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東江一紀さんの逝去から10年

 わたしが自分の「裏」師匠であると公言しつづけている東江一紀(あがりえ・かずき)さんが逝去なさったのは2014年の6月21日のことでした。まもなく10年が経ちますが、いまも「表」師匠の田村義進先生と並んで最も影響を受けた翻訳者であることに変わりはありません。
 逝去の1年後には、〈ことばの魔術師 翻訳家・東江一紀の世界〉と銘打って、トークイベント・読書会・ブックフェアなどが数多くおこなわれました。トップ画像は2015年6月13日に文京区根津でおこなわれたトークイベントのときのものです(登壇している左がわたし、右が布施由紀子さん)。
 その際、東江さんの名訳集を門下の人たちといっしょに作り、各会場で配布しました。そのデータをあらためてここに載せます。どなたでもご自由にダウンロードしてください。翻訳学習中の人などにとっては必読の資料です。

 当時配布したその他の資料は当時のブログ記事からダウンロードできます。また、イベントやフェアの様子はわたしの著書『翻訳百景』で20ページ余りにわたって紹介してあります。

 東江さんの翻訳者としての遺作にあたる『ストーナー』(ジョン・ウィリアムズ、作品社)は、その後も多くの読者のかたから評価されつづけ、版を重ねていまや30刷に達しています。
 また、東江さんは飄々たるエッセイの達人でもあったので、遺稿をまとめてわたしが編纂し、2018年4月に『ねみみにみみず』というタイトルで作品社から刊行しました。そちらも版を重ねて4刷に達しています。

 没後10年を記念して、イベントをふたつ企画しました。

◎オンライン公開座談会「『ストーナー』と『オリンピア』、どこが似ていてどこがちがう?」(仮)
 去年出たわたしの訳書『オリンピア』は、『ストーナー』といくつかの点で似ていると、これまで何人ものかたから言われてきました。もちろん、相違点もたくさんありますが、どんなところが似ていてどんなところが異なるのかを何人かに語ってもらうことで、より深くこの2作を味わい、ひょっとしたらほかの文学作品を読み解いていくときのヒントが見えてくるのではないかと考えて企画しました。
 座談会はこれから収録し、6月16日(日)にわたしのYouTubeチャンネルで公開する予定です。出演者(わたしも含めて計6人)やトークの内容などはその日にあらためてくわしくお知らせします。

『ストーナー』刊行10年、翻訳家・東江一紀没後10年@ジュンク堂池袋本店
  2024年6月21日(金)19時30分~21時00分
 逝去からぴったり10年の命日に、『ストーナー』をこよなく愛するオモコロ編集長の原宿さん、『ストーナー』の翻訳協力者だった布施由紀子さんといっしょに、この作品の魅力や東江さんの卓越した翻訳技術などについてお話しします。『ねみみにみみず』の話も少し出ると思います。
 会場・オンラインのどちらでも参加でき、見逃し配信もあります。
 原宿さんが『ストーナー』を紹介してくださり、それをきっかけに何度も重版しているのですが、そのときの記事はこちらです。

 ぜひ6月21日のジュンク堂池袋のイベントにご参加ください。


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