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ELTEの授業/評価の設計

ELTEで行われている授業/評価について紹介する。

コンピュータサイエンス分野の授業としては例えば、アルゴリズムや解析学、関数型言語、オブジェクト指向プログラミングなどの授業がある。

これらの授業はテストや評価システムがあり、成績がつくのか説明を試みる。

南波六太 『宇宙兄弟』

LectureとPractice

授業は、二つの授業から構成されていることが多い。LectureとPracticeである。Lectureでは、講師(大学の肩書きを指しているのではなく、小学校における先生、くらいの意味で使っている)がスライドで内容説明をする。授業時間は60分か90分のどちらかである。
Practiceでは、設計上は、Lectureで学んだ内容を実際にコンピューターを用いてプログラムを書くという実習の授業である。こちらの授業は90分であることが多い。

もちろん、LectureとPracticeがなく、単一の授業で学ぶものもある。その場合でも、実装する内容についての解説が授業の最初で行われることが多い(はずである)。

学期中大体授業回数は12回程度行われる。LectureもPracticeも学期の半ばで、本来授業を開講する時間に試験が行われる場合がある。

Lectureは、基本ずっと座って講師の解説を受けるだけである。そのため受講人数は60-150人程度のものが多く、大教室で行われる。大学での授業が開講されず、講師がオンラインビデオのみを共有して、各自それを視聴するだけで済まされるものもある。

Practiceは、授業の受講人数は10-30人程度に絞り、一つの科目で講師を数人用意したものが多い。受講人数の制限は、授業中には各自作業する時間もあり、その時に講師の目の届く範囲の人数に絞るという意図に由来する。

一つの科目の受講人数はほとんどの場合同じであるため、LectureとPracticeの受講人数も同じである。例えば受講人数が100人いる場合、Lectureは100人受講する一つの授業が行われ、Practiceでは一つの教室25人で、4つ授業が開かれるという形になっている。

評価について

大体の授業では、特殊な事情がない限り、3回以上授業を欠席するとGrade 1(= 不可であり、単位を取得に失敗したという評価)になる。

さらに、Practiceでは、出席に加えて授業開始時にmini quizがあり、以下の評価システムがある。

  • Pass/Failの評価しかなく、学期の授業回数12回のうち半分の6回半分以上正解する必要がある。それに満たない場合Grade 1となる

  • 5点満点で、60点満点のうち学期末時点で30点以上。それに満たない場合、Grade 1となる

Lecture, Practiceでは中間試験(Mid Termと呼ぶ)、期末試験(End Term)がある。それらも、各々で、例えば60点中24点以上取らないとGrade 1になるというような基準が設けられている。

また、授業によっては、Practiceで課題が出される場合があり、学期中に二、三度ほど出る場合がある。課題は出すだけではなく、口頭試問が設けられている場合がある。

まとめとして、例として、ある科目では以下のように評価システムが設定されている場合がありえる。

Lecture Part

  • 出席点

  • 中間/期末試験

Practice Part

  • 出席点

  • 授業毎回のMini Quiz

  • 中間/期末試験

  • 課題

また、Practiceの点数が規定の点数に満たない場合、Lectrureの試験自体受けられないという制約も設けられている場合も多い。

Grade 1でない場合が、Grade 2 - 5までの段階的な評価がつけられる。この評価はGPAとして計算されるものであるため、高い点数であることが望まれる。LectureとPracticeで別々の評価がつけられる。

成績の付け方

Practiceの場合のグレーティングシステムを例に上げる。Lectureの場合も大体似たような感じである。

出席については点数には入らず、最低条件である。Mini Quiz 30点満点、中間試験/期末試験 各60点満点だとする。学期末にGrade 2-5の評価にする場合、150点満点で以下のレンジで評価がつけられる。例であるため点数の幅は適当だが、Grade 5を取ろうとすると9割以上の点数が求められる場合多い。

  • 評価2(Pass): 60 ~90

  • 評価3(Satisfactory): 90 ~ 120

  • 評価4(Good): 120 ~ 135 

  • 評価5(Excellent): 135 ~ 150

Grade 5のExcellentを取得するには、数回ある試験や課題でほとんど満点を取る必要がありハードルが高い。

一つの科目でこれだけ負担があるため、集団チーティングが行われる場合が多い。チーティングについては気が向いたら記述する。

追試について

Mini Quizと中間/期末試験については、各々追試がある。追試では、同範囲だが違う問題を学期末のテスト期間に受けることになる。追試の目的は以下である。

  1. Mini Quiz, 中間/期末で規定点数に達していないテストを通過する

  2. 規定の点数には達しているが、点数を上書きする

1の場合は追試は必須だが、2の場合は追試を必ずしも受けなくてもいい。


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