響されず男女が平等な権利を行使できる社会の実現を目的とする思想または運動である。

Wikipediaより引用

狭義には、男女同権論や女性解放や
女性の権利拡張を主張する思想と
捉えられますが、近年は性の多様性への
理解が進みつつある背景もあり、より広義に
「すべての性の平等」を主張する思想や
運動を指すことも多くなっています。

ハリウッドスターやオバマ元米国大統領が
自身をフェミニストと公言するなど、
フェミニストやフェミニズムという言葉自体は
多くの人が耳にしたことがあるのでは
ないでしょうか。

国際的にみた日本のジェンダー格差

性を理由とした差別や区別は今なお
多くの場面で問題となっています。

ジェンダーギャップ指数(GGI)*によると、
日本は調査対象国146か国中116位と
主要7か国(G7)で最下位という結果が
出ています。(2022年)

*ジェンダーギャップ指数(GGI)
各国における男女間の格差を数値化したもの。
ジュネーヴに本部を置く世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している。

内閣府 男女共同参画局「ジェンダーギャップ指数(GGI)2022年」より

「教育」「健康」の項目については高評価
を得ている一方で、「政治」「経済」で課題あり
と指摘されています。

国会議員や管理職に占める女性割合の低さが
その原因となっており、全体順位向上のためには、
政治・経済分野における更なる改善が必要です。

“男らしさ”と”女らしさ”

こうしたジェンダーギャップの背景には、
長期に渡って蓄積された「〇〇らしさ」という
偏見や決めつけがあると考えられます。

「女性は優しい」
「女性の幸せは結婚して家庭に入ること」
といったものはその典型です。

一方で、男性にも「男らしさ」の
偏見は存在します。

そうした「〇〇らしさ」という無意識の思い込みは
「アンコンシャス・バイアス」と呼ばれ、
人々の考え方や言動に大きな影響を与えます。

令和4年度の内閣府による性別役割に関する
アンコンシャス・バイアスについての調査では、
以下の結果が報告されています。

内閣府 男女共同参画局「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究 調査結果」より

「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」や
「女性には女性らしい感性があるものだ」
といった項目に関しては、男女ともに
高い割合で意識されているようです。

こうしたアンコンシャス・バイアスや
「〇〇らしさ」の弊害について
アディーチェは以下のように述べています。

私たちの社会は、ある年齢までに結婚しない女性に、それが深い個人的な欠点だとみなすように教えます。
(中略)
「しかしそんなことに女性は全部ノーといえるじゃないか」というのは簡単です。でも、現実ははるかに困難で、ずっと複雑です。私たちはみんな社会的存在です。社会のなかで生きることによって、その価値観を内面に取り込んでいくのです。

ジェンダー不平等は既に何十年も
問題であり続けています。

男女平等社会を推進するための
男女共同参画社会基本法(1999年)の制定から
数えても20年以上が経過しています。

しかし、彼女も言うように、
「現実ははるかに困難で、ずっと複雑」
なものです。

今回紹介をしたアンコンシャス・バイアス
についても、これまでの習慣や教育から
醸成された「無意識」であるからこそ、
一朝一夕にそれを変えることはできません。

ジェンダーが世界のすみずみで問題になっています。そこでわたしは今日、これまでとは違った世界を夢想してプランを練りはじめたほうがいいと呼びかけたいのです。もっと対等な世界を。自分自身に誠実であることで、より幸せになる男性とより幸せになる女性たちの世界を。これが私たちの出発点です。私たちの娘を違うやり方で育てなければいけないのです。私たちのも息子もまた違うやり方で育てなければいけないのです。

男性も女性も幸せになれる社会を思い描き、
それが少しずつであっても着実に育んでいく
ことが重要です。

We should all be feminists

“We should all be feminists”

これはこの本、そしてTEDxEustonでの
トークの原題です。

アメリカのシンガーソングライター、
ビヨンセは2014年に発表した楽曲Flawlessで、
アディーチェのスピーチをサンプリングしました。

フランス発のファッションブランドである
クリスチャン・ディオールは、
そのスローガンとして“We should all be feminists”
を取り入れ、これをプリントしたTシャツを
発売しました。

筆者は私たち「みんな」がフェミニスト
であるべきといい、著名なアーティストや
ハイブランドが支持を示すこの言葉には
どのような意味が込められているのでしょうか。

筆者のアディーチェは、フェミニストの定義
について以下のように語っています。

男性であれ女性であれ、「そう、ジェンダーについては今日だって問題があるよね、だから改善しなきゃね、もっと良くしなきゃ」という人です。
女も男も、私たち「みんな」で良くしなければいけないのですから。

"We should all be feminists"

私は、アディーチェによるフェミニストの
定義を知り、このタイトルの意味するところを
ジェンダーについて「知り、考えること」
だと捉えました。

ジェンダー問題は非常に複雑で解決には
多くの時間や労力が必要です。

だからこそ、誰にとってもより良い社会への障壁
から目を背けず、私たち一人一人がまっすぐに
向き合い、そして考えることが何よりも
大切なのではないでしょうか。