地平線への旅
地平線への旅
大鳳 万
少年が生まれた街はそれなりに大きく豊かでしたが、誰もが無口な街でした。少年は自分の名前も知らないまま、その街で、ひとりで育ちました。
ある時、おしゃべりな旅人の会話が風に乗ってやってきました。この世界の果てには、全ての疑問や悩みに応える大きな図書館があるというのです。そして傍には展望台もあり、新たな世界を見せてくれるとか。少年は、その図書館へ行けば自分の名前がわかるかもしれないと思い、旅に出ることにしました。
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