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「冬色のカーテンです。大切にしてね」 そう書いたメモと一緒に、白のレースカーテンが送ら…
高校1年の時、3日間のオリエンテーション合宿というものがあった。福島県にある自然の家で、…
帰宅すると、妻が「ねぇねぇ!」と手招きした。 「ガレージに迷い込んでたの」 妻の膝の…
「27年もの間、自分なりに務めを果たしたと自負しております」 俺の後任からの手紙だった。4…
――谷松勲。 パッと見て「たにまついさお」と読めない漢字に「担任」という文字で、その…
「おいおい、ガラケーかよ」 回収した不用品の中に、折りたたみ式の携帯電話があった。ガラケ…
「あー、この曲、CMで聞いたことあるな。言うなよ? 当てるから」 カーオーディオから流れる軽快な音楽に、杉本は目を閉じて「うーん」と考え始めた。僕はそれを無視して「ローリング・ストーンズ」と答える。 「当てるって言ったじゃねーか!」 声を荒げる杉本を「どうせ当たんないよ」と一蹴した。 「しばらく会ってないうちに音楽の趣味が変わったか? あ、洋楽好きの彼女ができたとか?」 「そんなんじゃないって」 特に洋楽が好きというわけではないが、ローリング・ストーンズはたま
夏の雲がふよふよと漂っている。群れからはぐれて、地上まで降りて来てしまったんだろう。ふ…
――誰だ? いつも学校帰りに寄り道する場所に、知らない人がいた。ぼーっと立って、海を…
――ツイてない……。 下校中、自転車の後ろのタイヤがパンクした。自転車屋まで、ここか…
「あの人、ラブレター読んでる」 オープンテラスのカフェで、向かいに座っている妻が突然言…
――タバコとコーヒーってさ、似てるよね。 知り合った頃の、彼女の第一声だった。その時…
「月の色がおかしい」 同僚はそう言って、突然立ち止まった。 「そうか? かなり明るいけ…
懐かしい色だった。 ――そうか。もうすぐ稲刈りか。 俺の地元では稲作農家が多く、そこら中、田んぼだらけだ。9月に入って稲刈りが近づくと、田んぼを埋め尽くす稲穂が、夕日を浴びて黄金色に輝く。その光景は、2023年にこの世を去った作曲家、ピアニストであるジョージ・ウィンストンのアルバム「Summer」を思い起こさせる。 都会に引っ越すと、田んぼなどというものからは無縁になるので、7年ぶりの帰省は、一瞬だけ別の国へ来たかのように錯覚した。 高校の時、周りのみんなが