『さかしま』からみる書斎論:インテリアは自己表現手段に
フランスの小説家ジョリス=カルル・ユイスマンスの作品『さかしま(原題:A Rebours)』の主人公デ・ゼッサントの書斎の特徴から、その品々によって、いかなる意思表示を自他へ行い得るかを検討する。
本作は1884年に刊行されていることから、既に19世紀末の近代社会であり、作中の時代設定もこの頃である。
主人公が(没落)貴族であることからも、財産整理によって、質素だが比較的豊かな生活であり、実際、職には就いていない。そのため、以下紹介する書斎(自宅)に居ることが大半とい