見出し画像

勉強②猫ヘルペスウイルス感染症

猫ヘルペスウイルス感染症はヘルペスウイルス科に分類される猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)が原因。
FHV-1は、エンベロープを有する2本鎖DNAウイルス、ネコ科動物に感染力をもつ、宿主体内に潜伏感染し免疫力の低下に伴い再活性化という特徴をもつ。

【感染経路】
感染猫の鼻水、涙、涎などの分泌物に、直接またはエアロゾルを介して経口、経鼻、経粘膜的に接触することにより感染が成立。
FHV-1は鼻粘膜上皮で増殖後、咽頭、気管、気管支、細気管支へと広がっていく。
FHV-1は感覚神経に沿って広がり三叉神経のに到達。
潜伏期にはウイルスゲノムは複製されずに感染したニューロンの核に存続する。潜伏期間中にFHV-1感染を診断する簡単な方法はない。
母猫から子猫への感染も多く、潜伏感染していた母猫が妊娠・出産・授乳のストレスでFHV-1が再活性化し子猫へ感染することも多い。特に母猫からの移行抗体が切れる頃(生後2ヵ月頃)が危険な時期といえる。

猫ヘルペスウイルス感染症は猫ウイルス性鼻気管支炎(FVR)という別名がある通り呼吸器症状を中心とする感染症であるが、その他にも角膜・結膜の眼病変や皮膚病変も起こす。

典型的な臨床症状
 発熱(約40.0℃)、元気・食欲の低下
 くしゃみ、漿液性~膿性の鼻汁(5~7日で膿性)
 重症例では咳や呼吸困難、眼科症状が伴うこともある。
感染から6~8日で症状がピークを迎え
二次感染がなければ通常14日ほどで収束。

免疫抑制がかかっていない成猫では、死亡率は低いものの子猫では死亡することもある。

感染した猫は生涯キャリアになり免疫抑制がかかると再燃。
再燃の場合、急性期の症状よりも重度で慢性化し、特に眼科疾患が強く出ることが多い。
稀ではあるがFHV-1は周期的な皮膚疾患(眼周囲、鼻周囲が好発部位)を引き起こすことがある。
FHV-1感染症に緑膿菌や大腸菌、パスツレラ菌などが二次感染を起こすと鼻甲介の破壊や副鼻腔炎に発展し慢性鼻炎や蓄膿症を起こすことがある。

【治療】
FHV-1感染症による発熱や鼻水、くしゃみのため食欲が落ちることが多い。
そのため脱水や栄養不足に落ちることが多い。
特に子猫では急速に体調が悪化するため補助療法は必須。

次回は補助治療について深掘りする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?