【#ガンナガン】「銃士達の軌跡」大会調整録【W SHOUT環境】
こんにちは。「ガンナガンをしばく会」の高須(@t4ks_)です。
2022年7月16日にBookmark浅草橋で開催された27人規模の大会にて、調整チーム3人で構成選択の指針を共有し、池粕氏(@ikekasu_428)が優勝、筆者が準優勝、大村あたる氏(@hyoutodoroki)が5位、3人合わせての戦績が13-2(5-0/4-1/4-1)という結果を残す事が出来ました。対戦レポートは下の記事に簡易的ですが纏めてあります。
今回の記事は、”W SHOUT環境のメタゲーム変遷”と、先述した大会に出る際に調整チーム内で共有した”構成選択の指針”が中心の内容になります。
また、以下の点にもご留意下さると嬉しいです。
以下本文になります。目次がかなり長いのでお気をつけてください。短くしたかったのですが駄目でした……;;
▼W SHOUT環境の定義
「ガンナガン W SHOUT」を遊ぶに際し、まずは「各銃士が持つ強い構成」を考える事にしました。
また、BLOCK1での経験から"強い構成が持つ要素"を以下のように定義しました。
これらの要素を持つ強構成を発見するためには「銃士+機銃1丁の強い組み合わせ」を見つける事が先決だと考え、頒布直後は1日10戦ペースでの対戦を行いました。
その甲斐もあってか、環境の基準になるいくつかの構成や、W SHOUTのゲーム性などがある程度見えてきました。
・【ナナネ - ヒカギリ/ロクロ(Seve[N] Star)】
要素①に該当する、W SHOUT最速のビートダウン構成。
最速3ターンでのキルやオーバークロック《一気討殲》《凶強:解》によってゲームエンドを狙いやすいと言ったアグロ的な強さ、《強行:再》《危機感知》によるリソース回復と言った対応力は、BLOCK1の【カサネ/ドドメ】を彷彿とさせます。
W SHOUT内のカードプールでコントロール構成を握るには、まずこの構成を受け切れるかどうかから考えるべきでしょう。
・【エコ - モウリョウ/any(HATE EATER)】
最初は「ナナネ」との組み合わせが模索されていた〈モウリョウ〉でしたが、「そもそも2T目での6装填:10HITを狙わなくても、場を準備して耐えれば良くないか?」という意見が出てからは、能動的に攻める(要素①を満たす)構成では無く、ライフを守って返す(要素②を満たす)構成にした方が強味が活きるのでは?という評価になりました。
また、銃士「エコ」は〈コダマ〉との組み合わせもそうですが、〈モウリョウ〉との組み合わせも非常に強力でした。
「エコ」の銃士効果や、《スピンシールド》、各種【対応】カードによって射撃によるHITを拒否する性能が非常に高く、技能『HATE EATER』を発動さえ出来れば高い確率で勝てる状況に持っていく事が出来る「エコ」の特性は、ビートダウンを受け切って返す〈モウリョウ〉の設計とは相性が抜群でした。
・【テトラ - ダイダラ/バク(遊天演武)】
恐らく多くの卓の環境を定義しているであろう問題の構成。
《ショックシェル》《リカバリシェル》《サイドステップ》による高い受け性能に加え、技能『遊天演武』で《ショックシェル》を使い回しつつ〈バク〉のJOLTを叩き込む事によって4ハンデスすら狙えるハメ性能の高さには誰しもが目を付けると思います。
「ガンナガン」と言うゲームにおけるハンデスは非常に強力で、次ターンの生存を保証できたり、相手のリソース/デッキ削りに直結するのは勿論、全ハンデスが決まる事は即ち「追加ターンを獲得する事」とほぼ同義であり、この動きを主軸にするこの構成は"要素③を完璧に満たしている"と言っても過言ではありませんでした。
・W SHOUT環境に対する第一印象
「ゲームマーケット2022春」での頒布から3日後のゲーム理解としては以下のようになりました。
ナナネ:ビートダウンに特化した銃士。
射撃を行う事で誘発する効果を持つ事から、ライト武器2丁との相性が特に良い。
技能は『Sou[N]d Crack』以外の2つが選択肢になるが、それらのいずれもコントロールプランとの嚙み合わせが悪く、射撃を行わないと手札が増えない都合で〈コダマ〉との相性も良くないと思われた。
テトラ:自身効果で手札の質を担保できる点や、継続的にボルテージを吐ける技能を持つ事から〈ダイダラ〉との相性が非常に良い銃士。
2回目以降は実質volt4で発動出来る技能『遊天演武』のバリューが非常に高く、アグロ対面に対しても『月鏡ノ舞』によってライフを守る動きが非常に強力で、ゲームテンポが早いビートダウン勝負になった際にも難なく対応出来る。
エコ:大半のビートダウンを拒否できる銃士。
〈モウリョウ〉や〈コダマ〉との相性が特に良く、自身や技能『HATE EATER』が持つ回復効果によってクロックを逆転する能力が高い。
しかし、[速]2である事と技能が実質2択である事から相手に対応されやすく、得意であるクロック勝負をさせて貰えないマッチアップになることがしばしば発生した。
アハト:技能の選択によって柔軟な立ち回りが可能な銃士。
ナナネ/エコとは違って技能3種全てが選択肢となり得る事、[札]4以上が保証されている事からポテンシャルはあると見られていたが、アハト本体がバニラ同然のため特筆すべき強力な組み合わせが見当たらず、彼に対する研究は後回しにされた。
機銃について:アグロ構成が頭一つ抜けて強かったBLOCK1環境とは異なり、「ライト→スペシャル→ヘビー→ライト……」の三竦みについてはかなり調整されている印象を受けました。
しかし、《ショックシェル》《リカバリシェル》が「条件に対して獲得可能なアドバンテージ量が多すぎるカード」であったこと、【ダイダラ+バク】の組み合わせが強力であったこと、ライト機銃の殺傷力が思いのほか高くなかったことなどから、W SHOUT環境のメタゲームは【テトラ- ダイダラ/バク(遊天演武)】から始まりました。
▼【テトラ- ダイダラ/バク(遊天演武)】への回答
W SHOUT環境における【テトラ- ダイダラ/バク(遊天演武)】は非常に強力な構成でしたが、対戦を重ねた結果、これに対しての回答は複数発見されました。
・〈低致死性忘却銃 バク〉+〈拡音轟器 コダマ〉
この2丁の組み合わせは、【テトラ- ダイダラ/バク(遊天演武)】に対してのカウンター要素を複数持っていました。
《ドレッド・アンプ》絡みのプレイングが難しい構成ですが、「ナナネ」「アハト」なら先攻が取れる点、「エコ」ならライフゲインがある点も含めると体感5.5:4.5での有利が取れる印象でした。
当然アグロ2丁の組み合わせを受ける事は出来ない事から、【テトラ - ロクロ/ヒカギリ】といった回答が出て来ますが、それらに関してはまた後述します。
・【アハト - ロクロ/ヒカギリ(システムダウン)】
相手の機銃を1丁裏向きにする効果を持つ技能『システムダウン』も、銃士「テトラ」に対してかなり有効である事が分かりました。
【アハト - ロクロ/ヒカギリ(システムダウン)】もまた、対【テトラ - バク/ダイダラ(遊天演武)】構成として評価される事になりました。
何度か対戦した所感としては上記の通りでした。《リカバリシェル》や《サイドステップ》による受けに関してもリソース勝負になるためあまり問題にはなりませんでしたし、〈バク〉のカードの大半が《凶弾・静》で止まる点も加味すると、「アハト」側がかなり有利という結論になりました。
しかし、これらの課題はテトラ側が〈バク〉を手放す事によって解決される事になります。
▼【テトラ - ロクロ/ダイダラ(遊天演武)】
さて、大会の上位卓において【テトラ+ダイダラ】のピック率はかなり高かった(と筆者は勝手に)認識しています。
恐らくですが、scrapboxの「テトラ-ロクロ/ダイダラ 簡易ガイド」を見たプレイヤーが多い事、そもそもW SHOUTを触った瞬間に【テトラ+ダイダラ】の強さに気付いたプレイヤーが多いであろう事かと(筆者が勝手ながら)推察しています。
この構成の動かし方はscrapboxの本文を見て頂くとして、以下の項目では「どういう経緯でこの構成に至ったか」「この構成に辿り着いた後のメタゲームの変化」についてを中心に記述します。
・『システムダウン』への回答
まず、我々の中では【テトラ - ロクロ/ダイダラ】は【アハト - ロクロ/ヒカギリ(システムダウン)】への回答として選択された構成でした。
先述の通り、"『システムダウン』対象:ダイダラ"のプレイを行われた後の【テトラ - バク/ダイダラ】は無力そのもので、これを解決するために必要な要素がいくつか存在する事に気付きました。
「…いやこれ〈ロクロ〉じゃん。」となり、【テトラ - ロクロ/ダイダラ(遊天演武)】対【アハト - ロクロ/ヒカギリ(システムダウン)】の対戦を実施。
上記のマッチアップに関しては、テトラ側微有利という結論が一旦は出ました。後にアハト側のプレイングに誤りがあった事が分かりましたが、これに関しては後述します。
どちらにせよアハトが【ヒカギリ/ロクロ】以外で『システムダウン』を選択するのは非現実的であると言う認識になり、【テトラ - ロクロ/ダイダラ】が『システムダウン』に対しての回答がある事が分かった以上、"テトラ側の対『システムダウン』"に関する議論は決着しました。
また、この辺りからミラーや同速戦に関しての考察が行われ始めたのもあり、とある機銃に対しての評価が劇的に向上します。
・2セット戦の1丁目について
最初は〈バク〉を含めた構成を中心にメタゲームが変遷していましたが、【テトラ - ロクロ/ダイダラ】まで辿り着いた辺りで、〈ロクロ〉に対しての評価が非常に高くなりました。
このタイミングで改めて【テトラ - ロクロ/ダイダラ】vs【バク+コダマ】のマッチアップが行われました。
結果、後者が有利であるとの結論は出たものの、1丁目にスペシャル機銃を出すのは、【ロクロ+ヒカギリ】が【バク+コダマ】への回答になり得るためかなりリスクのある選択であるという事になり、一旦はここでメタゲームの変遷は止まりました。
また、試合数を重ねて来た事からも〈ロクロ〉が「他のどの機銃と組み合わせてもそれなりに動かせる機銃」である事に気付きます。
〈ヒカギリ〉も重量1である事から「ミラー/同速戦において強いのではないか?」と思われましたが、ライフを守るギミック(対応カード)や、そもそもの汎用性にイマイチ欠けている事が分かり、1丁目としての評価はそこまで高くなりませんでした。
これ以降は「全ての銃士が1丁目に〈ロクロ〉を選択する事」を前提にメタゲームを進めていく予定でしたが、どうもその例から漏れる銃士が存在しました。
▼銃士「エコ」に対する評価の低下
銃士「エコ」は[速]2である事から、基本的には後手を取る事になります。
これは〈ダイダラ〉や〈バク〉を使う相手に対して、1ターン目から手札が3枚以下の状態でゲームを始める事を意味します。
【ダイダラ+バク】の構成に対して、【ロクロ+ヒカギリ】だと後手からは概ね勝てない事から「銃士「エコ」は1丁目に〈コダマ〉を選択した方が良いだろう。」という所から考察が始まりました。
結局すぐに【エコ - コダマ/バク】は【テトラ - ダイダラ/バク(遊天演武)】や【テトラ - ロクロ/ダイダラ(遊天演武)】の回答になる事が判明しましたが、【エコ - コダマ/バク】に対しての回答もすぐに見つかる事になりました。
・〈コダマ〉ミラーについて
"スペシャル機銃に対してライト機銃が強い"という事は既に認識していましたが、「エコ」には自前のライフゲインがある事から、別方向からのアプローチを行う必要があると感じました。
そこで、BLOCK1やアンリミテッドの経験を踏まえ「ビートダウン勝負が出来ないLO構成相手には、こちらもLO構成を使おう。」となり、〈コダマ〉ミラーについての考察を行いました。
結論から言うと、「W SHOUT環境においては、どちらの銃士も〈コダマ〉を持っている場合は先手側が非常に有利である」事が分かりました。
W SHOUTには”《リユース》+any”のようなリソースを大量に回復したり、”起死回生ループ”といった相手にHITを大量に与えるようなギミックが存在せず、LO勝負になった場合において後手から捲るのは非常に困難である事を認識しました。
また、「ナナネ」に関してのとある裁定が出た事も、「エコ」に対しての評価が低下する要因になりました。
・【ナナネ - ロクロ/コダマ】の発見
射撃する事で誘発する効果を持つ「ナナネ」と、射撃する事が出来ない機銃である〈コダマ〉は、非常に相性が悪いと思われていました。
その為、"LO構成を扱えない「ナナネ」は「エコ」に対しては不利である"と認識されていましたが、ある裁定がユーザー間で共有され始めてから「ナナネ」に対しての評価が劇的に向上しました。
この2つの裁定は、「ナナネ」を実質的に[札]4の銃士として運用する事が可能である事を意味します。〈コダマ〉ミラーは先手側有利である事も加味すると、「エコ」側は〈コダマ〉を選択すべきでは無い事が分かります。
この動画を見ると色々察せるかと思いますが、〈コダマ〉ミラーは先手側が非常に有利です。
すると、LOプランに頼らずとも【エコ - ロクロ/ヒカギリ(『HATE EATER』)】で殴り勝つのが一番手っ取り早いのではないか?となり、「ナナネ」対「エコ」のマッチアップについて改めて検討がなされました。
【エコ - ロクロ/ヒカギリ(『HATE EATER』)】に対して不利であるナナネ側の構成がいくつか見つかりましたが、結局、「【エコ - ロクロ/ヒカギリ(『HATE EATER』)】は【ナナネ - ロクロ/ヒカギリ(Seve[N] Star)】に勝てない」という結論になりました。
また、【ナナネ - ロクロ/ヒカギリ(Seve[N] Star)】に対しては【エコ - ロクロ/モウリョウ(『HATE EATER』)】が回答になり得る事が分かりましたが、ナナネ側には勝ち筋が全く無いかと言われるとそうではありませんでした。
「エコ」〈コダマ〉【ナナネ+ロクロ】に関しての考察の結果、「ナナネ」に対しての評価は劇的に向上し、「エコ」に対しての評価はかなり低くなりました。
▼頒布から1か月経過時のゲーム理解
ここまで「強構成を提案→それに対しての回答を提案→それに対しての回答を提案……」という形でメタゲームを回して来ましたが、一旦今までの認識を整理する事にしました。(ここまでのあらすじ、というやつです。)
「W SHOUT内の強構成」と「一部マッチアップの相性」について理解しつつある現状、次に理解するべきことは「銃士同士の相性」と「機銃選択フェイズの組み立て(出し合いの概念)」についてである事は明白でした。
以降の期間では「ミラーを含めた各マッチアップ」に関してを考察していく事になるのですが、これについては大会の開催が発表されるまで(5月22日~6月23日)の期間内で発見した事も含め、後の項目で纏めて説明していきます。
▼大会3週間前から当日まで
さて、展示会及び大会の開催が発表された(2022年6月24日)当時の調整チーム内の認識は以下のようになっていました。
以降の項目では、どのような考えを基に大会に向けた調整が行われたのかについて、その調整で得られた事について、どのような考えを基に大会当日の構成選択を行ったのかについてを説明していく事になります。
・"構成選択の方針"を定める理由とは?
大会のレギュレーションは以下の通り。
銃士/機銃の選択は、W SHOUT説明書内の"ガンナガン2セットで遊ぶ場合"に基づいて行われ、1試合ごとに全く別の構成を選ぶことも可能です。
では、大会を通して一貫した構成選択をするメリットとは何なのでしょうか?
"①予め選択する銃士を決めておく事は、試合時間の短縮に繋がる。"
試合時間を短縮するという事は「時間切れによる両者敗北を防ぐこと」に繋がります。これが何故良くないのか…と言うのはこの記事の本分では無いので詳しくは触れませんが、"オポネント(OMW%)"と言うシステムが大きく関わってきます。詳しく知りたい方は調べてみてください。
とりあえずこの記事内においては「両者敗北はお互いに損しか無い事」「両者敗北のシステムを利用して得をしてる場合についてはそもそも不正である事」を覚えておけば大丈夫です。
あと、出来るなら試合は早めに終わって休憩とかトイレとか挟みたいですからね。折角だから雑談もしたいじゃないですか。
"②出す銃士を1人に絞る事で、ミラー戦について覚えるべきことを減らす。"
"考える事を減らす"という事は、これもまた試合時間の短縮に繋がります。ガンナガンを沢山プレイする事もまた試合時間の短縮に直結する行為ですね。
あとは4つのミラー戦全てを詰めていては練習時間が足りない、と言うのもあります。
まぁ、今回の大会では時間切れによる両者敗北は無かったようなのであまり憂慮すべき事では無かったかもしれませんが。…流石「高速二丁銃カードバトル」だ!
"③強い構成があるならば大会を通してそれを擦り倒すのが一番良い。"
大会を通して一貫した構成選択を行う際に、「強そうな構成を見た相手(や近くの卓の人)が次の試合で真似するかもしれない」「同じ構成を擦り続けてたら準決勝、決勝でメタ構成をピックされるかもしれない」…と言うデメリットが思い浮かぶと思います。
これについては、「人読みしてくるプレイヤーは身内にしか居ないし、大会/対戦中に全勝者の卓を見てそのメタ構成を一瞬で出せるプレイヤーなんてそもそもこの世に居ない。」と言うのが筆者の正直な見解です。
毎試合ピックを変更出来るレギュレーションにおいて一点読みを行うのはリスクのある行動である、とも考えられます。
また、ミラー戦の出し合いやプレイングについて詰め切れているプレイヤーの存在に関しても極小数であると考えていた為、あまり問題にはしませんでした。
これらに関して「他プレイヤーの練度を低く見積もりすぎだ」と言う意見もあるかと思いますが、それについてはこの先の内容を読み込んで頂いて納得頂ければと思います。
と言った具合に、「"構成選択の方針"を定める事」はデメリットよりメリットが勝る調整方法であると考えていたため、今回の大会に出るにあたっての調整はこれを定める事を最終目標にして行われました。
▼三竦みに関しての説明
先程、「ナナネ」→「アハト」→「テトラ」→「ナナネ」……の三竦み環境である事を軽く述べましたが、どのような経緯でそうなったのかを解説していきます。
・「ナナネ」対「テトラ」について
まず、お互いが1丁目に〈ロクロ〉を選択する事を前提に考察が始まりました。
互いのベストな構成同士で戦った場合、テトラ側が有利であった為、ナナネ側はピック方針の変更を余儀なくされました。
先述した通り、【テトラ - ロクロ/ダイダラ(遊天演武)】のみに対してのカウンターピックは存在しますが、ナナネが1丁目に〈バク〉を選択する事はかなりリスクのある行動でもありました。
お互いが1丁目に〈ロクロ〉を選択した場合、基本的にはナナネ側が出し負ける事、〈バク〉や〈コダマ〉にズラしてもライト機銃2丁を選択されて轢き殺されるリスクがある事などから、出し合いについてはテトラ側が有利であると結論づけました。
このマッチアップを検討する際に【ナナネ+ダイダラ】についても検討されましたが、
と言った具合で、選択するのはかなり厳しいと判断されました。
また、テトラ側のライト2丁に対してナナネ側が〈モウリョウ〉を出す事も検討されましたが、"『遊天演武』+《一気討殲》で場の《スピンシールド》や【対応】カードなどを破壊されてケアされてしまう"事が分かり、これもまた現実的な対策とは言えませんでした。
・「テトラ」対「アハト」について
このマッチアップについても、お互いが1丁目に〈ロクロ〉を選択する事から考察が始まりましたが、まずは記事内で触れた前提についておさらいしておきましょう。
しかし、考察を重ねるにつれ前提②については間違っている事が判明したため、まずはこれについて説明します。
【テトラ - ロクロ/ダイダラ(遊天演武)】は、"『システムダウン』対象:ダイダラ"をされても勝ち筋が残る構成と述べたと思いますが、
といった理由から、"『システムダウン』対象:ロクロ"の方が有効である事が分かりました。試合数を重ねてみても、このプレイを行われるとテトラ側が厳しい展開を強いられる試合が多く、【テトラ - ロクロ/ダイダラ】のピック自体があまり有効で無いのでは?となりました。
また、同速戦においては避けられないマッチアップである【テトラ - ロクロ/ヒカギリ】対【アハト - ロクロ/ヒカギリ】についても考察されました。
対戦を重ねた結果、基本的には先攻が有利と言う結論にはなりましたが、
と言う2つの認識もあり、「アハト」側有利じゃないか?と言う疑惑だけ残りこのマッチアップについての議論は一旦打ち切られました。
・「ナナネ」対「アハト」について
このマッチアップについても、お互いが1丁目に〈ロクロ〉を選択する事を前提に考察が始まりましたが、早々にしてある事に気付きます。
それは、"【ナナネ - ロクロ/ヒカギリ(Seve[N] Star)】を受け切れる構成がアハト側には存在しないのではないか?"という事です。
当然、アハト側がスペシャル機銃を選択した場合においても勝ち目が無かった事から、出し合いについては一旦放棄する事にし、アハト側が持つ【ナナネ - ロクロ/ヒカギリ(Seve[N] Star)】に対するカウンター構成を探す事にのみ注力しました。
カウンター構成が発見されたため、次は出し合いについてを考える事にしました。
と言った認識になり、結局「ナナネ」対「アハト」は前者有利なのではという結論付けがされました。
・"当日に選択すべきは誰なのか?"
「ナナネ」「テトラ」「アハト」は三竦みになっている現状を鑑みると、3人の強さや選択肢としての価値は同等レベルといって差し支えありませんでした。
この3人に関する各マッチアップについてはこれ以上深くは掘り下げられない事を悟った調整チームは、別のアプローチを試みることにしました。
▼ミラー戦について
さて、大会でより確実に勝利数を重ねるために、なるべくならば避けたい要素があります。…そう、ジャンケンです。
銃士や機銃の選択ではなく、「最初はグー…」あるいは英語で「Rock,scissors, paper, 1-2-3…」と合図し、3種類の指の出し方(グー・パー・チョキ)で三すくみの関係を構成し、その相性により勝敗を決める遊戯の事です。
ちなみにイタリアだと「Morra cinese (モッラ・チネーゼ)」と呼ばれるらしいです。
「ガンナガン」では、銃士の[速度]が同じ場合は選択した機銃二丁の[合計重量]、それも同じである場合はジャンケンなどの無作為な抽選によって先攻後攻を決定します。
また、先攻に課せられる制約も存在しないため「ガンナガン」は完全なミラーマッチになった場合、後手からゲームに勝つのはかなり難しいゲームです。
調整チームは、「"練度や理解度の差があれば(完全ミラーも含め)後手からでも捲れるケース"を発見する事」を目的にし、「ナナネ」「テトラ」「アハト」それぞれのミラーについてを考察する事にしました。
・「ナナネ」ミラーについて
まず、「【ロクロ/ヒカギリ】を受け切れる構成探し」からナナネミラーについての考察が始まりました。
【ナナネ - ロクロ/ヒカギリ(Seve[N] Star)】のキルターンが3T目である事、2ターンでライブラリアウトを狙える構成がW SHOUT環境においては存在しない事から、〈モウリョウ〉を用いてクロック逆転を狙う構成が考案されました。
筆者が【ロクロ/ヒカギリ(Seve[N] Star)】、池粕氏が【ロクロ/モウリョウ(Rock[N] Roll)】を使用して5試合ほど行ったところ、池粕氏が4勝する結果に終わりました。
この後、組み合わせを変えて4試合ほど行ったところ今度は池粕氏が3勝し、プレイングについての指導を受けました。
筆者は【ロクロ/ヒカギリ(Seve[N] Star)】を使用する際、ライフを削るために《凶弾・裂》込みの射撃を一番に優先していたため、《ファストリロード》+《リカバリー》によってクロックを逆転され負けていました。
上記のプレイを徹底してからは【ロクロ/ヒカギリ(Seve[N] Star)】側の勝率が飛躍的に上がったため、ナナネミラーについては1丁目に〈ロクロ〉、2丁目に〈ヒカギリ〉を選択する事以外はあり得ないと言う結論になりました。
・「テトラ」ミラーについて
【テトラ - ロクロ/ダイダラ(遊天演武)】に対しての評価が著しく高くなったタイミングで一度、テトラミラーについて考察されました。
上記の理由で、テトラミラーに関しては「【ロクロ/ヒカギリ】→【バク/コダマ】→【ロクロ/ダイダラ】→【ロクロ/ヒカギリ】……」というジャンケン状態になっていました。
【バク/ダイダラ】が絡んだケースについては、【テトラ -バク/ダイダラ(遊天演武)】についての評価が低下していた事や、そもそもテトラミラーが"ピック以外の部分(練度)によって勝敗を覆せない"と思われた事などから考察は打ち切られました。
・「アハト」ミラーについて
アハトミラーについての考察は"「ナナネ」対「アハト」"の考察よりも後に始まりました。今までの経験から、最初は"【ロクロ/ヒカギリ】ミラー"を詰める事にしました。
議題①について、後手側は技能に『リバースコマンド』を選択する事が回答になる事が分かりました。
先手側が《静音貫通弾》を用いず手札全てを用いて射撃を行った場合、後手側は後攻2ターン目に"X=8~10"の『リバースコマンド』を発動する事が可能になります。
後手から捲られる事を防ぐためには、先手側は『リバースコマンド』をケアするプランニングが必要でした。
議題②について、先手側も『リバースコマンド』を選択してみたりなどが検討されましたが、最終的な回答は以下のようになりました。
また、1ターン目は技能を発動せずvoltを1以上溜めてターンを返す事によって伏せが『リバースコマンド』である事をチラつかせるプレイであったり、1ターン目のみ〈ヒカギリ〉から引いても良い事などが分かりました。
【アハト - ロクロ/ヒカギリ】ミラーについても基本的には先攻が有利であるとの結論が出ましたが、技能選択/プレイングによっては後手側にも捲るチャンスが十分に存在しており、「練度や理解度の差があれば後手からでも捲れるケース」としての要項を満たしている事が分かりました。
以降も「アハト」ミラーについてはかなり深く掘り下げる事になりましたが、これに関しては後述します。
▼大会当日の構成選択方針について
さて、「ナナネ」「テトラ」「アハト」の中から1人を選択するにあたって、もう1つ指針としている要素がありました。
それは、"「エコ」に対して有利を取りやすい銃士である事"です。
TCGにおいても、所謂"Tier1"と呼ばれているものは「有象無象のデッキに対して概ね問題無く勝利出来る」事も要件の1つとしており、ガンナガンにおいても例外ではありません。(エコを有象無象扱いするのは色々波風が立ちそうですが、調整チーム内でのエコに対しての評価はかなり低いものであったのが事実です。)
「三竦み」や「ミラー」について考察を重ねた甲斐もあり、ようやくここである構成に辿り着きます。
・【アハト - バク/ダイダラ(ブレインハック)】
評価の低い「エコ」でしたが、【ロクロ/ヒカギリ(HATE EATER)】【モウリョウ/any(HATE EATER)】【バク/コダマ(OMOIDE IN MY SHOT)】など構成択が意外と広く、"機銃の出し合い次第では負けかねない"と言う認識は存在していました。
しかし、「W SHOUT環境において、LO構成同士のミラーになった場合、基本的には先攻側が有利である事」「エコが【ダイダラ/バク】に先手を取られてハンデスされる動きに対するカウンターが【コダマ/バク】しか無い事」
そして、これらの要項を把握しているのが我々のみであった事も踏まえると、上記の構成択の全てに回答なり得るゲームプランは明確でした。
調整チームが大会に向けて出した"解"である、【アハト - ダイダラ/バク(ブレインハック)】は、ほぼ毎ターン手札破壊を行い、ライブラリアウトによる勝利を目指すコントロール構成です。
最初は「エコ」に対してのみをフォーカスした構成でしたが、「ナナネ」や「テトラ」に対しても有利を取りやすい構成である事が分かりました。
調整の結果、大会当日は以下の方針でピックを進める事にしました。
・「アハト」ミラーになった場合
結論から申し上げると、大会当日「アハト」ミラーになった場合は【アハト - ロクロ/ダイダラ(ブレインハック)】を選択する事にしていました。
上記の結論になるには紆余曲折ありましたが、まずはアハトミラーにおける前提についていくつか説明します。
まず【ロクロ/ヒカギリ】に対するカウンター構成を探しましたが、先述の通り【ロクロ/ダイダラ(ブレインハック)】が回答になりました。
次に、【ロクロ/ダイダラ(ブレインハック)】に対する回答探しが始まりました。『ブレインハック』が【ロクロ/ダイダラ】に対しては"山札2枚破壊"以上の役割が存在して居なかったことから考察は難航しましたが、調整チームは2つの回答を出す事が出来ました。
これらの回答が出た後、出し合いについての考察が行われましたが
と言う理由で、"2つの回答"については考慮しない方向で当日に臨むことになりました。
身内戦となった決勝卓では【バク/ダイダラ(ブレインハック)】対【ヒカギリ/ダイダラ(ブレインハック)】のアハトミラーになりましたが、これについては第二回大会に出るにあたって考察をしました。詳しくは以下の記事まで。
▼あとがき
今回は、「W SHOUT頒布」から「公式協賛大会(銃士達の軌跡)」までのプレイ記録を書かせて頂きました。
書き洩らしや内容の不備、誤字脱字などあるかと思いますがご容赦ください。
かなり忘れてしまっている部分も多かった事から、思い出しつつの執筆になりました。大体のゲーム理解はしていたつもりですが、そこまでに至る過程だったり、そもそも「これどうなんだっけ?やったっけ?」という所すら忘れてしまっていたため、かなり執筆ケースが遅くなってしまいました。
Twitterで内容をチラ見せするだけのクソキモムーブしてホンマにすんません。ようやく書けました;;
あと今回の調整について。自分が【アハト - バク/ダイダラ(ブレインハック)】を見つけた事以外、大体は池粕って男がゲーム理解を進めてくれてました。今回の記事では文章量を削るためにそう言った件はあまり書かない事にしましたが…。この男、ホンマに凄い。
7月15日~16日にも1泊2日で調整をしてたんですが、俺はバッチリ8時間寝てましたからね。その間に池粕氏と大村氏がめちゃくちゃ対戦しててくれたのでマジで頭が上がりません。俺、美味しいところ持ってっただけなんだが??
しばく会に受け入れてくれて本当に感謝しています、オイスオイスオイスアザスアザスアザス。
あとがきを除くと約21000文字らしいです。長い上に画像も無い記事をここまで読んで頂きありがとうございます。
質問や、誤字脱字に関する報告、記事についてのお褒めの言葉があればぜひTwitter(@t4ks_)にてお待ちしております!
keepdry、そしてケイタ……最高のゲームをありがとうございます。大会、また開いてくれると嬉しいです! ほな、また!
あとチャンネル登録お願いします。最近全然やれてないですが………。