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「あー、この曲、CMで聞いたことあるな。言うなよ? 当てるから」 カーオーディオから流れ…
ムカデに噛まれ、その翌日にはバイクで転倒し…。 冗談抜きで「お祓いに行くか…」と。 そん…
夏の雲がふよふよと漂っている。群れからはぐれて、地上まで降りて来てしまったんだろう。ふ…
かき氷を食べるカップルとすれ違う。さっき屋台の前を通ったら、「300円」となっていた。 …
「あの人、ラブレター読んでる」 オープンテラスのカフェで、向かいに座っている妻が突然言…
新しい色鉛筆を買った。とは言っても、それは「空色」と書かれた1本の鉛筆で、黒色の芯が付…
「いいねぇ」 初日は午前中の挨拶回りだけで終わり、午後からずっと海を見ている。小さい頃から海のそばに住むのが夢だった。それが「転勤」という形で叶った。 田舎町だが、スーパーもドラッグストアも病院もあるし、まぁ何とかなるだろう。買い物でもして帰ろうと思っていたら、商店街の端っこで後ろから「ねぇ」と声をかけられた。振り向くと、中学生くらいの少女がいた。僕がきょろきょろと辺りを見回すと、少女は僕に近づいて来て、服の袖の匂いをくんくんと嗅ぐ。 「お兄さん、潮の香りがする」
帰宅すると、妻が「ねぇねぇ!」と手招きした。 「ガレージに迷い込んでたの」 妻の膝の…
――誰だ? いつも学校帰りに寄り道する場所に、知らない人がいた。ぼーっと立って、海を…
「海砂糖を1つください」 僕がそう言うと、店主は眉をひそめた。 「あなた、海砂糖を一体…
梅の花を見ると、亡くなった祖母を思い出す。 名前が「梅」だったんだが、それだけではな…
目が覚めて、窓から外を見ると、もう日が沈んだ後だった。 ――しまった。 夜の風が来…
文披31題、7日目のお題が「ラブレター」とのことなので、過去作を貼っておきます。
息をするように嘘をついている。 兄がいるのに一人っ子だと言い、ペットはいないのに「白猫を飼っています」と言い、彼女がいないのに「彼女は海外出張中」だと言う。 誰にも迷惑はかからないし、困らない。だって、人って自分以外に興味なんてないんだから。 「嘘つくのって、体力使うよね」 彼氏と何かあったのか、隣の席の同僚の女性が疲れた顔で呟く。 「できれば嘘なんてつきたくない?」 「そりゃそうでしょ。疲れるし、めんどくさいし、いいことないわよ」 俺は「だよね」と同意す