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視点のセッション で感じた未来

「LIFULL DESIGN EVENT 視点のセッション」というトークセッションイベントに参加してきました。

この記事は、トークセッションを通じて感じたことのアウトプットです。

イベントの概要を抜粋しておきます。

「視点のセッション」は、クリエイティブに関わるあらゆる人が、業界の当たり前や常識を疑い、クリエイティブに対する視点を変えるきっかけを作るトークセッションイベントです。
デザイナーやクリエイティブチームの可能性をテーマに、既成概念にとらわれない発想から解決策となる斬新なビジネスを生みだし続けるBASS DRUM清水 幹太氏、Noiz Architects豊田 啓介氏。今までにない切り口で課題に向き合い、周囲に影響を与え続けるmonom小野 直紀氏、H inc.長谷川 弘佳氏の4名をお招きし、当社CCO川嵜 鋼平、アートディレクター三宅 太門とともに2つのセッションを通して語ります。


自分はディレクターでもデザイナーでもないのですが、以下をモチベーションに参加しました。

・現状を見つめ直すためのインプットのひとつにしたかった
・エンジニアとしてクリエイティブの理解を深めるヒントを掴みたかった

本記事は、トークセッションを自分が聞き感じたとおりに意訳して書いている箇所もあるので、登壇者の意図と違っている可能性もあります。指摘があれば修正しますのでコメントよろしくおねがいします。(極力そうならないように書いているつもりではあります)

Session 1 既成概念にとらわれない発想から生み出す、事業クリエイティブ

技術者の視点

モデレーター/スピーカーの自己紹介からスタートしました。

自己紹介の中で、印象的だったのはBASSDRUMの清水さんのお話でした。
自分がエンジニアなので、共感する部分が多かったからかもしれません。

テクニカルディレクターについてのお話の流れで、技術者の待遇についての話がありました。

テクニカルディレクターについては、端的に「クリエイティブとテクノロジーの間に入ってそれぞれのプロトコルに合わせて翻訳できる存在」と表現されていました。
こちらでも丁寧に説明されています。
http://www.cbc-net.com/blog/qanta/2017/12/13/bassdrum/#more-455

業界に入ってびっくりしたことに「技術者の待遇」について思うところがあったそうです。
・実施・受注レイヤーの技術者は待遇が良くないことがある
・しかし、本当は技術者はすごく大事な存在で、ビジュアルドリブンじゃないテクニカルドリブンなコンセプトがないと破綻することもある
・佐藤可士和さんのようなポジションで、技術者のポジションを作るのが必要だと思ってる


自分も周りを見渡すと、エンジニアの価値が伝わりづらいなーと思う瞬間があったりします。

「ものづくり」という価値創造プロセスにおいて、依頼側と作り手の被写体深度があってないと、期待度とアウトプットの質に対して齟齬が生まれます。
それがエンジニアの価値が伝わりにくい原因のひとつになっているように感じることがあります。

つまり、同じものを見ているんだけど、同じようには見えてない。

すると、どうしても評価基準は評価側(依頼側)からバイアスがかかるので、作り手が価値や本質をプッシュできないと評価され辛いという構造だと思っています。
ただ、これは視点を変えれば、技術者は言われたものをただ作るだけの存在ではなく、企画意図を本質に蒸溜していくことに深く関与していくことで、もっとエンジニアの価値を訴求できるということだと考えています。

それができているエンジニアは実にかっこいいですし、自分も常にそうありたいと思ってます。


既成概念をどう超えていくべきか?

モデレーターのElnido 加藤久哉さんからテーマに沿っていくつか質問がありました。

Q. 初めて自分が領域を超えた日って意識してますか?

スピーカーの回答は、「特に意識したことはない」という感じでした。

自分の経験でも、現時点から思うと明らかにターニングポイントだよなーという過去は事実として存在しますが、面白そうだからやってたらなんとなくつながってたという感じが感覚として近い感じがします。

Q 仕上がったインカム構造に則ったほうが楽だけど、儲かる枠組みからあえて飛び出したいって思うことないですか?

オーディエンスからもお金周りについてのアプローチについて質問があったのですが、これらの質問に対する回答が自分にはない発想でした。

意訳すると、枠を飛び出したいと思うことはあるけど、お金は大事なので視点を変えることで新しい価値として訴求できたりするとのこと。
例えば、仕事が見積もり項目になってない場合もあるので、その仕事に名前をつけてお金を取ることも大事だよと。

これは目からウロコで、既成の枠からはみ出した仕事に対して、ポジションを取って訴求していく姿勢は自分には意識が足りてない部分でした。

「枠から飛び出すこと」と、「収益構造」は密結合ではないのです。

事実としてサスティナブルに行動することを考えた場合にお金は必要になることが多いので、
そこにしっかりとしたアウトプットがあるなら、名前のない仕事でも名前をつけて訴求していくことが大事なんだと理解しました。

Q 業界の既成構造自体をデザインしていこうとすると軋轢が生まれませんか?

LIFULL川嵜さんから「アウトプットの質は意思決定者次第で大きく変わる。だからフラットに人対人で話し合える文化を作ることが大事」という回答があり、共感しました。

また、モデレーターの加藤さんが「忖度って美しいけど、無駄だよね」と。

軋轢を避けようと忖度することが、クリエイティブな視点で見た場合、確かに良い結果を産まないことが多いというのは実感としてもありました。
当事者意識を持って率直にディスカッションできる関係性を構築できたプロジェクトは成功確率が高かった気がします。

Q 既成概念を超えたいと思っている人に向けてどんな話をしますか?

noiz豊田さんの回答に「領域横断的なところの価値って実はすごくあるので、遊ぶってことを評価する」というようなお話がありました。
ここでの「遊ぶ」というのは、できることを限定せずに色々やってみるという理解なのですが、こういう好奇心とチャレンジを評価するというのは、自分の視点としても取り入れたいと感じました。

エンジニア視点でだと、「エンジニア x 〇〇」みたいな領域を横断するキャリアは、いまかなりホットなパスだなと感じています。わかり易い例でいうと、「エンジニア x 人事」などがあります。

ただ、二要素のどちらかにスペシャリティを持ってないと掛け算的には大きくならないので、
自分のできることを棚卸しして、掛け算的にできることを増やしていくのはいつも意識していたいです。


Session 2 デザインの常識を超える、新しい時代のデザインプロセス

後半に入ってパネラーも変わり、デザインよりの話が強めでした。

こちらもSession1同様に、自己紹介からのトークセッションです。


デザインの常識をどう超えていくべきか?

一昔前に、1億総クリエイター時代って言われてましたが、いま誰も言わなくなりましたよね?という話からスタートしました。

自分の肌感でも、確かにもう誰も言ってないし、すでにそうなったんだろうなと実感があります。
ひと昔前よりツールの進化が著しいので、作るだけなら敷居はだいぶ下がったと思います。

ただ、みんなが作れる中で作る”だけ”じゃないところにデザインやディレクションの真価が問われる時代なので、そこを評価されるプロはやっぱりすごいと尊敬してます。


Q. 常識を意識してますか?

monom / YOYの小野さんのお話に、「常識は大事にしてます。常識がわかると常識じゃないものがわかる。意図的に動くために意識している」とありました。

これは共感が強く、守破離的な思想としては先に形が見えるというのが重要だと自分も考えます。


Q. 子供に常識超えていってほしかったら、どんなことを教えます?

小野さんが実体験をベースに「ちょっと外れることもポジティブなんだという体験させてあげられるといいかも」と回答され、すごく良い考え方だなと感じました。

子供のうちから他の人と違うことすることをポジティブに評価することで、子供の可能性が伸びてゆくイメージが湧きました。もちろん非常識の英才教育をさせたいわけではないので、道からはずれればいいというものではないということもセットで伝える必要があります。


Q. 普段どういうところからインプットしてますか?

H.inc 長谷川さんが「 良いご飯を食べに行くと、キュレーションセンスが磨ける。」と回答されてました。
「良いご飯」は食材を中心にその周辺の空間や体験までデザインされているので、新しい気付きが生まれるそうです。

確かに突き抜けて良いものに触れたときは、一見同じようにみえてもすごく密度が濃いですよね。

また、LIFULL三宅さんの「インプットは意識してないかも、例えば Pinterest を毎日見ようと決めると習慣になるのでインプットとしては意識しない。」というスタンスは、ストイックな側面を意識しないところまで昇華しているのでとても印象的でした。その道のプロフェッショナルとはこういうことですね。尊敬します。


まとめ

最後にモデレータの加藤さんから、「複数の肩書もってるのが当たり前になってるのは5年後くらいかな。その流れが加速して、複数の名刺・肩書をもっているていう人に対する名称ができていくんじゃないか。」というお話がありました。

自分もそこには完全に同意しますし、その流れの実感もあります。
いまは、パラレルワーカーですが、今日の話を聞いて5年後の自分はもっといろんなことをやってる予感がします。

視点のセッションということで、クリエイティブのトップランナーな方々の視点をインプットに、自分の視点と交差することができた良い時間になりました。

イノベーションは、掛け合わせ。

新しいことが見え始めて、ワクワクしてます!!


Photo by Daniel Chen on Unsplash


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