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天鈿女命(アメノウズメノミコト)

 アメノウズメノミコト(『古事記』では天宇受売命、『日本書紀』では天鈿女命)は、「天岩戸開け」で裸踊りをした神です。

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 忌部氏系図では、忌部氏祖神・天背男命と八倉比売命の娘で、藤原氏祖神・天児屋命と結婚したとありますが、通説では、忌部氏遠祖神・天太玉命と天比理刀咩命の娘で、「天孫降臨」の時に出会った猿田彦命と結婚して伊勢国へ行ったとします。(後に猿田彦は天狗、天鈿女はお多福になります。)


■天岩戸開き

1.『古事記』

天宇受賣命、手次繋天香山之天之日影而、爲𦆅天之眞拆而、手草結天香山之小竹葉而訓小竹云佐佐、於天之石屋戸、伏汙氣【此二字以音】蹈登杼呂許志【此五字以音】、爲神懸而、掛出胸乳、裳緖忍垂於番登也。爾高天原動而、八百萬神共咲。

天宇受売命、天の香山の天の日影を手次に繋けて、天の真拆(をかづら)と為て、天の香山の小竹葉を手草に結びて、天の石屋戸に、槽伏(うけふ)せて踏み、轟(とどろ)こし、神懸り為て、胸乳を掛き出で、裳緒(もひも)を女陰(ほと)に忍し垂れき。爾に高天の原動(ゆす)りて、八百万の神共に咲ひき。

『古事記』

【現代語訳】天宇受売命は、天香久山のヒカゲカズラを繋げて、たすき掛けにし、天香久山の笹の葉を手に持った草に結び、天岩戸の前に槽(うけ。桶)を伏せ、踏んで轟音を立て、神懸ると、胸乳をあらわにし、裳の紐を女陰まで押し垂らした。これにより、高天原は振動し、八百万の神々は笑った。

※踏む:桶の上に乗って、桶の底を踏むタップダンスではなく、鉾で桶の底を突いたという。これを「宇気槽の儀」という。下掲『沙石集』によれば、平安時代の貴船神社では「鼓を打つ」に変わっていたようである。
※動而:『万葉集』の場合、31文字の万葉仮名(漢字、表音文字)で書かれていれば読めるが、31文字未満だと(1つの漢字を訓読みして2文字とかで読む和歌は)読めない。『古事記』は、意味は分かるが、「正確に読め」と言われると、出来ない。ただ、『古事記』の場合、本居宣長が全て読んでくれているので、参考になる。「動而」は「どうじ」「どうじて」で意味が通ると思うが、本居宣長は、「動」は『万葉集』の「由須理」であろうとして、「ゆすりて」と読んでいる。読み方は不明でも、意味は、「笑い声の空気振動で地面が振動する程(神々は大声で笑った)」であろう。

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