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やめちゃうか

 すごい調子が悪くて会社を休んでしまった。どれくらい悪いかというと、10段階のうち9くらい悪い。普段は5のあたりを漂っているのにすこぶる悪い。
 休ませてくださいと言ったきり職場への電話を切ってそのまま出かけた。
 罪悪感の中で本屋へ行き、ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」とカズオイシグロ「わたしを離さないで」「夜想曲集」の3冊を買い、買った本の重たさのままに腕をだらんと垂らした。

 何やってんだろうな。
 カバンの中に制服を入れてこなかった、代わりにみやしろちうこ「緑土なす」の2巻目が入っている。打算に満ち溢れたサボり。
 いやサボりじゃない、と自分に言い聞かせる。あとちょっとでほんとうのほんとうに「遺書」を書きそうになるメンタルは普通じゃない。本当は眠っていたいし眠れるだけ寝て生活は放棄していたい。風呂も歯磨きも化粧もどうでもいい、だから、人のふりして歩いているだけまだマシだ。
 ひどい。

 昨日、ほんとうじゃない遺書を書いた。仕事をこなす頭の中で(別に想像しようと思って想像したわけじゃないんだけど)自死が完遂されてしまったので、危険だと感じた。これは書かないとやっていられない、と思った。書くことでしか発散され得ない何かがあると信じている。だから書いた。書いたけど別に何も変わらなかった。悔しい。

ほんとうじゃない遺書。これを書いた時は本気だった

 誰にも理解されないと思いながらこれを書いている。夫にさえ、実の母にさえわからないだろう。でも書くことでしか発散され得ない以下略があると信じているからやっぱり書く。

 新しい小説を書くのをしばらくよしてみようかなと思う。何も考えられないし、そもそも私自身が、日常を何も面白がれない。映画もバラエティも家族の会話でさえも。桜が散る様にも心が動かない。動かざること岩のごとし。
 エンタメが読めず、文字と文字の間から出てくる滋味みたいなものを啜ることしかできない。美文から滲み出る何かだけ食って生きている。だから手元に、「緑土なす」がある。

 今抱えている案件を除いて、新しく書くのやめよ。そう思ったら少しだけ心が軽くなった。心が軽くなる代わりに目標が失われて迷子になった。

 迷子。良し悪しだ。

 どこに行けばいいかわからなくて、だけど何かはやりたくって今このnoteを書いている。ふかふかの椅子に座りたくて、5人がけの席を1人で陣取ってソファに沈み込んでいる。


 エンタメから書籍化したんだからエンタメ畑で食っていけばいいのにという声が聞こえる。誰もそんなこと言ってないのに。
 「でも、自分が面白くないものを書き続けることができるほど私は強靭じゃないんだよ」と言い訳をする。私は私が面白いものを書けるようになりたい。無理だけど。
 調子が悪いから、休む。

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