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化審法(かしんほう)を分かりやすく

私たちは生活の中でたくさんの化学物質に囲まれており、生きていくために必要なたくさんの化学物質を使っています。

しかしながら新たに開発された化学物質がいつの間にか流通し生活においてどのように使われ始めるのかを知らない人は意外とたくさんいると思います。

そこで本記事では新たに開発された化学物質がどのようにして私たちの生活の中で使われるようになるのかを化審法(かしんほう)を理解しながら分かりやすく解説します。

化審法(かしんほう)とは

化審法とは『化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律』のことで、昭和48年に制定されました。

化審法は人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼすおそれのある化学物質による環境の汚染を防止するため、新規の化学物質の製造又は輸入に際し、事前にその化学物質の性状に関して安全性を審査する制度を設けるとともに、その有する性状等に応じ化学物質の製造、輸入、使用等について必要な規制を行うことを目的としています。

要約すると目的は
新規の化学物質の製造又は輸入を事前に審査し、安全性を確保し環境の汚染を防止することです。

ここで誰が届け出るのか届け出主体について説明します。
届け出は新規化学物質の製造者輸入者が行います。
化学物質を取り扱う意味では製造者も輸入者も同じであり、輸入者も届け出の対象となります。

化学物質とは?

ではこの法律でいう化学物質とはどのようなものを指すのでしょうか。
それは、「元素または化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物」のことです。天然物製品については化審法の対象にはなりません。

化審法届け出の必要な化学物質

届け出の対象は一般工業化学品になります。

農薬医薬品については農薬取締取法医薬品医療機器等法(旧薬事法)の規制対象になりますので化審法上の新規化学物質には該当しません。ただし例外もあり、これらを工業用途で製造・輸入する必要がある場合は、届け出の対象になります。

また、官報公示整理番号のある化学物質又は試験研究用途及び試薬の場合も新規化学物質の届け出は不要になります。

官報公示整理番号とは

化審法の既存化学物質名簿に記載された化学物質(既存化学物質)に付けられている官報告示の類別整理番号
新規化学物質として届け出られた後に公示された化学物質(公示化学物質)に付けられている官報告示の類別整理番号
なお、通称MITI番号や化審法番号と呼ばれることもあります。

経済産業省HPより引用

届け出対象の化学物質について以下にまとめます。

化審法の届け出が必要
 一般工業化学品

化審法の届け出が不要
 天然物
 製品

 農薬
 医薬品
 官報公示整理番号有り
 試験研究用途品
 試薬

届出の不要な化学物質のうち、天然物はもともと自然界にあるので届け出が不要なのは理解できます。農薬や医薬品は法規制が別にあり対象外になることも理解できます。

また、官報公示で国がすでに登録している(整理番号がある)ものや、使用量がおそらく少ないであろう研究用途や試薬なども理解できます。

では製品についてはどうでしょうか?

化審法における「製品」とは

化審法では製品として以下のようなケースがあてはまります。

1.固有の商品形状を有するものであって、その使用中に組成や形状が変化しないもの(合成樹脂製の什器やフイルムなど)

2.必要な小分けがされており表示等の最小限の変更により、店頭等で販売される形態になっている混合物(合成樹脂塗料や家庭用洗剤など)

これらのケースは形状や組成が変化しないことや、用途を守り使用するという前提ですので化審法の目的の「新規の化学物質の製造又は輸入を事前に審査し、環境の汚染を防止する」の問題は起こりにくいと考えられます。

既存化学物質と新規化学物質

化審法が制定されたのは昭和48年です。法律制定時前までに存在し利用されていた化学物質は既存化学物質(きぞんかがくぶっしつ)といいます。

新たな審査(安全性試験等)が必要ない一種の既得権を持っていますが、中には有害性リスクや環境リスクの疑われる化学物質も含まれている可能性があることから、一部は国が安全性点検を実施しています。

既存化学物質と新規化学物質の調査は製品評価技術基盤機構(NITE:ナイト)のホームページにある化学物質総合情報提供システム(CHRIP)で検索することが出来ます。

また、化審法の手続きが必要かどうか?を判定する簡易フローチャートについては経済産業省ホームページに掲載されています。

おわりに

本記事では化審法における対象となる新規化学物質について解説しました。あくまでも自身の勉強のために記事にしたものでありますので規制当局の公式見解ではありませんのでご留意下さい。また、間違った解釈があるかもしれません。誤りがあった場合はコメント頂けると嬉しいです。

次回は製造者又は輸入者の届出について勉強しながら記事にしようと思います。また、新たに理解した情報等は随時更新していきたいと思います。

記事を読んでくださりありがとうございました。

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