見出し画像

単純なことほど難しい。Simple is difficult.

『アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方』より、「彼らが辞めていく理由」。
 
日本語版はこちら。
 
「彼らが艦を離れていく第一の理由は、給料が安いせいだろうと思っていたのだが、驚いたことに、実際にはそれは五番目の理由だった。
 第一の理由は「上司から大切に扱ってもらえないこと」だったのである。
 第二は「積極的な行動を抑え込まれること」。
 第三は「意見に耳を貸してもらえないこと」。
 第四は「責任範囲を拡大してもらえないこと」であった。」

 
 
原書(It's Your Ship)の英語はこちら。
 
I read some exit surveys, interviews conducted by the military to find out why people are leaving.
I assumed that low pay would be the first reason, but infact it was fifth.
The top reason was not being treated with respect or dignity;
second was being prevented from making an impact on the organizarion;
third, not being listened to;
and fourth, not being reward with more responsibility.
Talk about an eye-opener.
 
 
assume that は「...だと仮定する、決めてかかる、当然...と思う」。辞書には「時に間違っていることを合意」とあり、ここでは「決めてかかる」が近い。
pay は名詞。low pay で「安い給料」。
dignity は尊厳。『沈黙の艦隊』の序盤で登場して、覚えている。
be reward with は「...で報われる」。
eye-openerは、目を見張らせるような事(体験、物)。
 
 
あえて直訳をこころみると、
 
「最大の理由は、敬意や尊厳をもって扱われないこと、
 二番目は、組織に影響を与えるのを妨げられること、
 三番目は、聴いてもらえないこと、
 そして第四は、より大きな責任を与えてもらえないことだった」
 
 
一言でいうと、
「対等な、一人前の人間として扱われないこと」
だ。
 
 
ということは、これらを防ごうと思ったら、真逆のことをすればいい。
 
 
尊厳をもって、敬意を払って接すること。
組織に何らかの影響を与えている実感、存在意義を感じられること。
話を最後まで聴くこと。意見を参考にすること。受け入れること。
一つのことを終えたら、繰り返しでなく、より高度な仕事をさせること。
 
当然、 
「対等な、一人前の人間として接すること」
となる。
 
明快で単純な話だ。
 
そして、単純なことほど、しばしば難しい。
 
 
話はこう続いている。
 
「さらに調べてみると、一般のビジネス界でも、社員が会社を辞めていく理由のうち、給料への不満は五番目だったのだ。」
 
 
原書はこちら。
 
Further research disclosed an unexpected parallel with civilian life.
According to a recent survey, low pay is also number five on the list of reasons why private employees jump from one company to another.
And the top four reasons are virtually the same as in the military.
The inescapable conclusion is that, as leaders, we are all doing the same wrong things.
 
 
unexpected parallel with は、~との予期せぬ類似点
civilian life は民間人の生活/人生
private は「民間の/私営の」。
virtually ほぼ、事実上、実質的には
 
virtual は「仮想の」と訳したくなるが、「ほぼ、ほとんど」の意。
 
 
なるべく正確に訳してみると:
 
「さらなる研究で、民間人の生活とも予期せぬ類似点が明らかになった。
 最近の調査によれば、安い給料は一般企業の社員がほかの会社へ転職する理由の、やはり五番目だ。
 そして上位四つの理由は、軍隊のそれらとほぼ同じ。
 避けられない結論は、我々リーダーはいつも同じ過ちを繰り返しているということだ。」
 
 
 
民間企業でも同じ理由が原因だった。
 
  
息を吸い、息を吐き、
深くうなずく。
 
 
気づかされる、そして省みさせられるくだりでした。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?