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午前3時の攻防

数日前、紅葉を見に行く為前泊目的でとあるネットカフェに泊まった時の出来事。


ネットカフェに着いたのが、深夜で
ブースはとても静かだった。

少し漫画を読んでから寝ようと思い
寛いでいると、2個先のブースから「ゴゴゴ」といびきがきこえてきた。


深夜のネットカフェにはありがちなことだと思い、イヤホンをした。


しばらくするとそのブースに男性店員さんが
ノックする音が聞こえてきた。

「お客さま、少しいびきが響いておりまして他のお客様のご迷惑になりますので、
次いびきが聞こえて来るようでしたら、ブースを変えていただくか、退室していただくことになりますのて宜しくお願いします。」

いびきの人は寝ぼけた感じで「は、はい…」
と答えた。


その注意を受けた数分後、また「ゴゴゴ」と始まった。
店員さんがすかさずノック。
「お客さま、いびきが響いておりまして…
いびきの人「いびきしてました?」
店員さん「はい。(しっかりめに)」
この2回目のやりとりでこちらは面白くなってきてしまった。

店員さんのお客さまの癒し空間第一な行動に脱帽するとともに、
いびきの人の「記憶にございません」の様な言い訳。
時刻は午前3時の戦い。

しかしその戦いは次のノックとともに終わりとなる。


2回目のノック以降1時間ほど店員さんは現れなかった。
様子をみていたのだろう。
以前として鳴り止まないいびきに、いびきブース周辺の人たちも店員さんの到着を待つ。


コンコンコン。
(店員さん!待ってましたよ!)

「お客さま、いびきが響いておりまして他のお客様のご迷惑となりますので、先程申し上げたとおりご退室いただきます。」

ここでいびきの人は逆ギレするのか、素直に応じるのか…店員さんの安否を外野は固唾を飲んで見守る。

いびきの人「ハイ…」
ブースを退出する音から敗者の背中がみえる。



お客さまのくつろぎを第一に行動した店員さんのおかげで、私たちの癒し空間は勝ち取られたのであった。

次の日、自動精算機でお会計してると昨日対応してたと思われる店員さんがいた。

「闘っていただきありがとうございました」
心の中でお礼を言い、帰り際また店員さんをみると熱心にバイトに教育をしていた。

お客さまの癒し空間を守るように、小声で。


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