公開シナリオ『ウインナーコーヒーはほろ苦かった』①

ラジオ『レコメン』に送ってたシナリオ
その1。
お題は「文末に『ウインナーコーヒーはほろ苦かった』をいれる」というめちゃくちゃ悩ましいものでした。登場人物
男
女

男　何、これ？
女　何って、ウインナーコーヒー。
男　急にどうしたそもそも、コーヒー飲まないだろ、フラペチーノだって飲めない子なのに。
女　だからお父さんに味見してもらいたいの！　
男　まぁ、嬉しいけど。いきなりウインナーコーヒーにしなくても。
女　今度働くお店で有名だから作れた方がいいかなって。
男　なんだお前バイトするのか？　お金困ってるなら言って貰えば考えるっていつも…
女　い、いいでしょ！！　さっさと飲んで！
男　うん、ソーセージとか入れてこないだけでポイントが高いな。
女　ふざけないで！！！
男　はいはい、クリームの泡立てが弱い。あと…だいぶ苦いなぁ。粉どんだけ入れたんだ。半分くらいでいいだろ。
女　なるほど。
（電話がなる）
女　あ、もしもし！　先輩。わかりました。明日ですね。た、楽しみにしてます、じゃなかった、頑張ります。でも、作り方いろいろ教えてくださいね。（男に小声で）父さん、ありがと。
（ドアが閉まる音）
男　そういうことね。娘も成長したか。早いなぁ…。それにしても苦い。

男（モノローグ風）　娘の成長を知ったあの日。ウインナーコーヒーはほろ苦かった。