千葉県有害鳥獣捕獲協力隊 有害鳥獣捕獲見学ツアーレポート
千葉県が有害鳥獣対策の幅広い担い手確保を目指して募集した「千葉県有害鳥獣捕獲協力隊参加隊員」の活動のスタートとして、捕獲や解体など狩猟の一連の流れを巡るツアーが開催された。その様子をレポートしていこう。
千葉県有害鳥獣捕獲協力隊参加隊員が活動スタート! まずは捕獲現場の周辺を巡る体験型イベントに参加
全国で野生生物によるさまざまな被害が連日報道されている。千葉県でも、イノシシやシカにアライグマ、狩猟鳥獣以外ではサルやキョンなどにより約2億7000万円もの農作物被害(2022年度)が生じ、イノシシによる人身被害も発生。千葉県にはクマ類は生息していないが、前記5種はなかなか手ごわい。これらの被害をくい止めるために有害鳥獣捕獲の強化が求められている。
捕獲を強化するにはどうしたらよいか。やはり狩猟免許の所持者を増やすことが重要だが、一方で、わな猟免許を取得しても、罠のかけ方が分からない、教えてもらえる人がいないなどで、実際に捕獲をしたことがない人が多いことも話題になる。
そこで千葉県は、昨年夏に「千葉県有害鳥獣捕獲協力隊参加隊員」を募集した。これは、わな猟免許取得後、捕獲や狩猟を行えていないペーパーハンターが県の有害鳥獣捕獲現場へ同行、現場の熟練ハンターから捕獲のノウハウを学び、ゆくゆくは有害鳥獣捕獲の担い手として成長していくことを狙った企画だ。
2023年11月18日、まずは隊員に狩猟に関する一連の流れを知ってもらう「有害鳥獣捕獲見学ツアー」が開催された。このツアーは、大きく次の3本立てだった。
有害鳥獣の捕獲現場見学
まずは、有害鳥獣の捕獲現場見学。前日降った大雨により、実際の捕獲現場には入れなかったが、箱罠の作動やくくり罠づくりを体験した。製作したくくり罠は今後行われる捕獲同行で実際に設置する。自身が製作した罠で、技術習得が一層捗ることが期待される。
参加隊員に捕獲技術を指導するハンターたち
食肉などへの解体施設の見学
次は、イノシシやシカなどの解体施設の見学。到着して真っ先に目に入った巨大なイノシシにみな驚いた様子だったが、施設経営者の捕獲鳥獣活用の考え方に聞き入り、イノシシの解体も固唾を飲んで見守った。
活用体験&狩猟者との交流
3つ目は、食や加工品への活用の現場体験と熟練狩猟者との交流をはかる。猟師工房ドライブインに到着し、まずはイノシシやシカのジビエビュッフェに舌鼓。並べられた様々なジビエ料理の中でも注目はやはり高級食材といわれるキョン料理だった。食事の合間の休憩で、併設の販売所で肉に革、捕獲された鳥獣がどのように活用されるかを見て回り、最後にグループに分かれて熟練ハンターとの交流となった。
これまで狩猟を実践してこなかったペーパーハンターが、その原因を解消するべく、様々な質問が飛び交う非常に濃密な交流となり、ツアーは終了していった。
これから参加隊員は、実践的な捕獲技術の習得を目指し、県の捕獲現場に同行していく。ペーパーハンターが熟練ハンターに成長する第一歩として有意義な時間を過ごせたのではないだろうか。参加隊員が狩猟を実践し、いずれは有害鳥獣捕獲に携わっていくことを期待したい。
千葉県では次世代を担う狩猟者に向けたイベントを今後も開催予定。詳細はホームページなどを随時チェックしよう。
問い合わせ先:
千葉県環境生活部自然保護課鳥獣対策班
TELL: 043-223-2936
MAIL:hogo9@mz.pref.chiba.lg.jp
https://www.pref.chiba.lg.jp/shizen/choujuu/hokakukyouryokutai.html