虫が多い季節に! 着る防虫「スコーロン®」を試してみた
着る防虫「スコーロン®」とは?
人体への厳しい安全性試験もクリアするスコーロン®。
暑い時期に特に活発になる刺す虫たちを避けるウエア
山に入ればプ〜ンと寄ってくるカやアブ。夏場も有害捕獲をすることがある私は、どうにも虫が苦手だ。それに獣の体表や藪にいるマダニは年間を通じてSFTSなどの感染症が心配。でも虫よけスプレーは、匂いが獣に勘づかれそうであまり使えないし……。狩猟の虫対策、どうすればいいの?
そう悩んでいたとき、アウトドアブランドの「フォックスファイヤー(Foxfire)」に、スコーロン®という防虫素材を使ったウエアを発見! アース製薬と帝人フロンティアの共同開発で、生地に虫が嫌がる薬剤を練りこんであるという。布地の表面に虫が止まると、触覚と足の先にある感覚器で成分を感知して逃げ出すらしい。しかも薄手で吸汗速乾、UVカット機能までついている。
まさにこれからの季節にピッタリ! 私は同じくハンターである夫を誘い、一緒に試すことにした。
アウターは、口元まで顔を覆えるフードが付いた「SCアルティメットフーディ」。パンツは、夫がポケットの充実した「SCアルティメットパンツ」を、私がシンプルな女性サイズの「SCトラバースパンツ」を着用した。帽子は、首回りに着脱可能なサンシェードが付いたものをそれぞれかぶった。
まずは山にかけた箱罠の見回りへ。驚くのは、涼しく動きやすい着心地とパンツの丈夫さだ。生地の目が細かく少々の茨いばらに引っかかっても破けない。さらにSCアルティメットパンツは膝の生地が二重になっていて、「作業中も安心して膝がつける」と夫も満足そう。
この日は、大雨の翌日。水浸しの米ぬかにもコバエの大群が群がっていて、普段なら顔回りにもメマトイのような虫がたかってくる。なのに今日はその気配がない。生地に着地はするのだが、すぐに飛び去ってしまうのだ。翌日、別の服を着て同じ場所を歩いたら、きちんと顔回りにたかってきたので、何らかの効果があったのだろう。
ウエアを近所のジビエ処理加工施設に持ち込むとみんな興味津々だったので、当時スタッフだった角嶋くんに夫のウエアを貸すことに。捕獲・解体ともに問題なく使え、マダニの付着もなかった。
虫が気にならないと、罠の設置や捕獲にも集中できる。この先、手放せない相棒となりそうだ。
罠の見回り
捕獲
解体
【実験】マダニがひっくり返って沈黙
メーカーではカやダニといった特定の虫についての防虫効果は言及していないが、イノシシの体表からマダニとシラミを採取して、スコーロン®とそうでない布(マイクロファイバーのふきん)に3匹ずつ乗せて自主的に実験してみた。逃げられないように、ペットボトルの底をカットしたもので蓋をして4時間後――。
なんとスコーロン®の虫だけがひっくり返って動かなくなっていた。
この防虫効果、洗濯を繰り返しても一般的な防虫ウエアより長持ちするそうだから頼もしい
今回試したその他アイテム
スコーロン製品のバリエーションはFoxfireのサイトをチェック
https://www.foxfire.jp/
Profile
よしの・かぁこ
フリーライター。2017年より狩猟専門誌『狩猟生活』(山と溪谷社)や『けもの道』(三才ブックス)に寄稿。第一種銃猟・わな猟免許保持。猟期には集団猟などに参加し、ベテランハンターの指導を受けながら知見を広げている。ジビエラーメンの専門店「猪骨(ししこつ)ラーメン」の経営にも携わる。カラス愛好家でありカラス専門誌『CROW’S』発行人。著書に『Voyager―― 虐待サバイバー、救済の物語』(花伝社)、共著に『狩猟用語事典』(山と溪谷社)がある
※当記事は『狩猟生活』2023VOL.14「着る防虫「スコーロン®」を試してみた」の一部内容を修正・加筆して転載しています。データは2023年9月5日現在のものです