見出し画像

「八橋」補足3題

1.八橋十境&八景

画像6

「八橋十境」

・遇妻川蜘手:逢妻川は八橋を渡せし川なり。故に逢妻川は蜘蛛手に流る。
・業平池杜若:業平池の杜若
・落田中一本松(愛知県知立市八橋町大流の「かきつ姫公園」内)
・在原寺石塔:業平塚ならむ。
・橋雲寺下馬:橋雲寺は廃寺となりて、下馬観音。
・駄野森神社(愛知県安城市里町森の不乗森神社?)
・鷹師山遠望:恋慕塚(小野篁の娘・杜若姫の墓)がある鷹師山
・折田口花滝(愛知県安城市里町菖蒲池の「花の瀧伝承地」)
・花園里春興:花園村(愛知県豊田市花園町)の春の風景
・村雲山朝霞:八橋から遠望せし「三河富士」こと村積山

画像5

無量寿寺「八橋八景」

・逢妻川五輪
・業平池紫燕
・落田中一本松
・在原寺紅楓
・橋雲寺下馬
・花園里春興
・村墨山朝霞
・折田口花瀑

別の境内図

画像3

 八幡山無量寺(明治以降は「無量寿寺」)の境内の端には「十境」と呼ばれる名所があり、その「十境」をもとに「八橋八景」が考え出された。
 中には「村墨山(村雲山)朝霞」(無量寺から見る村積山の朝の霞。多分、山麓の池による朝霧)のように、現在は見えないものもある(上の現地看板参照)。

■林自見『三河刪補松』
八幡山無量寺と云ふ小寺あり。此寺に業平の送物とて2、3品あり。贋物なり。又、「十境」等号する所あり。妄説にして捨つるに是とす。又、在原寺とて小庵あり。辻堂を後来号たる也。燕子花と云ふも、今なし。
【意訳】八幡山無量寿寺という小さな寺がある。在原業平の遺物が2、3あるが、在原業平の物ではない。寺領の境を「十境」と呼んでいるが、そんなに広くない。また、在原寺という小庵があるが、この小庵は、そこにあった辻堂を後世、「在原寺」と名づけたのである。また、八橋は、燕子花の自生地として知られていたが、観光客が切って持っていってしまうので、今は生えていない。(文化9年(1812年)、方巌売茶(ほうがん ばいさ)が無量寿寺を再建し、「杜若の名所に杜若がないのはよくない」として、「杜若庭園」を作ったので、今はある。)
https://websv.aichi-pref-library.jp/wahon/detail/67.html

 清明塚も、八橋の杜若も無くなってしまった。これを「旅人がかわいそう」として復活させた。町おこしパワーはすさまじい。
 『参河志』の作者・渡辺政香は「鷹師山の恋慕塚を探したが見つからなかった」というが、今はある。(渡辺政香は、「師」と「取」は似ているので、鷹師山は鷹取山の誤りで、恋慕塚は鳥捕駅の鳥狩塚(愛知県豊田市渡刈町大明神)ではないかと考察しているが、これはトンデモである。無くなったものを復活させないと、考察に多大な時間をかけたあげくにトンデモを生み出すという悲劇が起こる。松が枯れたら、世界遺産「三保の松原」のように「天女の松」を植えて「これからはこれが「天女の松」です。3代目です」という方が潔いし、観光客も納得する。)

ここから先は

1,277字 / 3画像

¥ 100

記事は日本史関連記事や闘病日記。掲示板は写真中心のメンバーシップを設置しています。家族になって支えて欲しいな。