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柿の栽培管理って?農家がやっていることを紹介

こんにちは、鈴木農園です。

柿は日本では広く栽培されている果物で、お庭に柿の木があるという方も多いのではないでしょうか。

見かける機会は多いけど、柿ってどういった管理をされているのか?

今回は柿の栽培管理について基本的にどのようなことをしているか、どういったことに気を配っているかなどを簡単に紹介します。

蓮台寺柿を専門に栽培しているため、時期に関することなど他品種とは細かな管理方法に違いがある部分もあるかと思います。


栽培管理の重要性


まず果樹栽培は1本の木を何年も継続して育てます。そのため樹の栄養が不足したり、負担が大きくなると、その年の収穫だけでなく翌年以降の収穫にも影響が出てしまいます。

柿の成長に合わせた季節ごとの管理や病害虫への対策は、おいしい柿を安定して収穫することにつながります。


1. 土壌の選定と管理

柿栽培には通気性と保水性のある、やや粘土質の土壌が向いています。地形としては平坦かゆるやかな傾斜地が作業効率的にもよく、強風があたりにくい、日当たりのいい場所が好ましいです。

発芽する春先に霜がかかると枯れてしまう可能性があるため、晩霜がかかる地域では向きません。

とはいっても全ての条件がそろった完璧な土地、というのはなかなか無いため人為的に改良できる部分があるかどうかも選定には考慮すべき部分です。

2. 剪定と形成

樹が休眠期となる冬に樹形を整える剪定を行います。

柿は本来は高さの出る樹であるため、そのままにすればどんどん高く成長していきます。高すぎる樹は管理の手が行き届きません。
多すぎる枝は日当たりや風通しに影響を与えて病害虫の発生源になるなど、樹を弱める原因にもなってしまいます。

剪定・摘果などの作業は脚立を使って行われるため、作業効率が落ちるだけでなく、安全面にも不安がでます。

定期的な剪定を行い、作業効率を向上させ、管理が行き届けば新しい芽の発生を促すことにもつながります。


3. 施肥

成長期や花芽の形成期には、十分な栄養が必要です。土壌や柿に合わせて配合された肥料を散布します。

1月下旬〜3月上旬に散布されるものは元肥といって年間のベースとなる肥料です。その後は必要に応じて夏や収穫後にも肥料を与えることもあります。

肥料はたくさんあげればいいというわけではなく、過度な肥料を与えることや、適切でない時期に散布すると土壌のバランスが崩れ、樹や実を弱める原因にもなってしまいます。

前年に消費した栄養や、これから消費する栄養を補うように、土壌の栄養状態や樹の成長段階に応じて施肥計画をたてます。


4. 摘蕾・摘果

4月下旬の蕾の時期から5月になって開花して実が大きくなっていく7月ごろまでに、枝につきすぎた花・実を間引く摘蕾・摘果を行います。

実をつけることは樹にとってエネルギーが必要なため、必要以上の実を間引くことでエネルギーの消費をおさえ、残した実に十分な栄養をいきわたらせることができます。翌年の花芽(実をつける芽)を形成するためにも必要な作業です。

枝についた花の数や位置を見ながら、実が大きくなるものを選んで残していきます。この段階で形のわるいものや虫の被害にあっているもの除いていきます。


5. 病害虫の管理

一年を通して管理する露地栽培の果樹は、様々な病気と虫の被害にあうリスクがあります。定期的にチェックを行い、早期発見と適切な処置が柿の樹を病害虫から守ります。

基本的には消毒散布などの予防的対策が一般的です。
場合によっては樹についた虫を手で取り除くといった対応も必要になってきます。

4月〜9月の間に数回にわたり消毒散布を行いますが、特に湿度が高い時期には病害虫や菌の発生が増えるため、注意が必要です。

適切な防除を行い、柿を病害虫から守ります。

6. 収穫

蓮台寺柿の収穫期は9月中旬〜11月中旬。
旬は10月中旬〜11月上旬です。
ひとつずつ色づきを確認しながらほぼ毎日収穫を行います。

蓮台寺柿は渋柿のため、生果で販売するものは渋抜き処理(脱渋)を行ってから出荷します。
専用の貯蔵タンクに入れて炭酸ガスを充満させ、一昼夜さらすことで渋抜きされます。甘みが引き出され、独特のなめらかな食感へと変わります。

生果以外には干し柿としても楽しまれており、実を切り分けてから干す「平干し」の手法で天日にさらして作りあげられます。干して水分を抜くことで渋みが抜けていきます。
生果とは違ったあじわいで、甘みが凝縮されます。


7. おいしい柿づくりのために

いかがでしたでしょうか。
このような柿の栽培管理を続けることで、おいしい柿を安定して収穫することができます。柿の樹と共に四季折々の変化を楽しみながら、一年を通して自分たちの手で大切に育てています。

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