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【人事に効く論文】ジョブ・クラフティングとJD-Rモデルの融合 → Job crafting: Towards a new model of individual job redesign.

先行研究の文献調査に基づき、ジョブ・クラフティングとJD-Rモデルを結び付けた論文です。

Tims, M., & Bakker, A. B. (2010). Job crafting: Towards a new model of individual job redesign. SA Journal of Industrial Psychology, 36(2), 1–9.

1. 45秒で分かる論文の概要

この論文は、Wrzesniewski, A., & Dutton, J. E. (2001)のジョブ・クラフティングの考え方を発展させ、仕事の要求度-資源モデル(JD-Rモデル)と結び付けました。どのように結び付けたかというと、ジョブ・クラフティングを仕事の要求度と資源のアンバランスを是正する動きと捉えなおし、「仕事の資源を高める」「仕事の要求度を下げる」「仕事の要求度を上げる」の3つの次元を設定したのです。その上で、先行研究の文献調査に基づき、以下4つの場合においてジョブ・クラフティングが促進するという示唆が提唱されました。
  ①従業員本人と仕事がミスフィットの状態にある
  ②仕事の自律性と独立性が高い
  ③従業員本人の主体性、自己効力感、昇進志向が高い
  ④状況にマッチしたフィードバックを従業員本人が受けている
また、従来、ジョブ・クラフティングは質的に研究されることが多かったのですが、この論文がJD-Rモデルと結び付けたことにより、その後の量的な研究へとつながっていくことになりました。

2. 現場目線の解説/感想

この論文でジョブ・クラフティングをどのようにJD-Rモデルに取り込んだのか、論文内にあったパス図を適当に日本語訳してみました。

ジョブ・クラフティング

あらためてパス図にすると、「本人と仕事のミスフィット」が本当にジョブ・クラフティングの先行因子なのか、ちょっと怪しい感じがしますよね。この論文の後、研究がどう進んでいったか、別の論文をあたっていきたいと思います。

3. 読後の余談

一つの理論が別の理論とつながり、新しい方向へと発展していく。そんな様子を体感できるような論文でした。色々な論文を読むたびに、「なぜいちいち先行研究のことをネチネチ紹介しているのだろう、その道の研究者なら知っていることばかりなのに」と思ったのですが、それぞれの論文がどの系譜に属しているかを示すのに必要不可欠な御作法なんですね。

4. 関係性の高い論文

Wrzesniewski, A., & Dutton, J. E. (2001). Crafting a Job: Revisioning Employees as Active Crafters of Their Work. AMRO, 26(2), 179–201.

2022年1月27日 初稿作成
2022年2月20日 関係性の高い論文を修正

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