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小説&ショートショート

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小説は主に短編です。フリー台本として、ご自由にお読みください。 (全部ではありませんが、「聴くっしょ!」にも投稿しています)
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#北海道

冬色のカーテン|掌編小説(#シロクマ文芸部)

「冬色のカーテンです。大切にしてね」  そう書いたメモと一緒に、白のレースカーテンが送ら…

トガシテツヤ
10か月前
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オオワシのサチ|童話(#ウミネコ文庫応募)

「おーい!」  呼ばれて目を開けると、顔の上に大きな白い羽がふわりと落ちた。寝てる時に僕…

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海を渡るひまわり|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 ひまわりへ贈る言葉なんてない。  無事に海を渡ってくれれば、それでいい。  俺が住む島…

60

真っ白|掌編小説

 クリスマスケーキ、フライドチキン、ピザ屋、牛丼屋のチラシ……。束にしてゴミ箱に放り込む…

54

秋鮭デリバリー|掌編小説

 ――ピンポーン  私は「はぁ……」と大げさに溜息をつく。仕事の〆切間近で集中している時…

39

夜間逃避行|掌編小説

 ――夜の散歩。  ただの散歩なのに、これを深夜に行うだけで、妙な緊張やドキドキがある。…

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熊嵐の夜|短編小説

 北海道では春に熊を撃つと、その夜は季節外れの吹雪になるという。人々はこれを『熊嵐』と呼び、畏れ、敬った。 ***  僕が車に近付くと、後部座席の熊はパワーウインドウを開け、挨拶と言わんばかりにひょいっと右手を上げた。大型SUVの後部座席をどっかりと占領し、タブレット端末でニュースを見ている。熊は猫と違って爪を隠すことができない。上手く肉球で画面をポンポンとタッチしているのを見ると、ずいぶんと器用な奴だなと思う。10インチサイズのタブレットが、熊の体の大きさのせいでだいぶ

ミニチュアの街|掌編小説

 ――金取るのかよ。  券売機に表示されている「740円」を睨みつけ、怒りとも落胆とも取れ…

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