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自分という人間


どうやって死ぬか。
これが僕の人生のテーマだ。



昔から勉強はできた。

大した努力もせずに高得点をとれた。

反対にスポーツは苦手だった。

今でも球技は全くできない。

だけど僕はスポーツの世界で生きてきた。

努力が正当に報われるとは限らない。

だが報われた瞬間の喜びはテストで100点をとった時の

喜びとは比較にならないものだった。


中学校から始めた柔道では県3位、

高校は県で1番の進学校に入学して

高校史上初の全国大会出場を達成した。

じいちゃんが近所のコンビニで買い占めたらしい笑



いつしか勉強もスポーツもできる人という認識になった。

僕を何も知らない人からは褒められることが増えた。

でも、身近な同級生の反応は薄かった。

「なんで?めちゃくちゃ凄いのに。」

正直そう思った。

この理由に気づくのは大学に入学してからだ。



大学では勉強そっちのけでアメフトに熱中した。

これまでと同様、自己成長に注力した。

順調に成長し、チームの主力になった。


忘れもしない、大学3年の最終戦。

自分側にプレーが一度もこなかった。

相手校から徹底的に避けられたのだ。

全く試合に貢献することができず、チームは敗れた。

これまでは自分の成長にフォーカスしてきた。

柔道ではそれで成果が出た。

だがアメフトでは自分だけ強くても意味が無いことに気づいた。

同時に、これまでの自己中心的な考えを反省した。

だから高校生の時県大会で優勝しても同級生は祝福してくれなかったのだ。

祝福したいと思える人間ではなかったから。




大学4年になり、チームの主将を務めた。

組織を強くするために自分にも他人にも厳しく取り組んだ。

「なんでやらないんだ」「なんでできないんだ」

熱意が空回りし、孤立した。

チームはバラバラな方向を向き、一体感を失った。

結果は3部リーグ降格。

後悔、罪悪感、喪失感、安堵。

様々な感情が入り乱れた。

今でも大学4年の時の記憶はほとんど無い。

それほど必死だったし、消したいほど苦い思い出しか無いのだろう。


そんな中、祖父が他界した。

ついこの前まで元気だったのに。

人はいつ死ぬかわからない。

自分も明日死ぬかもしれない。

その時、後悔を抱えたまま死ねるだろうか。

人生のゴールは共通して”死”だ。

どうやって死ぬか。そのために生きているのではないか。




後悔のやり直しとして大学院進学後にコーチを務めた。

自分が誰よりも行動し、周囲を巻き込み、結果を出した。

後悔が微塵も残らないように本気だった。

徐々に情熱が伝播し、選手の行動が変わった。

チームが1つの目標に向かって本気になった。



15年ぶりの1部リーグ昇格達成。


選手が涙を流して喜ぶ姿を見て、これまでの努力が報われたと感じた。

自分自身が主体となって成し遂げたわけではない。

だが、自分自身が成し遂げたときよりも大きな感情だった。



「加藤さんみたいな人間になりたいです。」


試合後にある選手からこう言われた。

僕は堂々と二本足で立っているように見えて、実はその足を何人もの人に支えてもらっている。

その人たちに恩返しをするとともに、今度は自分が支える側になろうと決めた。

人生をかけてできるだけ多くの人の足を支える。

これが自分の使命だと感じた。


組織は面白い。

簡単に落ち込むこともあれば、何気ないことで全体が団結することもある。

誰かの本気が伝播すれば組織は良くなっていく。

本気で取り組む人を増やそう。支えよう。

本気で取り組むことを当たり前にしよう。


自分史上最高の状態で死ぬ。


そのために今日も挑み続ける。


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