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離婚と修復前に考えるべき事編-連載03

どちらを望む場合でも、離婚の知識は持っておきたい

最初は知識的な話になってしまいますが、今後、離婚と修復を進めてゆくにあたって、どのように交渉・駆け引きをしてゆくべきかという点に関しては、どうしてもテクニックだけで話しを進めることはできません。正確な知識が必要となってきます。

知識のない交渉は、その場限りのハッタリで終わってしまいます。それは、離婚だけではなく、修復を考える場合でも同じことだと思います。

また、離婚の時期を考えるうえでも、正確な知識が必要です。「貰えるものがあると思ったから離婚をした。だけど、当てが外れて何も取得できなかった」というのはよく聞く話です。

それと、僕への相談の多くは、離婚と修復のどちらが望ましいのか、どう考えていけばよいかが分からないという、両者のあいだで悩んでいるケースです。そうした場合でも、知識が今後の道筋を照らすこともあります。ただ、この連載では、話しきれない点や、あなたが考えるべき点の全てを説明することは難しいところもありますので、その場合には、当事務所へご相談ください

なお、noteでは、できるかぎり私が実際に受けているご相談を盛り込みながら、離婚と修復の知識と知恵(離婚請求をしたい側・されてしまった側)についてお話してゆきますが、離婚の問題は100人いればその数だけ問題と解決方法があります。ですので、僕の説明をご自身の状況と比較しながら、よりよい進め方を探せるように読んでみてください。知識は知恵を生みます。ご自身にとって必ずよい選択肢が見つかるはずです。

強制的に離婚ができるケースと、できないケース

離婚には、最終的には法律的(判決)に離婚が認められるものと、そうではないものがあります。法的に強制できるケースといえば、すぐに思い付くのが、浮気、日常的な暴力というところかと思います。

けれど、たとえ判決で離婚が認められる場合でも、それはあくまで“裁判”での解決結果ですから、いかような理由があったとしても、まずはご夫婦での話し合いから進めてゆくしかなく、自動的に離婚になることはない、という点はご理解をされてください。


※ 審判離婚もありますが、これは調停の段階で基本的に離婚への合意がついているのに、突然相手方が海外に行ってしまった、病気になってしまったという場合が殆どでしょうから、ケースとしては殆どなく、真っ向から離婚に対立している状況で第三者が白黒をつけるといえば裁判になります(遠方で互いの住所地管轄の家裁で、離れた距離で離婚が成立する場合には、審判の制度が持ち出されはします。)。詳しくは、離婚調停・円満調停のQ&Aを参考にしてください

ですので、原則としての進め方としては、基本的に理由を問わず、まず、第一に

[1] ご夫婦での話し合い(後述しますが、親族を交えての話し合いはお勧めできません)
      ↓ 
[2] 話し合いがうまくゆかなければ、調停の申立て
      ↓ それでも決着が付かない場合には
[3] 裁判(審判の場合もありますが、殆どありませんので割愛します)

ということになります。ただ、上記はあくまで原則としての進め方であって、例えばですが、[1]の前に、手紙を渡してみる等、そうしたアプローチがあってもよいと思います。

話し合いの前に手紙を送るアプローチは必要か?

手紙を渡したことがあるという方も多いと思います。ですが、その手紙の内容を読む限りでは、ほとんどの方が、望ましくない書き方をしてしまっている印象があります。

離婚をしたい側、修復をしたい側、どちらの場合でも、ほとんどの方が結論ありきの綱引きをするような内容になっていたりします。ここで考えていただきたいのですが、夫婦の間で大きな問題を抱えていて、お互いに一杯いっぱいになっている中で、離婚や修復という結論をプッシュした場合に、相手方の心が動くかといえば、そうはなりません。むしろ勝負事のようになってしまい、結果として、話し合いのできる状況ではなくなってしまうと思うのです。

そうした心理を考えたうえで、手紙の内容を考えていく必要があると思います。

離婚や修復の話の段階では、距離感も、温度差も開いていますから、そこに対するお膳立てが無いまま話し合いを持っても、同じ土俵上で話ができるわけではありません。

ようは、距離も場所も高さも全く違う土俵で、バラバラに話をするようなことになってしまい、さらに距離が広がっていくだけです。

夫婦の問題を進めていくということは距離を縮めていくということ

ですので、僕としては、離婚や修復を強く主張した状況で話し合い等に入っていくことは、お勧めはしておりません。くどいようですが、まずは距離感を縮めるアプローチをして、そこからスタートだと考えています。故に、上記の流れのようなベタな進め方は、逆に戦争、争い、勝負事になってしまうものだと考えています。

そして、折り合いどころか、話し合いもできないままに離婚調停等に進んでしまい、けれど、勝負事の延長で調停になって自分の望む結論を導くことは難しいように思います。その結果が調停不成立となってしまいます。

また、調停で決着が付かないからといって、何でもかんでも裁判にはできませんし、また自動的に裁判になるわけではありませんから“連載02”でお話しをした通り、多くは裁判にはしたくないという背景もあり、よって新たに協議を始める(多くは別居継続というところでしょう)ということになっていきます。

ですが、前述の通り、勝負事として調停になり、そして不成立に終わった後、冷静に考えてみて、相手方が話し合いの席についてくれるかといえば、なかなか難しいところです。

だからこそ、離婚でも修復でも、どちらの場合でも、常に今後のこと、相手方の心理を考えながら進めていく必要があるわけですね。

僕の考える夫婦カウンセリングのカタチ

なお、あくまで僕の考えではあるのですが、離婚と修復を望む側にとっての一つの進め方としては、夫婦カウンセリングというものもあります。そして、多くの方は、カウンセリングというのは修復のためのものでしょ、という印象かもしれません。ですが、僕のところでは、修復のためのものではなく、お互いが答えを出していくために何を考えていく必要があるのかという点にウェイトをおいて話を進めています。できるだけ争いたくはないですからね。

さて、今回はここまでということで、次回は、

裁判で離婚が認められるのは、大きくいって以下の5つの場合に限られるんだよ・・という話をしていこうかと考えています。それではまた!

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