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【#ガンナガン OVERHEAT】過熱の旅路【環境変遷】

【更新履歴】
2021年10月25日:執筆開始
2022年04月06日:記事を公開

【読む前の注意】
今回の記事は「ガンナガン OVERHEAT」を約1年半遊び続けた人間の記録となります。【環境変遷】と謳っているのはそれが理由です。もしかすると【プレイ記録】と言った表現の方が適切なのかもしれません。
・また、ルールやカード効果に関する説明をかなり省いて文章を構成しているため、「これからガンナガンを遊び始める方」向けのコンテンツでは一切無い事と、あくまで「ガンナガンOVERHEAT最終結論攻略記事!」と言った旨の文章で無い事もご了承下さい。(つまり、文章中にはゲームに関する間違った見解も書かれている可能性があるという事です。)
・当記事はW SHOWT発売前までの環境となりますので、「アマタ」のステータスは[速]3/[札]3となります。また、BLOCK2以降に関しての内容は取り扱いません。

…ということで改めまして、高須(Twitter@t4ks_)です。自分のツイートを漁ったら、2020年7月24日に基本セットを購入していた事が判明しました。ツイートを見返すまでは、その頃のプレイ感やワクワクだったり、そもそもいつ基本セットを購入したかすら頭から抜けていたので、「文章による記録って、大事だなあ~」と言うのが今回の文章を書くキッカケになりました。

………と言うのは割と建前です。池粕氏(@ikekasu_428)と「2021年11月14日でOVERHEAT1周年だし、折角だし何かするか~。」と言う理由で記事を書いていましたが、文章量が思ったより多くなってしまった為、2021年11月14日に記事を出す予定から、「"W SHOUT"の追加情報が出る前までには記事を世の中に出す」方針へと切り変えました。(2022年4月3日追記:出ちゃった……)

約1年半の間アップデートやバランス調整の無いこのゲームを遊んだ身からすると、正直な話"ピックにおける最適解"や"最善のプレイング"に関して発信する事はそう難しく無い事です。
しかし、ガンナガンと言うゲームは、「ルール/システムそのもの」だけでなく、「限定されたカードプール内で、身内/対戦相手と環境を回す事」も面白さの1つになっていると自分は考えています。
今回の記事では上記の両方をお伝えできれば良いな、と思っています。回りくどい表現やそもそもの文章量が多いと思いますが、もし読んで下さる方が居れば楽しんで下さると幸いです。

▼表記統一などについて
・銃士→「」
・技能→『』
・機銃→〈〉
・銃士ステータス→[]
・機銃デッキ内カード→《》
・構成/アーキタイプ/機銃デッキ内カード種→【】
・1セット/2セット戦の使用構成→【銃士 - 機銃A/機銃B(技能)】
・二士三銃フォーマット戦の持込構成→【銃士A / 銃士B - 機銃A/機銃B/機銃C】
・二士三銃フォーマット戦の使用構成→【銃士(未選択銃士) - 選択機銃A/選択機銃B/(未選択機銃) 技能】 

上記以外の「」""などの使い分けに関しては気分です。

誤字/脱字や質問等あれば、コメント欄か筆者のTwitter(@t4ks_)までお願いします。「ここの文章表現おかしいぞ!」だったり、「この内容に関してもう少し補足が欲しい……」と言った事も勿論、記事を読んだ感想に関しても書いてくださると学びや励みになります。

さて、前置きが長くなってしまいましたがここからが本文となります。



▼基本セット環境のおさらい

まず、OVERHEATが発売される前のガンナガンについて軽くおさらいしておきます。…とは言ってもこの頃の筆者はガンナガン初心者だったので、他の調整録や大会結果などの受け売りの話になります。

"高速二丁銃カードバトル"

ガンナガンの代名詞通り、基本セットには2ターンで30HITを出力できる構成が2つ存在していました。
1つ目は【キルコ - カサネ/ヌエ(マキシマムリロード)】。これはカサネ3装填射撃×2と『マキシマムリロード』での2T26HITに加え、残りの2枚や《爆裂弾》によって2ターンキルを狙う構成です。
2つ目は【ナトリ - カサネ/エンラ(ジャストアイディア)】。こちらは『ジャストアイディア』や《気迫》を起点に《起死回生》を使い回して2ターンキルを狙う構成です。
しかし、これらの2ターンキルも「相手から妨害を受けなければの話」であり、ガンナガンもカードゲームの例に漏れず"妨害札"と呼ばれるカードが存在します。

"〈変質式連発銃 エンラ〉+〈極地適応型狙撃銃 ダタラ〉"

《フリーズバレット》や《パラライズバレット》によって相手の基本アクションを封じ、これら特殊弾を《リサイクル》や《クールダウン》で使いまわしてのコントロールを基本戦術としたこの組み合わせは、ラン以外の3人が強く扱う事が可能で、上述の2ターンキルを狙う構成に対して非常に有利であった事から、基本2セット環境においては常に意識される存在になりました。しかし、

・1ターンに出せる打点が高くない事から〈弩弓 ハクメン〉や『グッドメディスン』などの回復が厳しい。
・お互いに〈極地適応型狙撃銃 ダタラ〉を選択/使用している場合に、先に《フリーズバレット》を撃たれるとかなり形勢不利になる。
・ロックをすり抜けてくる【機能】中心の機銃デッキや、効果によってボルテージを溜め『影潜み』を発動してくる「ヒバナ」などに対しては、コンセプトを貫徹させるのが難しくなる。

などといった複数の弱点を抱えており、構成によっては【エンラ/ダタラ】に対して有利を取れる場合も存在はしました。

"〈多段焔式 カサネ〉"

速攻を仕掛ける場合に必ず選択された〈多段焔式 カサネ〉は、【エンラ/ダタラ】構成に対して選択すると非常に厳しい戦いを強いられる反面、その高い攻撃力から〈カサネ〉側が有利な対面の方がまだ多く、比較的評価は高い部類にありました。
また、《気迫》《突貫》《起死回生》のカードパワー/コンボ性能には目を見張るものがあり、〈カサネ〉一丁で30HItを叩き出す事も可能では?と言われる程でした。

"〈核熱式反物質粒子砲 ウワン〉"

機銃デッキ内に機能カードが搭載されたこの機銃も、基本環境においては非常に強力でした。
防御札が少ない為【エンラ/カサネ】などの速攻に対して脆い反面、【エンラ/ダタラ】などの中速ビートダウン、〈弩弓 ハクメン〉などの「リソース消費が激しい機銃」に対してはかなり有効でした。
そもそも、基本セットのカードプール内に「山札を復元するカード」が《リサイクル》と『グッドメディスン』しかない為、研究が進んだ現在の基本1セット環境においては「先手がナトリとウワンを選択すると、後手側の勝ち目が無くなる」と言った事態が発生しています。詳しくは下の記事を参照ください。

"基本セット環境における銃士評価 "

・「ナトリ」は、[速度]1である事以外の全てが強い銃士です。技能『ジャストアイディア』は速攻に、『グッドメディスン』はループ/コントロールへの使用用途があり、その上で『バッドメディスン』は発動さえすればゲームが必ず決着する技能であり、その対応力や手札の多さから来る安定感も含めて非常に評価の高い銃士でした。
・「ヒバナ」は、技能『影潜み』による高い解決力や、全銃士最速の[速度]5を持つ反面、手札の少なさから安定感に欠ける銃士です。技能『閃光花火』も強烈ですが、やはり右手に自信があるプレイヤーが使用しているイメージでした。
・「キルコ」は、マリガン効果によって1ターン目から欲しいカードを強引に探す動きや、初手からどちらの機銃のカードも使う動きが強力でした。安定感やステータスは申し分なかったものの、技能に関しては『マキシマムリロード』以外はイマイチ…という評価で、コントロールプランを取るのは微妙な銃士でした。
・「ラン」は[手札]3である事やその銃士効果に由来し、特殊弾や《クールダウン》にアクセスしづらい事や、技能のコストが重いためボルテージを能動的に吐けない事により《リサイクル》も扱いづらい事から【エンラ/ダタラ】構成を強く扱う事が出来ません。それに加え、2ターンキル構成を使用する事も出来ない上、2ターンキル構成への対抗策もほぼ存在しませんでした。その為、全体的なゲームテンポが落ちない限りは選択する機会があまり無い銃士と言われていました。

▼OVERHEAT発売直後の環境

右京とタニキ氏の手によって、OVERHEAT発売から2日後に公開された記事は、プレイ環境に大きな影響を及ぼしました。特に、記事内に記載されていた【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】は特に強力であったため、大村卓(筆者がよくガンナガンを遊んでいる卓)では、「基本環境にて最強だった銃士「ナトリ」にどう勝つか」と同時に「【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】に勝てる構成探し」を中心に話が進んでいきました。

"【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】"

《ヒートアップ》2回+ドドメ4装填射撃+『マキシマムリロード』で1ターン目から7HIT+BURN2を与える事が出来るこの構成の評価は高く、銃士「キルコ」がピックされた場合は殆どの試合でこの構成に派生しました。

新銃士「マカ」のライフ40を削り切れる可能性の高い構成であった他、《吸熱機構》が〈多段焔式 カサネ〉に対して非常に有効なカードであった為、【カサネ+any】構成に対しても強い構成と評価されました。

「相手の銃士が「アマタ」または「ラン」であった場合に、《ヒートアップ》が死に札となり『マキシマムリロード』が2ターン目以降になる」と言う弱点は存在していましたが、そもそも〈高圧式携行駆動銃 ドドメ〉の4装填射撃が非常に強力であった為、「手札3の銃士が後手から勝ちに行くのは非常に難しいだろう」と言う結論に一旦は着地しました。

"[手札]3と[手札]4の決定的な差"

手札が多い事による「ゲーム中に取れる選択肢の多さ」「有効札をドローする確率の高さ」「ゲーム中に使用できるリソースの多さ」と言った安定感もそうですが、決定的だったのは〈高圧式携行駆動銃 ドドメ〉の登場でした。
「【銃弾】を表向きに装填できない」というデメリットこそありましたが、「装填上限4」と「射撃:4装填7HIT」を同時に持っているこの機銃は、OVERHEAT環境において[手札]3銃士と[手札]4~銃士の差を明確に分ける要因になりました。

基本アクション:装填のみで[手札]3の銃士が1ターン目に7HITを出す方法は、「〈変質式連発銃 エンラ〉に《ダブルバレット》と【通常弾】を装填、〈多段焔式 カサネ〉に【通常弾】を装填」以外に無く、カサネの自傷を考えると[手札]3銃士が[手札]4銃士にダメージレースで追いつくのはかなり難しくなりました。

行動《ヒートアップ》は、[手札]3銃士にとっては光明であるかのように見えましたが、手札を増やすカードがコストの重すぎる《オーバーヒート》以外に無かった事、行動《ブリッツ》のコストも3であった事など、《ヒートアップ》以外の要素が[手札]3銃士とはあまり噛み合いの良いものでは無かったため、暫くは「キルコ」「マカ」「ナトリ」の3人が主役の環境となっていきます。

▼〈不消焔器 キヨヒメ〉と【ナトリコントロール】

OVERHEAT発売直後は【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】が強力とされていましたが、この構成への対抗策は早期に発見されました。
それは「全てのビートダウンを受けきる構成」…つまりは【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ(グッドメディスン)】でした。

この構成が強力な理由はいくつかありますが、やはり「《吸熱機構》とナトリの強烈なシナジー」「《リユース》+『グッドメディスン』による無限の山札」が主な要因でした。

・BURNカウンターに対して、ナトリ側は《吸熱機構》を3枚設置する事によって実質的にダメージを0にする事が可能であったこと。
・それに加え、〈キヨヒメ〉の対応カードや技能『グッドメディスン』によってライフを守るギミックが存在したこと
・技能『グッドメディスン』が、〈高圧式携行駆動銃 ドドメ〉のお陰で毎ターン使用する事が可能であったこと。(単純に4装填射撃を行えば良いし、相手の対応や《フリーズバレット》などをケアする場合は《ヒートアップ》を2回使用すれば良い。)
・『グッドメディスン』の山札復元効果によって《リユース》を山札に返せば、実質的に山札を無限にする事すら可能であったこと

非常に強力であったこれらのギミックに干渉できない構成群は軒並み厳しい戦いを強いられる事になり、【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】もその例外ではありませんでした。

▼新要素「マカ」と〈対機構型高波銃 ツエツキ〉

さて、プレイを重ねる中で大村卓のプレイヤー達は、「〈ツエツキ〉の妨害性能の高さ」に着目します。中でも「対ナトリ性能」の高さに目を付けたプレイヤーは、【マカ - ツエツキ/any】構成の強力さに気付き始めました。

"新銃士「マカ」について"

"技能使用時効果"の制約によって「取り回しが難しい銃士」と言う評価を受けていましたが、「ひたすら機銃Aから引く→山札が尽きかけたところで技能発動、機銃Aを使用不能に→機銃Bから引く」という基本戦術が確立されてからは評価が一転。
そもそもライフ40でゲームを開始する能力が技能1枚分に等しいアドバンテージを得ている事、強力な【継続/技能】を持っている事、[手札]4である事などから、「強い要素を兼ね備えている銃士」として認識されました。
「マカ」がナトリメタとして着目されたのは、それに加え「[速度]が2である為、ナトリに対して先攻を取る事が可能だった事」が理由でした。

"〈ツエツキ〉の対ナトリ性能の高さについて"

対応《ジャミング》は、「相手の射撃または技能の、HITを与える以外の効果」を無効にします。それはつまり、「ナトリ」の技能『グッドメディスン』と『ジャストアイディア』は《ジャミング》1枚で無力化されてしまう事を意味します。
これによって、〈対機構型高波銃 ツエツキ〉を相手にした場合の「ナトリ」の技能選択は、ジャミングの影響を受けない『バッドメディスン』または、0~1回の発動と割り切って『グッドメディスン』にするかの二択になりました。
しかし、「ナトリ」を苦しめるのは《ジャミング》だけではありませんでした。
ナトリに対しては2枚ハンデスとして機能する《レベリング》、ガンナガンのコンセプトを否定し相手のゲームプランを破壊する《スクランブル》、ナトリの手札を【行動】へと変換する行為を止める《ノイズジェネレーター》、これらの妨害によってただでさえ遅くなった『バッドメディスン』の発動ターンをさらに遅らせる《エコーバレット》…あらゆる妨害がナトリを襲いました。

"強力な2つの【マカ - ツエツキ/any】構成"

「ナトリ」対面を想定した場合の「マカ」は、一丁目に〈対機構型高波銃 ツエツキ〉を選択し、二丁目に〈高圧式携行駆動銃 ドドメ〉または〈核熱式反物質粒子砲 ウワン〉のどちらかをピックする形が主流になりました。どちらの構成も《アクティベイト》からの上振れや、明確な勝利プランが存在する事から、対ナトリ以外においても強力な構成となりました。

【マカ - ツエツキ/ドドメ(サヨナラは言わないで)】は、〈ツエツキ〉からドローしたカードで相手を妨害しつつ、技能『サヨナラは言わないで』発動後は、射撃や《ヒートアップ》によってその出力をさらに上げつつ、最悪《リユース》によってリソース勝負もある程度可能な、4~5ターンキルを目指したメタビート構成です。

一方、【マカ - ツエツキ/ウワン(すべてをキミに)】は、相手のライフでは無く、相手の山札を0枚にする/ライブラリアウトによって勝利を狙うコントロール構成です。技能『すべてをキミに』発動後は毎ターン〈核熱式反物質砲 ウワン〉の3装填射撃が可能な点は勿論、ナトリに対しての《レベリング》+《攪乱光線》による3枚ハンデスや、残りが1枚~2枚の相手機銃デッキを《スクランブル》によって指定しての実質ハンデスなどの動きも非常に強力でした。

▼三竦みの成立

ここまでの記録で分かったのは、「ナトリはキルコに対して強い事」「マカはナトリに対して強い事」、そして、「キルコがマカに強い場合、三竦みが成立する事」でした。

では、ここで【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】で「マカ」と戦う場合に関して考えてみましょう。

行動《ヒートアップ》は「デッキの上から1枚ボルテージに置き、カードを1枚引く」効果になる。
また、キルコ側が先攻を取れる為、マカ側の機銃デッキに係わらず、
「《ヒートアップ》2回+ドドメ4装填射撃+『マキシマムリロード』で先攻1ターン目の7HIT+BURN2」 という動きを成立させる事が可能。
また、BURN2+ドドメ4装填射撃で、妨害札が無ければキルコはマカに対して1ターンに13HITを与える事が出来る。
(BURN2+ドドメ4装填射撃)×3=39HIT
3(BURN2)+2(ドドメ4装填射撃)+ドドメ3装填射撃+《バックファイア》=43HIT

マカ側からの妨害が無い場合、キルコ側は3ターンキルが可能です。
〈不消焔器 キヨヒメ〉の射撃に対して《ジャミング》が有効である事は認識されていましたが、先攻1ターン目にBURN2の射撃をされてしまうとそもそも《ジャミング》の発動機会すら与えられません。
また、乗せられているBURNカウンターは取り除くことが出来ない為、キルコ側が2ターン目以降一切射撃をしない場合においても、マカ側は少なくとも5ターン以内には決着をつける事が必須になります。
4ライフを回復できれば6ターン、10ライフを回復できれば7ターンと延命は可能ですが、それを行いながら勝利条件を満たす事が出来る構成というものは存在しませんでした。そもそもキルコ側は《フリーズバレット》の効果を受けない限りは普通に射撃を行って来ます。

という訳で、マカ側はアグロ構成を使用しなければならない事が分かりましたが、〈不消焔器 キヨヒメ〉の機銃デッキには8枚の防御札が存在し、《吸熱機構》によるライフゲインも存在します。〈対機構型高波銃 ツエツキ〉の機銃デッキ内には、ライフを守るギミックが《レベリング》によるハンデスしか存在せず、機銃そのものがHITを出力しないため、ダメージレースの土俵においてはかなり不利な戦いを強いられる事になります。また、〈多段焔式 カサネ〉で火力を出そうにも、キルコ側は〈キヨヒメ〉のギミックを用いて、ライフを守る動きを行います。

結果的に、マカ側がキルコに対抗できる構成を見つける事が出来ず「キルコ→マカ→ナトリ→キルコ…の三竦み」が成立する事が判明しました。

▼新銃士「アマタ」に対する評価

さて、新要素である【対応/技能】が目玉であった「アマタ」でしたが、結論としては「かなり使いづらい銃士」と評価されることになりました。

"「アマタ」を使用した構成探し"

まず、自身効果によってライフを調整し、確実に〈荷電式電磁投射砲 ヌエ〉の効果を誘発させる案が浮かびます。ヌエの射撃2回と『焔送り』で30HITの出力を狙える事から、ナトリメタとして注目されていた〈ツエツキ〉と合わせた【アマタ - ヌエ/ツエツキ(焔送り)】が誕生します。
しかし、この戦術はとある裁定が発表されたことによって消滅する事になりました。

Q:アマタがヌエを使用し、自分と相手のライフが同じ状態でターン終了時に、アマタの効果で自分に2HITを与え、自分のライフが相手のライフを下回った場合、ヌエの効果でデッキの上から1枚装填することはできますか?
A:いいえ、できません。ターン終了時の効果はすべて同じタイミングで誘発/解決するため(解決の順番は選ぶことができます)、ヌエの効果は発動しません。

右京とタニキ(@ukyou_taniki)さんのツイートより

また、アマタの利点を活かす別のアイデアとして、自身効果によって「機銃A×3、機銃B×2の手札」を作り出せることから、〈変質式連発銃 エンラ〉の《ダブルバレット》を手札でダブつかせずに使用していく戦術も模索されました。
基本環境でも強力だった【エンラ/ダタラ】を使用する構成や、『焔送り』を用いて速攻を仕掛ける【エンラ/カサネ】などが検討されましたが、いずれも他の強力な構成に対しての勝率は高くありませんでした。

"他の[手札]3銃士との決定的な差"

ヒバナとランも[手札]3の銃士ですが、その自身効果によって「ノーコストで2枚のアドバンテージを生み出す事」が可能です。一方、アマタが2枚のアドバンテージを生み出す為にはライフ2を支払わなければなりません。

「ヒバナ」は1ターン目からボルテージを5枚溜めて『朧走り』を使用出来たり、「ラン」はターン終了時ではありますが機銃に通常弾を装填する事が可能です。それに対して「アマタ」は手札にある3枚のみで1ターン目を動かなければならず、ヒバナとランの2人に比べると初動の弱さが目立ってしまいます。

また、自身の効果を使用した場合、手札が5枚の状態でターンを終える事になる為、そこに《レベリング》を打たれるとライフ2を損するだけとなってしまいます。これもヒバナやランには無い致命的なデメリットです。

"【対応/技能】の致命的な弱点"

アマタの【対応/技能】は、【対応】と【技能】両方の性質を兼ね備えています。また、【対応】は相手の"射撃"または"技能の発動"に対して発動できます。
これは、「アマタの【対応/技能】に対して【対応】を発動する事が可能である」事を意味しています。

ん…???

【技能】に対して【対応】……?

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さて、ここで【対応】カードの仕様に関するお話をします。
【対応】カードは、場に一度セットしてから"相手の射撃"または"技能の発動"に対して発動可能なカードです。つまり、一度場にセットさえしてしまえば発動できるという事です。それがセットしたターンと同じ手番中であったとしてもです。

この仕様を理解したプレイヤー達は「射撃する前に【対応】をセットし、アマタの【対応/技能】に対してセットした【対応】を発動する」と言うプレイングに気付きました。このプレイによって《ジャミング》をセットされるとアマタ側は【対応/技能】によってライフを守る術が失われます。『陽炎』は全ての効果を無くし、『焔送り』は受けるダメージを0にする事が出来なくなります。さらに、《バックファイア》や《相打ち》が回答札になり得るケースすら存在し、アマタが【対応/技能】を発動してもその効果を発揮できない状況になる試合が増えていきました。

また、《フリーズバレット》を打たれるとそもそも【対応/技能】を発動するためのボルテージが溜まらなかったり、《ステルスバレット》込みの機銃や《極地適応型狙撃銃 ダタラ》によっての射撃に対しても【対応/技能】を開けない事から、【エンラ/ダタラ】に対しても非常に不利である事が分かりました。

▼基本環境からここまでの変化

・「キルコ→マカ→ナトリ→キルコ…」の三竦み
・〈高圧式携行駆動銃 ドドメ〉+〈不消焔器 キヨヒメ〉の組み合わせが強力
・〈対機構型高波銃 ツエツキ〉を持った「マカ」の台頭
と言うのが、ここまでお話した内容の大筋となります。

"【エンラ/ダタラ】構成の斜陽化"

「アマタ」に対しては圧倒的に有利を取る事が可能な組み合わせでしたが、ライフ40でゲームを始める「マカ」や、《吸熱機構》でライフ回復を行う〈不消焔器 キヨヒメ〉に対してはビートダウンを達成する事が非常に難しくなってしまう事から、基本セット環境ほどの評価はされなくなりました。
また、〈高圧式携行駆動銃 ドドメ〉の《バラージ》によって【特殊弾】の効果も消されてしまう事や、【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ(グッドメディスン)】のギミックに触る事が出来ない事もその要因でした。

"〈多段焔式 カサネ〉に対する評価の低下"

《ノイズジェネレーター》によって「《気迫》《突貫》《起死回生》を用いたコンボ」の実行が難しくなった事や、《吸熱機構》がそもそも〈カサネ〉のギミックに対しての強烈なメタになった事から、この機銃に対する評価はかなり低下しました。
OVERHEAT発売直後から、【ナトリ - カサネ/ドドメ(ジャストアイディア)】構成の理論値自体は高く評価されていましたが、〈ツエツキ〉や〈キヨヒメ〉のカード群による妨害が重くのしかかっていた為、選択するのはかなりリスクがあると考えられていました。

"〈核熱式反物質粒子砲 ウワン〉への注目"

逆に、基本環境より評価を上げる事になった機銃は、効果によって直接相手の山札を削る〈ウワン〉でした。
マカがウワンを持つと強い事は先述の通りですが、この機銃は"マカ対策"としても注目される事になります。

マカを使用する際の基本戦術として「ひたすら機銃Aから引く→山札が尽きかけたところで技能発動、機銃Aを使用不能に→機銃Bから引く」と言う動きが定着していましたが、これは逆を返せば「機銃Bの山札を20枚削ればマカに勝利出来る」という事を意味しました。

"【キルコ - エンラ/ウワン(ドーピング)】の発見"

キルコがマカに対して強いと言われていた理由は「先手を取る事が可能な上、《ヒートアップが》1volt+1ドローになる為、先攻1ターン目で『マキシマムリロード』が発動可能になるから」と考えられていましたが、この構成もマカの弱点を突く上では非常に有効でした。
「防御札が《多重力光球》《攪乱光線》《閃光幕》ぐらいしか無く、自分のライフを守るのが難しい」と言うデメリットこそ存在しましたが、「『ドーピング』+《ステルスバレット》による、"対応不可6HIT+6枚デッキ破壊"」や《亜空光線》などの強い動きを、キルコのマリガン効果や《ダブルバレット》、《計略》や《オーバーブースト》などにより複数の試合で安定して行う事が可能でした。
マカ相手にも同様、"機銃Bの山札を20枚削り切る"勝利を殆どの試合で行う事が可能でした。

▼「非射撃ガンナガン」の誕生

最初は"対マカ性能"の部分にのみ着目された〈ウワン〉でしたが、対戦を重ねていく内に「え、ウワン強くないか?」と言う思考が大村卓を支配し始めます。

"山復元効果への対処法"

相手が〈高圧式携行駆動銃 ドドメ〉を選択した場合においては、《スクランブル》や《パラライズバレット》によって《リユース》の発動を止め、〈ウワン〉の与HIT時効果や《過負荷光球》の対象を〈ドドメ〉に選択し、効果によって《リユース》を捨て札に叩き落す戦術が定着しました。
また、相手が1ターンの内に《リユース》を発動できる回数を1回に抑える事が可能になる《ノイズジェネレーター》も、山復元効果への対処札として有力でした。
さらに、山復元の効果を持つ技能である『鬼火』と『グッドメディスン』は、《ジャミング》によって無力化する事が可能だった上、『鬼火』に対しては「そもそも射撃しない事によって発動機会を奪うプレイ」が発見されました。

これらの事からプレイヤー達は「ライブラリアウトを勝ち筋とする構成の通りが良い事」に気付きます。

"【ツエツキ/ウワン】構成への評価"

行動カードを用いて相手の手札を破壊し、妨害する事によって相手の山札が切れるまでコントロールをし続けるのが【ツエツキ/ウワン】構成の基本戦術です。
デメリットとして「ライフを守るギミックがハンデスと《閃光幕》、《多重力光球》しか無い事」「ボルテージを溜める速度が遅い事」が挙げられましたが、「《スクランブル》によって、一度使用された《多重力光球》をデッキボトムから浮上させる挙動」を発見した事や、そもそもライフを40でゲームを始めるマカならばデメリットがあまり問題にならない事から、2セット戦の環境に【マカ - ツエツキ/ウワン(すべてをキミに)】が台頭し始めます。

"《閃光幕》の真価"

先述した通り、【ツエツキ/ウワン】の基本的な動きに「行動カードによる妨害」が含まれているのはお分かりの事かと思いますが、その動きを支える一端を担っているのが《閃光幕》です。「《レベリング》+《攪乱光線》」「《攪乱光線》×2」によるハンデスの再現性を高めている他、《計略》や《アクティベイト》といったドローソースや、序盤に捨てる事になった《亜空光線》や《爆砕光線》を手札に回収する動きも強力です。【ツエツキ/ウワン】を相手にしている側は、対応が1枚以上伏せられているだけでこれらのムーブがチラつき、射撃や"技能の発動"を行う際に大きなリスクを課せられます。

【ツエツキ/ウワン】側も、ハンデスを行った後に射撃や"技能の発動"を行うと《過熱》によって手札が回復されてしまったり、《奪火》《閃光幕》《ジャミング》なども打たれるとディスアドバンテージとなるケースが存在しましたが、このリスクは《過負荷光球》や《亜空光線》を活用し、相手に【対応】の機会を与えないプランを取る事によってある程度回避する事が可能でした。

特に【マカ - ツエツキ/ウワン(すべてをキミに)】は、ボルテージが6枚あれば技能発動後は問題無く戦えるため、技能発動前は「〈ツエツキ〉3装填:BREAK2」1発「〈ウワン〉3装填:4HIT」1発の計2回射撃できれば充分で、技能も含めると【対応】を発動されるタイミングは試合を通して多くても3回程しかありませんでした。

そもそも、射撃を行うという事は「リソースを使用する事」とほぼ同義であった為、【ツエツキ/ウワン】だけで無く、「ビートダウンを達成する前にライブラリアウト」してしまう事を危惧したビートダウン構成側も射撃を行わない/行えない試合展開が増えました。

"「非射撃ガンナガン」による環境の変化"

【ツエツキ/ウワン】の台頭によって、射撃を主体とした殆どのビートダウンが息を止める結果にはなりましたが、「キルコ→マカ→ナトリ→キルコ…の三竦み」を破壊するまでには至りませんでした。
【マカ - ツエツキ/ウワン】が【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】を相手にした場合においては、キルコ側の山札が尽きる前にマカ側のライフが尽きる展開になりがちでした。
しかし、「キルコ」は技能の兼ね合いで【ツエツキ/ウワン】を握っても強味を発揮しきれない為、ナトリに対して勝ちきれるかは疑問が残りました。

▼ガンナガンに再び到来した"大会シーズン"

2セット戦に関する考察もかなり深まってきた中、秋葉原にあるゲームスペース「ショップ娯楽屋 秋葉原スペース店」のTwitterアカウントからとあるツイートがされました。

そう、「特殊レギュレーションによる大会」です。実は1月19日地点で開催される事が仄めかされていた為、その日からレギュレーション予想が行われていましたが、それでも抑えきれなくなった筆者達は「レギュレーション発表の1時間前に娯楽屋に乗り込む」と言う荒業を決行。開店凸したその場でレギュレーションを聞き出した筆者と池粕氏の2人は、早速大会に向けた調整を始めるのでした。これ、改めて文字にすると迷惑な奴らだな……。

"2021年1月25日地点の環境評価"

"二士三銃フォーマット"での大会中は、事前に登録した"銃士2人/機銃3丁"しか使用する事が出来ません。つまりは一般的なTCGと同様に「どのように環境を読み取るか」がより重要になってきます。
今での情報や認識を鑑みた結果、主に5つの要因から「マカ」への評価が一番高くなりました。

基本環境にて強力とされていた【エンラ/ダタラ】に対して強く出れる事
マカが殆どのビートダウンを封殺可能だった事
〈ツエツキ〉と併用した場合、ナトリに対して優位に立てる事
2020年10月28日に開催された「ガンナガンOVERHEAT発売直前大会」で全勝(3勝0敗)した2つの構成に対しても恐らく有利が取れるであろう事
"追加ターン"に関するルールが適用される試合展開になった場合、ライフ40でゲームを開始する能力が大きなアドバンテージになると考えられた事

2人とも「ミラーを避けて出し抜けるならその方が良い」と考えていた為、初日の調整は「構成Aを提案→Aに対して有利そうなBを提案→AとBで数試合→生き残った構成に有利そうなCを提案→AorBとCで数試合…」と言った具合で進めていきました。

マカに対しての評価が高くなると「キルコ」が、キルコへの評価が高くなると「ナトリ」が……と言った具合に堂々巡りになりそうでしたが、調整の結果として"構成に必要な要素"が見えてきました。

・ナトリを対策出来る上に大体のビートダウンを受けきる事が可能な「マカ」を構成から外す場合は、それなりの理由が必要。
・そうなると、マカを対策できる「キルコ」はなるべく採用したい。
・"対ナトリ"を考えると〈ツエツキ〉はなるべく採用したい。
・また、〈ツエツキ〉を構成から外した場合【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ(グッドメディスン)】だけで無く、ヒバナの技能『影潜み』や、ダタラやウワンの行動カードによるコントロールや、カサネの《気迫》コンボに屈する結果になりやすい。
・〈ウワン〉に対する評価も低いものでは無かったため、それに対して抵抗できる《リユース》が機銃デッキ内にある〈ドドメ〉も構成からは外しづらい。
・〈キヨヒメ〉はツエツキに対して弱いため、外す選択肢は存在した。ドドメの採用率が低いと見るなら〈ウワン〉、ツエツキの採用率が低いと見るなら〈キヨヒメ〉…と言う認識。
・同銃士戦になった際に先手を狙える〈カサネ〉や〈エンラ〉はなるべく採用したいが、〈ツエツキ〉や〈キヨヒメ〉に対して厳しい戦いを強いられる事になるため優先度は低い。

「マカ」同士のミラーに関しても考察され、【ドドメ/ツエツキ(サヨナラ)】に対して先手を取る事が可能な【カサネ/ツエツキ(サヨナラ)】のマッチアップを行いましたが、以下の理由から【ドドメ/ツエツキ】側が有利と言う結論になりました。

・"強反動"によって後手側がライフレースにおいて優位に立ってしまう事
・《ノイズジェネレーター》によってカサネ側がライフレースを逆転できない事
・機銃デッキ内のカードの多くが《吸熱機構》に反応してしまうため、〈カサネ〉自体が〈キヨヒメ〉に対しても弱い事

結果として、【マカ - ドドメ/ツエツキ(サヨナラは言わないで)】に対する評価は非常に高いものになりました。ビートダウンは初期ライフ40と妨害で捌き、〈ウワン〉のみに対しては《リユース》である程度対抗出来る他、〈ツエツキ〉の存在によりナトリに対しても有利がつくなど、多くの強い要素を兼ね備えていましたが、やはり「キルコ」の存在が課題でした。

"初日段階での結論"

様々な構成が検討されましたが、2人の間で【マカ/any - ドドメ/ツエツキ/any】と言う軸は殆ど揺らがないものになりました。
筆者は【マカ/any - ドドメ/ウワン/ツエツキ】を検討しましたが、any枠にマカ対策の為の「キルコ」を選択した場合の構成択があまり強くなかったため、この案は没になりました。
ナトリの採用に関しても、マカに対しての評価が高い事から「かなりリスクがある」という評価になりました。
結果的に、【マカ - ドドメ/ツエツキ(サヨナラは言わないで)】と【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】の2つを選択肢に出来る【キルコ/マカ - ドドメ/キヨヒメ/ツエツキ】で良いのでは無いか?となり、初日段階でこれが覆る事はありませんでした。

14時の開店凸から始まった調整は19時で停滞し、そこから閉店までは娯楽屋の店長も含めた3人で「フラインゴブリン」と「BluePrints」をした後、一旦持ち帰る事になりました。タノシカッタ…

▼"二士三銃フォーマット"の環境変遷

帰路の電車内で西田ハル氏のツイートを見て暴れそうになりつつも、筆者は【キルコ/マカ - ドドメ/キヨヒメ/ツエツキ】への回答足り得る構成を考え始めました。労働しながら脳内でガンナガン出来るの、ロボでしょ。

"環境を進めるための条件"

まず「【キルコ/マカ - ドドメ/キヨヒメ/ツエツキ】は、銃士選択でお互いに「キルコ」になった場合の戦いにおいて課題があるのでは?」と考えました。

「ガンナガン」では、銃士の[速度]が同じ場合は選択した機銃二丁の[合計重量]、それも同じである場合はジャンケンなどの無作為な抽選によって先攻後攻を決定します。
また、他のTCGと違い"先攻に課せられる制約"が存在しません。(ポケモンカードゲームで言う「先攻はワザとサポートが使用できない」、遊戯王の「ドローフェイズにおける通常のドローと、バトルフェイズを行うことができない」など)
つまり、完全なミラーマッチになった場合、後手からゲームに勝つのはかなり難しいと言う事です。ジャンケンと言う"コントロールが不可能な要素"で1戦を落としてしまう事は、対戦数の少ない大会での優勝を狙うにおいてはかなりの痛手であるし、正直に言うと「気分がかなり良くないので極力避けたい」事案でした。

【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】に関しては「noteに記事も上がっており気付いているプレイヤーは多いだろう。」と言う認識だった為、キルコミラーで出し抜ける要素が「練度」しか無い事は、"二士三銃フォーマット"で戦うにおいてはリスクがあるのでは?と考えました。
さらに、この頃は【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】に対して「キルコで有利を取る為の構成」を発見するには至っておらず、かと言って【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ(グッドメディスン)】を選択しようものなら「〈ツエツキ〉による妨害」がリスクとして重くのしかかっているという認識でした。
ミラーで先攻を獲得するための機銃である〈多段焔式 カサネ〉と〈変質式連発銃 エンラ〉も、〈不消焔器 キヨヒメ〉の《吸熱機構》や【対応】に対して非常に厳しい戦いを強いられる事になりました。

これらの事から、メタを進めるためには「ナトリを対策する為の〈ツエツキ〉を搭載しつつ、【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】への対策も施されている構成」を生み出さなければいけないことを理解しました。

"二士三銃ならではの新たな選択肢"

筆者は、「ナトリ以外を使用した【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】対策」について考え始め、まずは「"先1マキシマムリロード"の動きをどう止めるか」に着目しました。方法としては大きく分けて2つ存在し、

先攻を取り《ジャミング》をセットし、後攻1ターンの『マキシマムリロード』の発動に対して《ジャミング》で対応する。
先攻を取り《叩きつけ》を発動する。
[速度]3以下の[手札]3銃士を選択し、《ヒートアップ》の効果を「山札の上から1枚をボルテージにする」だけにする事によって先攻1ターン目の『マキシマムリロード』発動を不可能にした上で、後攻1ターン目で《ジャミング》をセットする。

①②に関しては銃士「ヒバナ」と【キルコ - カサネ/ツエツキ】が、③に関しては銃士「アマタ」「ラン」がそれぞれ選択肢になる事が分かりました。
その上で、構成選択の際に以下の条件を満たす事が可能な選択肢に絞る事にしました。

A.相手が「キルコ」を選択した場合に、こちらも【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】に対して有利が取れるピックを行える事
B.相手がキルコを選択せず「ナトリ」を選択した場合に、こちらが〈ツエツキ〉を含んだ構成を選択可能な事
C.相手がキルコを選択せず「マカ」を選択した場合においては、こちらは【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】ミラーを避ける構成を使用しているため、それ以外の構成で「マカ」に対抗出来るピックを行える事
D.不意に「キルコ」「マカ」「ナトリ」以外のビートダウン構成が出て来た場合においても、それに対抗出来る構成を選択可能な事

条件Aに関しては先述の選択肢全てが満たしているため割愛。条件Bに関しても[速度]2以上の銃士が〈ツエツキ〉を使用すれば満たせます。
問題は「全ての条件を満たす事」でしたが、【マカ - ツエツキ/ウワン(すべてをキミに)】が条件C以外を達成している事に気付いた筆者は、【ツエツキ/ウワン】構成を使用する方向で選択肢を探す事にしました。

さて、銃士「マカ」と【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】には"ある共通の弱点"が存在しました。
前者は「"技能使用時効果"に起因したライブラリアウトに対する脆弱性」、そして後者は「技能『マキシマムリロード』や、行動《ヒートアップ》などによって多くの山札を使用する事」です。
これはつまり、「〈核熱式反物質粒子砲 ウワン〉は"二士三銃フォーマット"においても通りが良い」事を意味します。
また、〈不消焔器 キヨヒメ〉の射撃や、技能『マキシマムリロード』が《ジャミング》1枚で無力化出来る事を加味すると、「銃士の選択次第では【ツエツキ/ウワン】構成も充分通用するのでは?」と考えた地点で、筆者はとある銃士に着目します。

"銃士「ラン」に対する評価の向上"

[速度]3以下の[手札]3銃士である上に【ツエツキ/ウワン】構成を強力に扱う事が可能な銃士「ラン」は、先述の条件を満たしている選択肢として"二士三銃フォーマット"環境に頭角を現します。

【ラン - ツエツキ/ウワン(がんばる!!)】は、キルコが使う《ヒートアップ》を死に札にさせつつ、〈ツエツキ〉による対ナトリ性能、そして技能『がんばる!!』によるビートダウン耐性も兼ね備えた構成でした。
[手札]3である事による不安定感はありましたが、〈ツエツキ〉の機銃デッキ内にはドローソースがそれなりにあった事や、自身効果や『がんばる!!』の存在によって初手の要求値がそこまで高くない(大体の試合で最低限の動きが可能であった)と考えられていた事から、大会で戦える程度の実用性を感じました。

また、筆者は「"二士三銃フォーマット"においてはピックの読まれづらさも重要」と言った旨の考えをしていたため、【マカ - ドドメ/ツエツキ(サヨナラは言わないで)】【マカ - ツエツキ/ウワン(すべてをキミに)】【ラン - ツエツキ/ウワン(がんばる!!)】の3択に加え、最悪の場合【ドドメ/ウワン】構成も選択肢に入る【マカ/ラン - ドドメ/ウワン/ツエツキ】を選択し、次回以降の調整で使用する事にしました。

"コントロール構成の台頭"

結果として、【マカ/ラン - ドドメ/ウワン/ツエツキ】は【キルコ/マカ - ドドメ/キヨヒメ/ツエツキ】に対して有利に戦う事が可能な構成でした。
狙いであった【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】相手の【ラン - ツエツキ/ウワン(がんばる!!)】の勝率も高く、懸念していた「ランの対ナトリ部分」も概ね問題無かった事や、高いビートダウン耐性もあった事から、"二士三銃フォーマット"はコントロール構成が支配する環境になり始めます。
また、〈ウワン〉を用いたコントロール構成が蔓延り始めたこの時期から、ライブラリアウトに対抗する為の「無限リソース」に関する理解が深まります。

▼「無限リソース」のコンボ例
・《リユース》+『鬼火』
・《リユース》+『グッドメディスン』
・《リユース》+《気迫》
・《リユース》+《リサイクル》
・《リユース》+「回収機構」
・《リユース》+《閃光幕》 etc...

これらの「無限リソース」の動きによって、対【ツエツキ/ウワン】はある程度改善こそされましたが、《スクランブル》や《ノイズジェネレーター》などに対する妨害札に対しての"本質的な回答"ではありませんでした。

平均的なゲームレンジが伸び始めた事によって試合時間も長くなります。調整チーム内では「制限時間の25分以内で試合を終わらせる事が出来るのか?」と言うムードが漂い始め、「"追加ターンの実施"を前提としたプレイの習熟」あるいは「新しい構成の発見」が早急な課題として挙げられる事になりました。

"コンセプトの三竦み"

地獄のコントロール環境の中心にいた【ツエツキ/ウワン】構成ですが、対抗策の1つは意外と早期的な発見がされていました。
それは、マカに対して非常に高い勝率を出していた構成の1つである【キルコ - エンラ/ウワン】です。この構成は、【マカ - ツエツキ/ウワン】と似た戦術を取る【ラン - ツエツキ/ウワン】に対しても有利を取る事が可能であり、"要求値の低い無限リソース"が存在しないコントロール構成にも3T~4T目でのLO勝利が狙う事が可能です。
しかし、「【カサネ/エンラ】【カサネ/ドドメ】などのアグロ構成」「《フリーズバレット》を撃ち回してくる【エンラ/ダタラ】構成」「LOミラーをした場合において《リユース》が無い事」などに対するリスクが存在した事から、"二士三銃フォーマット"の大会において採用できるのか?と言われると「ラン/マカに対してのピンポイントメタ構成な為、ナトリの存在を考えると難しい」と言う評価になりました。

ここまでの事柄を整理すると、「キルコ→マカ→ナトリ→キルコ…」だけで無く「アグロ→ライブラリアウト→コントロール→アグロ…」と言う三竦みも存在する事が判明しました。まぁこれに関してはどのカードゲームもそうなんでしょうが。

我々の中では「調整チーム外のプレイヤーは【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】を持ってくる可能性が高いのではないか?」と言う考えが強かった事から、【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ(グッドメディスン)】を採用できる構成か、ナトリにもキルコにも対抗可能な構成が持ち込み候補の中心になっていました。

筆者も【マカ/ラン - ドドメ/ウワン/ツエツキ】を持ち込み候補として考えていましたが、とある構成の発見により事態は急変します。

"「結論構成」の発見"

2月末、筆者が池粕氏と2人でリモートによる調整を行っていると、どうやら新しい構成を思い付いた様子。彼が「ラン/マカのコントロール、これ受けきれないよね?」と出して来たのは【キルコ/ナトリ - カサネ/ドドメ/キヨヒメ】。

そこで【マカ/ラン - ドドメ/ウワン/ツエツキ】対【キルコ/ナトリ - カサネ/ドドメ/キヨヒメ】の対戦を始めようとしたところ、銃士選択フェイズに関する2つの事実を理解しました。

・〈ツエツキ〉を要する前者の構成に対して、後者が選択する銃士は「キルコ」であること。
・「キルコ」を選択されるであろうことが濃厚なため、前者が出すのは「ラン」になること。

"「ラン」対「キルコ」"のパターンだけを検証すれば構成相性の有利不利を理解できると踏んだ我々は、【ラン(マカ) - ツエツキ/ウワン/(ドドメ) がんばる!!】対【キルコ(ナトリ) - カサネ/キヨヒメ/(ドドメ) マキシマムリロード】の検証を行いました。
結果として、ラン側が大きく負け越し、〈ウワン〉を〈ドドメ〉に変更してもラン側はキルコに勝ちこせないという結論になりました。

・キルコ側は"マリガン効果"や《突貫》によって、《ジャミング》を破壊するための《発破》を握りやすい事に対し、ラン側は初手の3ドローのみで《スクランブル》1枚と、相手の《発破》の枚数を上回る分の《ジャミング》を引き込まなければならない。
・すると、キルコ側はほぼ確実に技能『マキシマムリロード』の発動を通す事が可能な上、2T目のBURN2射撃が通ってしまえばキルコ側が概ね勝利する展開になる。

キルコ側が〈ドドメ〉では無く〈カサネ〉を選択する事によって、技能『マキシマムリロード』を発動する上での障壁であった《ジャミング》のケアがかなり容易になりました。
これによってラン側は非常に苦しい戦いを強いられる事になり、『がんばる!!』でライフを回復しながらコントロールしきるゲームプランを取る事が困難になりました。
銃士選択フェイズで「ナトリ」をピックしてくれればまだ勝利する芽はありそうでしたが、「キルコ」がランにもマカにも優位に戦えることが判明した以上、その線も無くなりました。

【マカ/ラン - ドドメ/ツエツキ/ウワン】は、「ランがキルコに対して有利を取る事が可能」かつ「ツエツキでナトリを封殺する事が出来る」と言う2つの前提があって成立している構成ですが、ランがキルコメタとして機能しなくなってしまっては、この構成は破綻したと言えます。

また、【キルコ/ナトリ - カサネ/ドドメ/キヨヒメ】に対しての回答を探しましたがその日中には見つからず、この構成が二士三銃フォーマットの結論なのでは?と言うムードが漂い始めました。

▼1セット戦に関する再考察

さて、2021年2月23日に開催される予定だった大会でしたが、緊急事態宣言の延長に伴い開催が延期される事になりました。
延期によって生じた猶予はかなり大きく、予定通りに開催されていれば「アグロ→ライブラリアウト→コントロール→アグロ…」の3竦み環境だったところが、「【キルコ/ナトリ - カサネ/ドドメ/キヨヒメ】」を中心としたアグロ環境に姿を変えていました。
どちらにせよ、我々には延期のお陰で「二士三銃フォーマットの"解"」に辿り着いた上で、更に環境を深掘りする時間的余裕も存在しました。

また、「"二士三銃フォーマット"研究」の裏で密かに掘り下げられ続けていた"とある議題"の結論によって、我々は「ナトリに関する重大な事実」に気付く事になります。

"先マカドドメ仮説"

時は遡り2021年の1月中旬、「1セット戦において、先攻側プレイヤーがマカ→ドドメとピックするのが最強では無いか?」と言った内容のツイートが投稿されました。
こう言ったツイートを拾っては自分達で検証するのが日常だった我々は、今回も例に漏れずツイートを合図にDiscordに集合することになりました。

実際に対戦をしてみると先マカドドメ側の勝率が非常に高く、特に2セット戦でも強力であった【マカ - ドドメ/ツエツキ(サヨナラ)】構成に派生するというプレッシャーは、後手側のピック選択肢を大いに狭める要因になりました。

・「マカ」に対して有利を取る為の構成は【キルコ - ドドメ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】のみと言う共通の認識が存在した。
・【キルコ - エンラ/ウワン(ドーピング)】が発見される前の時期だった。
・「マカ」に対して〈ウワン〉をピックしLOを狙おうにも、マカ側の方がキルターンが早い。
・かと言って後手側が〈ツエツキ〉を取り上げpickすると、マカのライフ40が非常に重たく圧し掛かる。

"先マカドドメ仮説"の検証を始めた当時の共通見解

「非射撃ガンナガン」によってゲームレンジが大幅に伸びる以前から検証が始まっていた"先マカドドメ仮説"は、【マカ - ドドメ/ツエツキ(サヨナラ)】の圧倒的なパワーにより真実味を帯び始めました。
また、【ツエツキ/ウワン】構成への評価が上がった後も、HIT軽減の少ないそれに対して有利が取れる【マカ - ドドメ / カサネorエンラ】も存在した事から、この仮説は真実であると一旦は結論付けられました。

しかしこの仮説は、記事内でも何度か触れていた【キルコ - エンラ / ウワン(ドーピング)】が再発見された事に加え、プレイヤー達の理解度が深まった事により覆される事となります。

"仮説の崩壊"

先手マカドドメピックに対して有効なピックを中々見つけられず、仮説が真実味を帯びていく中、Discordサーバー内の対戦ログを見ていた西田ハル氏が「マカドドメに対して、ナトリは他の銃士より勝率が高い」ことに気付きました。
マカドドメ側を選択した筆者に対し、西田氏がピックしたのは【ナトリ - カサネ/ダタラ】。2人でマッチアップに関する考察を行った結果、マカ側の二丁目に〈ツエツキ〉を選択して対戦を開始しました。

・〈ダタラ〉〈カサネ〉共に機銃デッキが【行動カード】を主に構成されている為、《ノイズジェネレーター》の刺さりが良いこと
・《フリーズバレット》《ポイズンバレット》による妨害を、《バラージ》によって躱す動きが可能であること
・ナトリ側が《ジャミング》を嫌って伏せた『バッドメディスン』の発動ターンを、《エコーバレット》によって遅らせる動きが可能であること

【マカ - ドドメ/ツエツキ】vs.【ナトリ - カサネ/ドドメ】に関する考察

上記の考察のように、強力な構成と認識されていた【マカ - ドドメ/ツエツキ】ですが、そんな構成にも3つの弱点が存在しました。

妨害に手札を割いた分、キルターンが遅くなること
・手札を増やす手段が《アクティベイト》か、アクティベイト2回+《オーバーヒート》のみであること
・《リユース》があるとは言え、マカ自身が山札破壊に対する脆弱性を抱えていること

これらの弱点は明確に問題として挙がった事は無く、多くの構成に対して「〈ツエツキ〉のカードを用いて相手を妨害しながら、4~5ターンキルを目指すゲームプラン」を遂行する事が可能でした。
また、『バッドメディスン』も発動さえ出来ればマカの山札を削り切り勝利する事が可能ではあるが、《エコーバレット》により発動ターンを遅らせられ、ナトリ側の勝ち盤面に持っていく事が難しい……と認識されていました。
しかし、【ナトリ - カサネ/ダタラ(バッドメディスン)】には〈ツエツキ〉の妨害を乗り越えてゲームに勝利するプランが存在しました。

手札を全て射撃に費やしvoltを溜める事によって、相手に『バッドメディスン』発動の圧力をかける
《バレットブレイク》で〈ツエツキ〉の装填を破壊し、《エコーバレット》の宣言をさせない
《ノイズジェネレーター》影響下の場合、「"《計略》または《突貫》で手札を増やしてから①"→"②"→"それ以外"」の優先度でプレイを行う
《ポイズンバレット》で〈ドドメ〉を指定し《バラージ》のケアを行ってから、次のターンに《フリーズバレット》込みの射撃を行う

ナトリ側が行うこれらのプレイは、マカ側の「『バッドメディスン』の発動ターンを遅らせながら、ナトリのライフを削るプランの遂行」の要求を高めるものとして非常に有効であることが明らかになり、

A.マカ側が1ターン目でも2ターン目でも《レベリング》を使用する
B.マカ側が〈ツエツキ〉で《エコーバレット》込みの射撃を行う
C.プレイBを通すために〈ツエツキ〉への通常装填を行いながら「《スクランブル》対象:カサネ」を行う

"バッドメディスンケア"の為のプレイ

Aに対しては「ナトリ側が1ターン目でも2ターン目でも《計略》または《突貫》を使用する」、Bに対しては②、マカ側がナトリのライフを削る動き全般に対しては④、がそれぞれ回答になる事が分かりました。また、複数回対戦を行った結果、

・序盤に《ノイズジェネレーター》を設置しないと、ナトリ側のドローソースによってマカ側の"バッドメディスンケア"をすり抜けられる
・《フリーズバレット》を警戒して、ダウンフェイズのドローを〈ドドメ〉から行うと、【ドドメ/ツエツキ】の性質上リーサルが早まる
・《フリーズバレット》込みの射撃を行われると、射撃によるHITが与えられなくなるだけでなく、voltも貯まらないので『サヨナラは言わないで』の出力も大きく低下する
・《ポイズンバレット》込みの射撃を行われると、《アクティベイト》によってハンドが増えなくなるターンが発生する
・ダタラの【特殊弾】に対してマカ側が《バラージ》を使用すると出せるHIT数が低下する

などのマカ側の更なる不利要素が多く発見され、対戦内容もナトリのライフより先にマカ側の山札が尽きる展開が殆どでした。
また、マカ側の技能を『サヨナラは言わないで』以外の2つに変更して試合を行いましたが、ゲーム展開への良い影響は得られませんでした。

"ナトリ側がドローソースを引けずに、マカ側の"バッドメディスンケア"が成功してマカ側が勝利する展開"や"マカ側が《ノイズジェネレーター》を設置できずに、ナトリ側が《気迫》《起死回生》を用いてマカ側のライフを削り切る展開"などの例外的なゲーム展開も存在こそしますが、最終的には「〈ツエツキ〉のみではナトリを抑えられないケースも存在する」と言う結論付けがされました。

"ナトリ・アンド・ガン"

"先マカドドメ仮説"を考察した事によって確立された「《エコーバレット》を無力化し、最速(2ターン目)で『バッドメディスン』を発動する」ゲームプランは、〈ツエツキ〉を用いた他の構成に対しても非常に有効でした。
また、このプランを遂行する際に《ヒートアップ》や《バラージ》が強力であった事から、「ナトリ+ドドメ」に対しての評価が非常に高くなりました。
また「〈ツエツキ〉無しではナトリに対抗出来ない」と考えられていたことや、"先マカドドメ仮説"が覆された事もあり、ガンナガンそのものの環境はまた「ナトリ」が支配し始め、"二士三銃フォーマット"に関しても同様でした。

▼二士三銃フォーマットの"解"

「マカ」や「ラン」による【ツエツキ/ウワン】が支配する地獄のコントロール環境も終わり、"先マカドドメ仮説"に関する考察も決着し、延期されていた大会の再開催日も決まりました。いよいよ、"二士三銃フォーマット"がその全容を見せようとしている中、我々は最後の難題に直面しました。

【キルコ/ナトリ - カサネ/ドドメ/キヨヒメ】への回答が見つかっていない事
・選出の結果ミラー戦になってしまった場合、ガンナガンとは関係ない要素(ジャンケン)で試合の勝敗が決まってしまう事

我々の共通認識として「【キルコ / ナトリ - カサネ/ドドメ/キヨヒメ】に至ってるコミュニティは自分達以外存在しないだろう」というのがあり、調整チーム外のプレイヤーと対戦する事になった場合は勝てる自信がありました。
しかし、全勝優勝を狙うには"身内マッチ"や、調整チーム外の"至り手"などを出し抜く必要があったことや、「折角ガンナガンの大会に出るんだから、ジャンケンじゃなくてプレイで勝負できるならそうしたいよね~」と言う思惑がありました。

"「結論構成」同士のミラーについて"

【キルコ/ナトリ - カサネ/ドドメ/キヨヒメ】のミラーマッチは、【ナトリ - カサネ / トドメ】とピックしてジャンケンで先手後手を決定する形がベストである事が判明していました。

①「キルコ」を選んでしまうと、派生する構成択の都合上【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ(グッドメディスン)】に封殺されてしまうこと
②「ナトリ」ミラーになった場合にほぼほぼ先手側が確実に勝つため、お互いに【ナトリ - カサネ/ドドメ】の選択になること
③ 上記2つの理由から、キルコミラーはほぼ発生し得ないこと

この「結論構成」は調整チーム全員の持ち込み候補となる程度には強力なものでしたが、やはりミラーマッチでジャンケンをする事になってしまうことがネックでした。
大会まで残り3週間。プレイヤー達は「【キルコ/ナトリ - カサネ/ドドメ/キヨヒメ】ミラーを避ける事は可能かどうか」を考察するフェーズに入りました。

"議題その1「ナトリミラー」"

別の持ち込み構成案を考える過程で、ナトリミラーの様々なマッチアップを行いましたが、「ドドメ+ナトリがやはり強力であること」と「高重量機銃を担いだ後手側のナトリはそれに対する捲りプランが存在しないこと」が分かりました。
そこで、同銃士戦になった場合に高い確率で先攻を確保できる「カサネ+エンラ」の組み合わせに白羽の矢が立ち、重要な3つのマッチアップについて改めて検証する運びになりました。

①【ナトリ - カサネ/ドドメ】vs.【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ】
前者有利(60:40)。前者の勝ち筋は《バラージ》を手札に準備した上で、ドローソースや『ジャストアイディア』を絡めての2ターンキルを行うプラン。最低でも1T目に9HIT与えられることと、《ヒートアップ》や《突貫》によって山を掘り進めやすいことから2TKの再現性はかなり高い。

②【ナトリ - カサネ/エンラ】vs.【ナトリ - カサネ/ドドメ】
前者有利(55:45)。【カサネ/ドドメ】側のワンショットや《ブリッツ》による追加ターンを、《パラライズバレット》によって抑制出来る先手側が優位にゲームを運びやすい。[手札]5のナトリが《パラライズバレット》を引き込める確率はかなり高いが、引けないと敗北に直結する。

③【ナトリ - カサネ/エンラ】vs.【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ】
後者有利(40:60)。《バラージ》が無いため、後者が2回目のダウンフェイズまでに《吸熱機構》が絡まないという事故が無い限りはクロックが逆転する展開になりがち。

ざっくりと、【ナトリ - カサネ/エンラ】→【ナトリ - カサネ/ドドメ】→【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ】→【ナトリ - カサネ/エンラ】……の三竦みが成立していることを理解しましたが、②のマッチアップに関して【ナトリ - カサネ/エンラ】が思ったより有利を取れている訳では無いことから、当日の構成に「カサネ+エンラ」込みのそれを持っていくのはリスクがあると判断されました。

"議題2「ランvsナトリ」"

大会2週間前当時の筆者は、【ラン/any - キヨヒメ/ウワン/ツエツキ】の持ち込みを検討していました。理由としてはいくつかあり、

①ミラーマッチを避けたかったこと
②【キルコ - カサネ/キヨヒメ(マキシマムリロード)】に対して、【ラン - キヨヒメ/ツエツキ】で有利が取れるのではないか?と考えたこと
③現状高く評価されているアグロ構成全般に対し、any枠に速度の高い銃士を採用し〈キヨヒメ〉の対応カードをガン伏せするプランで対抗できるのでは?と考えたこと
④その上で、ツエツキを持ったランがナトリに対抗出来るならば、持ち込む価値は十分にあると考えたこと

特に②と③に関しては、実際の対戦で得られた情報だったので「ワンチャンあるのでは?」と個人的に感じていました。

④の理由に関してイマイチ決め手に欠けていたため、一先ず仮想敵を【ナトリ - カサネ/ドドメ】と【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ】の2つに絞り、それに対してラン側に勝ち筋があるかどうかを考える事にしました。

①【ラン - ウワン/ツエツキ(がんばる!!)】vs.【ナトリ - カサネ/ドドメ(バッドメディスン)】
《ノイズジェネレーター》や《ジャミング》の存在や、ラン側がそもそもナトリのライフを削らないことから、ナトリ側は早期のワンショットプランを捨て、『バッドメディスン』によってラン側の山札破壊を狙うプランにしなければいけないことが分かりました。しかし、これらのプレイングに対して

・「《スクランブル》対象:カサネ」と同時に、《ノイズジェネレーター》設置も行わないと、《突貫》から《ヒートアップ》や《バラージ》に繋がる恐れがあること
・《ノイズジェネレーター》が無いと、《レベリング》をしたとしても、《ヒートアップ》2回でvolt4まで迫られること
・《叩き付け》によって「〈ツエツキ〉の射撃でナトリのvoltを破壊するプレイ」をケアされること

ラン側は、[手札3]にもかかわらず早い段階で《ノイズジェネレーター》を引きこまねばならない事が分かりました。また、《ノイズジェネレーター》と合わせて《レベリング》や《スクランブル》、《エコーバレット》込みの射撃も同時に行わなければならず、"バッドメディスンケア"を完全に行うための要求は決して低いものとは言えませんでした。
また、運よく『バッドメディスン』の発動ターンを4ターン目まで遅らせる事が出来たとしても、更なる障壁が存在しました。

・試合を通して2回以上リユースを使用されるとラン側はLOをほぼ狙えなくなること
・ナトリ側には「気迫+リユース」の"無限リソース"が存在していること
・《ブリッツ》によって『バッドメディスン』の誘発回数を増やせること
・《バラージ》を手札にキープするナトリ側のプレイングに対して、ラン側の《スクランブル》は有限(3回まで)であること

など、ラン側にとっての不利要素が多く見つかり、ラン側が勝利するための要求値が高い事が分かりました。

②【ラン - ウワン/ツエツキ】vs.【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ】
キヨヒメには自ターンに使用可能なドローソースが無いため、「《スクランブル》対象:キヨヒメ」のプレイが有効であると考えられていましたが、〈ウワン〉の射撃が【対応カード】によってその効力を失いやすい点や、そもそも「《リユース》を2回以上打たれるとライブラリアウトがほぼ狙えなくなる」と言うのが変わっていない点からも、このマッチアップにおいてもラン側の勝利は難しいと判断されました。
しかし、無限リソースやドローソースの不在から、①のマッチアップよりは多少チャンスがあるのでは?と考えられました。

また、【ラン - キヨヒメ/ツエツキ】についても考察されましたが、〈ウワン〉を〈キヨヒメ〉に持ち替えたところで、『バッドメディスン』を勝ち筋とするナトリのゲームプランに対して有効な手立ては無いと判断されました。

「ラン」がツエツキを持ってしてもナトリに対しては厳しい戦いを強いられる事や、"キルコ対策をするにしてもナトリで良い"という事実もあったため、【ラン/any - キヨヒメ/ウワン/ツエツキ】の構成案はボツになりました。

"当日の結果について"

上の4人が調整チームのメンバーで自分は4位(×〇〇)。
考察の末、自分も「結論構成」を持ち込みました。当日はどこか1卓で【ナトリ - カサネ/ドドメ】同士のジャンケンが発生しており、初戦の負けもジャンケンで後攻を取らされたというものでした。ちなみに決勝卓も【ナトリ - カサネ/ドドメ】同士のジャンケンでした。やるなお前✊✌✋

さて、「ナトリ+マカ」と言う銃士選択に関してですが、これは「相手にキルコを出させ、自分はナトリを出す」と言うプランに基づいたもののようです。【キルコ - ドドメ/キヨヒメ】を構成の択に入れるプレイヤーの存在は多いだろうという予測はありましたが、蓋を開けてみると半数が身内(定員8人なのだから当然と言えば当然)な上、該当者は0人だった事からほぼお飾りとなっているような状態でした。

小規模な大会だったとはいえ調整チームの全員が勝ち越しで終えており、2か月間ガンナガンと向き合った成果を感じました。


▼2セット戦に関する再考察

さて、特殊レギュレーションによる大会も終わり、しばらくガンナガン界隈そのものに動きのない期間が続きました。
新作が待ち遠しいお年頃の我々でしたが、2セット戦について考察の余地や、プレイするモチベーションが残っていたため、まだまだプレイを続ける事になりました。

"マカvs.ナトリ"

「〈ツエツキ〉のみではナトリを抑えられないケースも存在する」と言う結論付けがされてから、ナトリにどう対抗するかと言う議論はされていました。
ナトリに対しての評価が高く「キルコ→マカ→ナトリ→キルコ……」の三竦みが崩れていた時期も存在していましたが、マカがナトリに勝つための構成が発見され、キルコマカナトリの三竦みは元に戻ることになりました。

高重量機銃に対する評価が落ちると同時に注目され始めた【マカ - エンラ/ドドメ(サヨナラ)】は、最低限の動きでも3ターンで30HITが出力可能な安定感がある上で、上振れれば2ターンキルにも持っていく事が可能な爆発力がありました。

【マカ - エンラ/ドドメ(サヨナラ)】のココが強い!
・「《オーバーブースト》→《オーバーヒート》」によるドロー性能
・《ヒートアップ》による『サヨナラは言わないで』の出力増強
・《ブリッツ》による追加ターン
・《パラライズバレット》によって、相手のワンショットや〈ツエツキ〉による妨害を抑制出来る
・ライフが40ある「マカ」側には、現状ほぼ確実に3ターン目が回ってくる

【ナトリ - カサネ/ドドメ】は爆発力があるとは言え、《パラライズバレット》込みの射撃を宣言されればそもそも《バラージ》を打つ事さえ出来ず、そうなるとマカのライフ40を削るのはかなり難しくなります。
【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ】に関しても《パラライズバレット》への耐性や、【対応】によってライフを守る動きはありましたが、『サヨナラは言わないで』を開かれると、対応カードの有無にかかわらずライフを削られてしまい、ダメージレースに勝てないといった具合になりました。

【マカ -エンラ/ドドメ】は相変わらずキルコに対しての勝率はかなり低いものでしたが、それ以外の構成に対しての勝率はかなり高い結果になりました。

"起死回生OTK"

さて、いつものようにのんびりとガンナガンをプレイしていると、大村卓のDiscordにて、とあるメッセージが投下されました。

"ナトリ+ドドメ+カサネの不撓不屈ループって既出ですか?"

「いや流石にガンナガンにループは無いでしょ…」「いやあってもそもそも使わんやろ……」「ワンショットは一応あるけど………」などの声がDiscord内やTwitterで上がりましたが、

…ありました。このループについて要約すると、

①自身のライフが15以下
②カサネの山札が0枚
③手札が《突貫》《突貫》《リユース》

3つの条件を全て満たしていると相手が死にます。(ガチ要約なので詳しくは上記のURLを読みましょう。)(@ikekasu_428、なんて男だ……。)
ちなみにどの銃士でも〈カサネ〉と〈ドドメ〉を持っていれば基本的にはループに入ることは可能でしたが、条件3つを全て満たすというのはかなり厳しく、《パラライズバレット》や《ノイズジェネレーター》などで止まってしまう為、ゲーム自体が壊れるほどの影響はありませんでした。

しかし、このループの発見による影響を受けるマッチアップがごく僅かですが存在しました。
機銃デッキ内のカードの多くが《吸熱機構》に反応してしまう〈カサネ〉は〈キヨヒメ〉に対してあまり勝ち目が無いと評価されていましたが、〈ドドメ〉とセットで持つことにより勝ちの目が生まれる事が分かりました。
特に、"二士三銃フォーマット"でも起こり得た【ナトリ - ドドメ/キヨヒメ】対【キルコ - カサネ/ドドメ】のマッチアップ。今まではナトリ側有利と言われていましたが、キルコ側には「ループイン」という勝ち筋が生まれました。

しかし、通常2セット戦におけるナトリvs.キルコは、基本的にはナトリ優位のピックが行えるため、「キルコ→マカ→ナトリ→キルコ……」の三竦みを崩すには至りませんでした。


▼一旦あとがきって事で良いか?

……ここまで約28900文字。大体書きたい事も書けたのと、記事を書き始めた当初よりも大幅に文章量が膨らんでしまったため、一旦ここで筆を置きます。ツカレタ
ただ、書きたい内容自体はもう少しあるので、もしかしたら追記や更新などを行うかもしれません。
書いてほしい内容がある場合、言ってくだされば自分が理解できてる範疇で書くと思います。

【記事に追加する予定のコンテンツ】
・ラン視点の全対面考察をしたぞ!
・海外の特殊レギュレーションについて

あと、"二士三銃フォーマット"に関しての内容は「BURST!!」に書いてあるものの受け売りだったりするので、こちらも読んでみてください。まぁ僕も寄稿してるんですけど。

後半の方は力尽きてしまいましたが、楽しんで読んで頂ければ幸いです。
また、この記事は「読めばBLOCK1のガンナガンがちょっと分かる」と言うのを目指しているため、"W SHOWT"などのBLOCK2に関しての内容は記事内で触れるつもりはありません。もし、更新を楽しみにしてくださっている方が居ればこの点だけご了承ください。

何かあればTwitter(@t4ks_)かコメント欄まで。ほな