社会授業ネタ 〜思考ツール編〜


思考ツールを使った授業実践やアイディアのまとめです。思考ツールでは、生徒の思考を制限してあげることでより考えやすくなります。また練習を重ねていくことでより多様な物の見方ができるようになるのでオススメです。

【なぜ?をつくる練習】


社会科の授業で、生徒には問題解決の仕方だけでなく、【問題を発見できる】ようになってほしいと思っている。

でも生徒だけで疑問を作らせようとすると疑問が弱かったり、浅いものになってしまうことがある。

【深い疑問や、異なる視点からの疑問をもつにも練習が必要】

質問•疑問マトリクスを少しアレンジしたもの。
項目が多すぎても考えきれないと思うので、自分なりに大切だと思っている【可能性•仮定•意図】を中心に考えさせたい。

練習していくことで、疑問をもつ視点が多様になることを期待しています。



【オセアニア州】複数の情報


オーストラリアの農業の特色について
①資料から読み取ることを「降水量」と「牛と羊の分布」に分けて読み取る。
②ステップチャートで、読み取ったことを【関連づける】
③最後に関連づけたことをまとめていく。

社会科では複数の資料から読み取ったことを関連づけて考えることが必要になる。

最初はグループワークで教師と一緒に手順を踏みながら行う。

最終的には【考え方の練習を行う】ことで、自分自身の物の見方で資料から読み取りができるようになってほしい。

【南アメリカ】反対の立場から


①熱帯林がどれだけ伐採されているか資料を提示する。
②経済開発と環境保全がトレードオフの関係になっていることを確認する。
③資料を使って、まず【自分の意見と反対の立場から意見を作る。】

南アメリカにおける環境保全と経済開発はどのようにすすめていけばよいのか本当に頭を悩ます問題。

多くの場合「環境保全を大切にする」という意見が多くなるので、必ず【反対の立場】で意見を一度作るようにする。

【相手のことを理解しよう】としたうえで話し合いにのぞむ態度を育てたい。

今回の授業ではここまでで終わっている。
でもこのままだと
【どちらかを取るとどちらか失う】トレードオフ思考で終わってしまう。

このあとに
【両方とってもお互いに利益が出ると仮定する】そしてあとからそれに理由付けする、AND思考の授業をするとさらに前向きな考え方ができるかなと

と思った!

【日本地理】何を大切にするか。


①原油の備蓄基地をみて、なぜこのように巨大な設備をつくっているのか考える。
②日本の資源とエネルギーについて、【安全・自給率・費用・環境】の4つの面から問題点を考える。
③今後、日本の資源とエネルギー問題において重要だと思う順にランキング付けする。

資源、エネルギー問題については安全性を考えていくと火力発電が中心となり多くの資源の輸入が必要になる。

再生可能エネルギーではまだ電力発生量が少ないため使用量が増えると電気代が上昇する。

全て達成することが難しい時に【何を大切にするか】話し合いを通じて自分の価値観を形成していく。

【日本の姿】すると…から考える


①日本と韓国の範囲はどこまでか話し合ったあと、日本の領域や経済水域について基本的な知識を得る。
②沖ノ鳥島を守るために750億円かけてきたことを知る。
③「するとツリー」によって沖ノ鳥島が無くなるとどのような影響がでるのかを考えていく。

排他的経済水域が無くなることは、領域と資源の問題だけではなく、そこから経済や国交の問題にまでつながってくる。
そこから問題がつながっていることに気づかせたい。

他の領土問題についてもなぜそれが日本にとって重要な問題なのかということを【自分ごととして】捉えさせたい。

参考文献:子供の思考をアクティブにする社会科の授業展開 澤井陽介 東洋館出版社

【九州地方】火山との共生


①年間千回以上も噴火することがある桜島。約4kmしか離れていない鹿児島市に60万人以上が生活している
②火山のふもとで暮らすメリットとデメリットを考える。
③メリットは人々の生活とどのようにつながっているか、デメリットを減らす工夫をイメージマップで考える。

火山のふもとで生活する人々の暮らしについて、火山のメリットが人々の身近な暮らしとつながっているところまで考えさせたい。
また火山への防災対策なども、火山灰がふると洗濯物をしまわなければいけないことなど身近なこととつながっているところに気づかせたい。

参考文献:子供の思考をアクティブにする社会科の授業展開 澤井陽介 東洋館出版社

【古代】万里の長城を作れた理由


①万里の長城の長さを、日本の長さや地球一周の長さと比べる。
②始皇帝が文字•単位•馬車の走る幅•貨幣を統一したことを知る。
③なぜ万里の長城など大規模な建築物を作ることができたのか、ピラミッドチャートで、始皇帝の政策の目的を【焦点化】する。

それぞれを統一することで、自分の命令を早く正確に伝えるなど
【より広く、たくさんの人を支配するための仕組み】を作り上げた。

広大な地域を治めるには、それだけのシステムを作る必要があった。
国をまとめるために様々な工夫があったことに気づかせたい。

【古代】人々の生活を比べる


①縄文時代と弥生時代の生活における衣食住の異なる点と共通点をベン図を使って考える。
②考えた意見をグループ→クラスで共有する。
③古代の日本の人々の暮らしについて気づいたこと・疑問に思ったこと・学びたいと思ったことを書く。

縄文時代と弥生時代の人々の
暮らしの違いをクローズアップすることで、「なぜ人々の生活は変化したのか」「もっとこの時代の人々の生活について詳しく知りたい」ということを考えるきっかけにしたい。

獲得経済から生産経済へと移り変わったことで、「クニ」というまとまりが現れる様子を捉えさせる

【古代】それぞれの立場で考える


ヤマト王権の勢力拡大について
①前方後円墳の広まりや鉄剣の出土した場所からヤマト王権の勢力範囲について知る。
②どのように勢力拡大したのか
「Yチャート」を使い、ヤマト王権、豪族、朝鮮半島の立場になって【鉄をめぐる思い】から考える。

当時の日本列島で大規模に鉄を作る技術が広まっていなかったことから鉄の供給は朝鮮半島に頼っていた。

朝鮮半島とのつながりがあるヤマト王権は、鉄や技術を与えることで各地の豪族を従えた。

国同士の交渉において
【資源や技術をもつものが有利】になることは現代社会でも同じ。

【大日本帝国憲法】
特色を思考ツールで表現

①教科書を音読して全体を把握。
②大日本帝国憲法ができるまでの流れを解説。
③教科書や資料から大日本帝国憲法の特色を考え、フィッシュボーンの中骨に選んで記入。
④③を使って自分の言葉で、特色を説明する。

特色を教師から説明するのではなく、今まで習ったことや資料から何が大切なのかを考えて【生徒自身で選びとる】
その際、板垣退助、岩倉具視、伊藤博文の写真も掲示することで、自由や権利、外交との関連づけをしやすくなる。
最後はなぜその語句を選んだのか、自分で説明できるようになってほしい。

【近代前半】それぞれの思い


日露戦争のあとすすんだ韓国の植民地化に対して日本の人々はどう思っていたのだろうか?

①初代朝鮮総督 寺内正毅の歌
「小早川・加藤・小西が世にあらば〜」
②朝鮮の服を着る韓国統監 伊藤博文
③石川啄木の歌
「地図の上 朝鮮国に黒々と〜」


①秀吉の頃から支配に向けて戦った朝鮮支配に対する満足感。
②朝鮮の人々に自発的に受け入れてもらいたい。
③他国を支配することを批判。自国を失う悲しみを伝える。

植民地化を軍事的にみた時。政治的にみた時。国民の側からみた時。【それぞれの視点から考えると思いは変わる】


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