麻雀との出逢い⑧

「あ、準優勝の怪太さんいらっしゃいませ~」

ずーっと「先輩」と呼ばれていた俺は、この頃から名前で呼ばれるようになった。

卓に入ると「この間の大会で準優勝した怪太さんですよね」とか「お手柔らかにお願いします」なんて言われるようになった。

恥ずかしいけど、素直にめっちゃ嬉しかった。

俺が打つと後ろで、立ち見されたりすることもあった。

そしてこの「変化」が俺の麻雀を強くするキッカケになる。

「立場が人を作る」なんて言葉があるが、その通り俺は「準優勝者」という立場を得て、麻雀が変わっていった。

もちろん今までも勝つ為に麻雀を打っていたけど、もっと自分の麻雀に責任感を持って打つようになった。

技術的なことのレベルが上がった訳ではなく、責任感や覚悟を持ち、上手く言葉に出来ないが麻雀に挑む姿勢が変わったという感じだ。

当然、麻雀の成績もグングン上がる。よく同卓する客にも「怪太くん最近、上手くなったよね」と何人にも声をかけられた。

俺は、ついに雀荘での底辺雑魚キャラポジションから、わりと打てる準優勝者にジャンプアップした。

どうやったら麻雀が強くなれるのか?

何回自問自答したか、わからないこの問いに朧気ながら答えが見えてきた気がした。

そして、俺は自分の麻雀に自信を持ち始めた。

誰と同卓しようが、互角には渡り合える。

そんな自信を持ち始めた俺に運命の戦いが待っていた。


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