見出し画像

「未知なる生物界への扉!階段に現れる虫たちの謎解き」15 ”ダンゴムシ”

あなたの住まいの階段を使って新たな冒険に出発しませんか?

私は健康のために階段を使っていますが、階段で目を凝らすと、ふと動く小さな虫がいることに気が付きます。そして昨日いた虫は何処かへ行き、別の虫が現れ、入れ替わっていくのです。

実はこの無機質な階段には驚くべき生命の多様性があります。

本記事では、私たちの日常生活に潜む小さな虫を探索し、階段に毎日現れる虫の正体に迫りたいと思います。

前回出現した虫は種の同定まではできませんでしたが、コガネムシの一種、Melolontha属(メロロンタ属)の仲間が確認されました。

大きなコガネムシでしたが、今回の来訪者は如何程に?

いつものように階段を下りていくと、一階で
よくみる愛らしい丸っこいムシ?
を発見しました。

これは流石に分かる気がします。オカダンゴムシです。


オカダンゴムシ 2023年6月28日撮影

つっつくと丸くなる愛らしいやつです。

念の為、この生物群が複雑でないことを調べてみます。

正式名はオカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)といいます。

ムシとつきますが、昆虫ではなくエビやカニに近い甲殻類です。 7対14本の脚があります。

オカダンゴムシ以外にコシビロダンゴムシという種類がおり、ワラジムシという似た者も存在します。案外種類がいるようです。困ったぞ。

みた感じ、体節の重なり具合がオカダンゴムシは深くワラジムシは構造上、オカダンゴムシに比べて丸くなれません。

上から見てもワラジムシとは区別できますのでワラジムシではないことが分かります。

https://sf-japan.ocnk.net/page/31より引用

甲殻類なのにナゼ「ムシ」?

ダンゴムシは甲殻類なのに「ムシ」とついていますが、なぜなんでしょう。

検索では「ムシと付いていますが甲殻類です」という結果が出てしまい、なぜムシなのか分かりませんでした。

ですので、アプローチを変えてみます。そもそもムシとは何か?です。

西東京市ウェブに腑に落ちる答えがありました。

第26回 「虫」「蟲」「ムシ」
「虫」という漢字は、ものの形をかたどって表した象形文字です。この文字のもととなった生き物は実はヘビで、カブトムシやダンゴムシといった「ムシ」と名の付く生き物ではありません。それら小さな生き物は、虫がたくさん集まりうごめいているという意味の「蟲」という別の漢字で表されていました。
 日本では昔、地面を這は ったりその辺を飛んだりしている小さな生き物をみんな「ムシ」と呼んでいました。江戸時代の百科事典『和漢三才図会』の「蟲」という項目にはハチもムカデもカタツムリも含まれています。ところが後に西洋科学が入ってくると、生き物は形で分けられるようになりました。そして一般的に「虫」といえば、体が3つの節に分かれた6本脚の生き物=昆虫を指すようになったのです。ダンゴムシやゾウリムシなど、昆虫ではない生き物にも「ムシ」と付くものがたくさんいますが、これは昔からの呼び名の名残なのです。
(市報 平成28年7月1日号掲載)

https://www.city.nishitokyo.lg.jp/enjoy/rokutosciencecolumn/rokutosaiensukoramu/koram_26.html西東京市ウェブより引用

 日本では昔、地面を這ったりその辺を飛んだりしている小さな生き物をみんな「ムシ」と呼んでいたということです。

オカダンゴムシは明治以降に持ち込まれた外来種ということですので、当時の日本人が、この地を這い、触ると丸っこくなる生き物をダンゴムシと呼んだのでしょう。

見分け方

ダンゴムシは複数種いますが、栃木県立博物館のホームページが見分けの参考になりました。

オカダンゴムシは尾節の先端が三角形となります。

http://www.muse.pref.tochigi.lg.jp/news/2018/10/post-485.html
栃木県立博物館のホームページより引用

お尻の先端(尾節)の形で違いがわかります。


掲載した写真ではわかりませんが、のちの確認で特徴がわかりましたのでオカダンゴムシ確定で良いかと思います。

オスとメス

ダンゴムシは甲殻類でオスとメスがいます。

ダンゴムシジャパンのホームページに詳しく載っていますが、背中、お腹、生殖器及び行動など多面的にオスとメスは見分けることができます。

背中側では、斑紋の有無を見ます。

背中の模様の有無と色で見分ける方法で、最初に直感的にこれであたりを付けます。

背中に黄色い斑点模様がよく出ているダンゴムシはメスの可能性が高いです。

写真では上からしか撮っていませんが、見た目には斑点模様が分からないくらい見えないのでオスかなと思います。

しかしやっぱりオスメスを見分けるには生殖器が最も信頼できるので、裏返す方が良いと思います。

下腹部を見る
ダンゴムシのお腹には呼吸をするための、白くて丸い白体という器官が2つ(厳密には左右に2つずつ)見えますが、オスにはその白体の中間に生殖器である白い筋のような管が(厳密には2本)見られます。これは交尾のときに精子をメスに受け渡す役割を持つ器官のようなので、オスにしか見られずメスにはありません。

http://dango64jp.starrypages.net/osumesu.html  ダンゴムシジャパンHPより引用
http://dango64jp.starrypages.net/osumesu.html ダンゴムシジャパンHPより引用

生殖器の白い筋の有無を確認 

甲殻類(カニなど)は腹部を見ることでオスメスを判定できますので、

今回もこの方法を用いれば見分けれるのかなと思います。

今回はオスメスの判定はしていません。

オカダンゴムシは外来種

ダンゴムシの仲間にはオカダンゴムシ、ハマダンゴムシ、コシビロダンゴムシがいます。

オカダンゴムシは外来種、その他の2種は在来種となっています。

生息環境が明らかに異なっていて
ハマダンゴムシは海辺にコシビロダンゴムシは森の中に生息しています。

この階段には流石にハマとコシビロダンゴムシはいないと言えるでしょう。

https://weathernews.jp/s/topics/202203/230135/  ウェザーニュースHPより引用

何故丸くなる?

丸くなるのはいくつか理由がありますが
主に2つです。

①天敵から身を守るため

ダンゴムシの天敵は一般的な話として、主にアリ、トカゲや鳥などです。

丸まって天敵から身を守る生き物として真っ先に思いつくのは、アルマジロを想像します。

オカダンゴムシも甲殻類としての硬い体を駆使して守ることができるものと思います。

まあ、鳥に見つかったら、逃げた方がいいと思いますが、、、

②乾燥から身を守るため

防御のほかにもう一つ、ダンゴムシが丸まるのには『乾燥から身を守るため』という大きな理由があります。

との記載がありますが、湿ったところに集まっているイメージがあり、実際レンガをひっくり返すと丸い個体も丸くない個体もいますので、

丸まること自体が乾燥から身を守るという
論拠についてはまだわかりかねています。

私見ですが、外側の甲殻が乾燥に対して強いと仮定すると、丸まることで、内側からの水分の蒸発は少なくとも防ぐことができます。

ですので、そのような意味では乾燥から身を守ることにはなるかもしれません。

益虫と害虫

一般的な認識として、ダンゴムシは雑食であり、枯れ葉を食べて消化し、糞を土に還すことで土の中の有機物を分解しやすい状態にしてくれます。

生物循環の観点からは、「分解者」の役割を担っており、益虫だといえます。

しかし、園芸サイドでは見方が少し変わります。

植物の新芽を食することもあり、害虫の側面もあります。数が多すぎると被害が増大するのでよくないのかもしれません。

ダンゴムシの習性が面白い

ダンゴムシの観察はとても面白く、
理科教材として最適です。

ダンゴムシには進行中に壁にぶつかると左へ、次は右へ(あるいは右へ、次は左へ)と交互に曲がっていく習性(交替性転向反応)があり、理科実験にも使用されます。

ガチャで人気

ダンゴムシはそのフォルムからトイガチャにも採用されています。

バンダイの公式サイト「いきもの大図鑑」です。結構ガチャで販売されていたんですね。


何故階段にいたのか

ダンゴムシを調べていくと話題が多くて、いつものことで恐縮ですが話がそれてしまいます。

本題ですが、今回階段で見かけたダンゴムシは、1階にいました。2階より上の階ではこれまで見かけていませんので、下から登った可能性があります。

ですが地面からは少し高さがあり、果たして登れるのだろうかと思っていました。

小さな子供や小学生が持ち込んだのではとも考えましたが、最近になって、階段を縦に上っている個体を見かけましたので、下から登ってきたのだろうと推察します。

正直、上に登っても何もないので、なぜ上るのかまではさすがに分かりませんでした。

にしても、人の心を惹きつけてやまないダンゴムシ
いろんな意味で調べ甲斐がありました。

今回出会った虫はオカダンゴムシでした。

次はどんな虫に出会うのでしょうか。
どんなふうにワクワクさせてくれるのか
次の来訪者に期待したいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。


よろしければサポートをお願いします。 頂いたサポートは今後の活動の糧とさせていただきます!!