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12年の空白は3分で涙に変わり、愛を知った|#RYTHEM20周年 ライブ感想

約2年前に、好きな歌手についての記事を書きました。

そのRYTHEMが活動を再開したのが2021年。
今年2023年に活動20周年を迎えた彼女たちの周年ライブに行ってまいりました。
実に12年ぶりのライブ参加。

人生、もとい青春そのものと言っていいRYTHEMの音楽。
12年という、長い歳月止まっていた時計の針が動き始めるような感覚が全身を襲いました。
それは愛を知る大事なピースだと、知りました。。。

2011年2月から止まった時間

遡ること12年と少し。
当時解散発表がされてからというもの、最後のライブまでの期間生きた心地がしなかったことを憶えています。
解散ライブ当日のZepp Tokyo、会場でパニックになり泣きながら悲鳴を上げていた女性ファンの声はいまだに脳裏に焼き付いています。

ファンで歌った『自由詩』。
「よろこびのウタをうたおう 僕らの門出を祝い」
そんな歌詞を忘れてしまうくらい、悲しみでいっぱいだった。

それから2週間後、忘れもしない東日本大震災。
何もかも変わってしまったのは、私の人生だけでなく、日本全土もそうでした。
そこから時計の針は止まっていたのです。

12年後のZepp Divercity、開始3分で泣く

2021年に再始動が発表されてから、何度かライブは開催されていました。
しかしその近辺で金銭的に困窮しており、なかなか参加できず。
そんな折、とてもうれしい発表。

2023年5月21日、20周年ライブ開催

これはいくしかない。
しかも場所は、あのZepp Tokyoの近く、Zepp Divercity。
決心し、なけなしのお金を振り込みチケット購入。

しかし…
なぜか当日までのテンションの持って行き方が分からず。
正直、開幕するまで(ボチボチ楽しんで、思い出をかみしめよう)程度にしか思えていなかったのです。
そう、開始3分まで。

照明が落ちると、2人の声。
とても懐かしいあの感じ。
この瞬間にスイッチが入り、すでに感極まり。

そして二人の入場。
はい、泣きました。
もう号泣。
まだ曲始まってない。
むり。
開始3分しか経ってない。

もうそこからはマスクビチョビチョで観ることに。
懐かしいあの曲、新しい曲。
いろんな思いの詰まった20年を背景にして、現在進行形のRYTHEMを堪能できました。

もう感動して気持ちが抑えきれなかった私。
2万円のベストアルバムを勢いで購入してしまいました。
仕方ない…どころかこれは買って正解だったと後で感じました。

12年前は分からかった気持ち

私は現在もそうですが、人の気持ちを察したり、場の空気を読んだりということが苦手でした。
なので彼女たちがどういう気持ちで歌っていたのか、察することができなかったのです。

そんななか、年上のファン仲間に言われた言葉。
「その純粋な感情でいられるのはいいね」
今思えば、半分皮肉、半分本心だったと思うのですが。
当時の私はいろいろ理解が及びませんでした。

その情報を補完してくれたのが、冒頭で写真を掲載した冊子。

10万字に及ぶインタビュー。
二人が出会ったころから、解散に至るまでの理由、解散した後、再結成してからを赤裸々に語っていました。
それもこの冊子で初めて明かされる内容もたくさん。

冊子とライブの内容、これまでの話を総合して考えたとき、初めて今まで理解できていなかった感情たちが理解できたのです。
その大半はとても暗い感情で。
そう、まさに「純粋でない感情」とでも言いましょう、当時だと理解していないなら幸せだった感情でした。

二人でいるのが楽しくて、音楽という道で活動がスタートして。
そんな中で出てきた、商業という流れと、大人たちの都合による様々な障壁とが合わさり、純粋な気持ちだけではいられなくなった。
結果的に親友だった二人の間には溝ができ、修復不可能な状態に陥った結果、解散という道を選んで。

しかし再結成に至るまでの道のりは、私が探し求めている「愛」というテーマに大きなヒントをくれるものでした。

愛のカタチ

RYTHEMの二人の人間性は、長い年月見ていないと分からないものでした。
途中で忙しくなってしまいドロップアウトした私では追いきれなかった。
もしかしたら追いかけていても分からなかったのかも。
それくらい複雑でした。

いつ見ても光を放っているような印象を持っていました。
しかしソロでの活動では、それまでの世界とは異なるものを発信していて。
そこにあったのは、生まれ育ち、そして経験してきた中で生まれた「闇」や「もう一人の自分」というもの。
そうお話しされています。

その闇を、二人は「受け入れた」。
受け入れたからこそ、それまでの物語、つまりRYTHEMという「人生」に向き合うことができた。
それは友情、もとい友愛の再確認だった
のでしょう。

私にとって、これまで学んできた「愛」は、現在を象徴する概念でした。
「生と死」が過去と未来、「愛」が現在というような。
しかし二人の物語は間違いなく「愛」であり、そこには時間的な流れ、それも20年以上にわたる時間が存在していました。

僕の中で君が生きている
重なった2つの歪なまる
愛のカタチ

RYTHEM『再愛』

僕の中で君が生きている。
これほど深い愛情表現。
二人のインタビューを見たうえで、改めて歌詞を咀嚼すると、その意味の深さを思い知らされました。

さらに。
これまで書かれた曲すべての見かたも変わったのです。
すべては愛というピースをはめることで。

作品の見かたは一つじゃない

インタビュー内で「恋歌RYTHEM」と呼ばれている、事務所からの方向性変更によって作られた時期があります。
当時の私は「はぇ~大人な女性やわ~」くらいにしか思っていないのですが、彼女たちの葛藤が大きくなっていた時期でもありました。

端から見るとただの恋愛ソングなのですが、ただの恋歌ではないのです。
リアルな恋愛というより、デュオの相手を思う気持ちを歌詞にしていました。
YUIさんから送る「Dear YUKA」な曲。

20周年ライブまでに様々お話を聞いて、曲の聞き方が変わったのですが、さらにさらに深みを増して理解することができました。
歌詞をどのような心境で書いたのか、深層にあるストーリーは何なのか、そういった情報のピースが噛みあうことで見えてくる世界。

これは今だから言える感想。
リリース当時の私が思った「大人の恋愛って難しいんだなぁ」という感想も、今の自分が見る「こんな心境だったんだな」という感想も、どちらも正しいものなのだと思うのです。
作品というのは多面的であって、あくまでその時点で見えている面しか見えない、しかしどれも間違ってはいない

12年経って、私も写真と文章を使って発信する側になりました。
ありがたいことに感想をいただくのですが、作った私自身ですら見えていないような角度から、作品を見てくださる方が結構いるのです。
ひとつひとつの見かたが合わさって作品を形作っていくのだと、彼女たちの言葉を受け取ることで思えました。

じゃあ、自分はどんな形を作っていきたいのか。
そう考えると。

愛を形作る作品

私が2021年から思っていること。
それは愛、もとい「自己愛の獲得」。
2年かけて、ようやくその影を目視できるくらいになってきました。

RYTHEMの二人、そしてその曲は、私の人生や青春そのものです。
私からもたくさんの愛を注いだと思っています。

そしてその作品たちには、彼女たちの愛が詰まっていたと気づいて。
これまで見てきたどんな美術品よりも、もっと身近で、もっと心に刺さるような、そんな愛があることに気づいて。
自分もこんな作品にしていきたいと強く思いました。

これまで、写真は写真、文章は文章、それぞれコツコツと続けてきました。
それぞれをリンクはさせつつも、それ単体で何か成し遂げようというか、コンテンツ制作が目的であったように思います。
でもそれじゃ足りない。

青春なんてクソくらえ』で書いた、「手段としての写真」。
正すと、「愛を表現するための写真と文章」を作るうえで、RYTHEMの曲は大いなるヒントになると確信しました。
写真も、文章も、どちらも手段として扱って。
自分なりの「愛」を形作る作品を作っていこうと、そう決心させられました。

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12年止まっていた時計の針は動き始めました。
誰かを幸せにできそうな、そんな気がする。
やっとその裾を掴んだのだから、きっとできると思って。

どこか、私の文章の道のりが一つのゴールに近づいている気がします。

そんなポエム。
おわり。

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