【Jリーグ 試合分析】第4節 鹿島アントラーズVS川崎フロンターレ(2024/3/18)
みなさんお久しぶりです。シュル部です。
本日も、J1第4節鹿島vs川崎 鹿島目線の試合分析をまとめていきます。
※家長選手の氏名表記が一部誤っている箇所があります。。ごめんなさい。
前半
試合のスタートは画像のような感じでした。鹿島は藤井・名古が初スタメン、知念・関川が復帰。川崎はエリソンが欠場ジェジエウが今季初先発となりました。
鹿島の攻撃
鹿島は守備時は優磨・名古をトップに据えた4-4-2,攻撃時は名古がフリーマンの4-2-3-1のような格好です。
鹿島の狙いは2つ。
①サイドでの数的優位
川崎は守備時はマルシーニョと家長が下がって4-1-4-1の格好になります。
4-1-4-1はアンカー(山本のポジション)がいることで中央に選手が集まります。一方でサイドは2vs2になりますから、ここに名古が絡むことで数的優位を作り出せます。
これ、セレッソ戦の後半で優磨がやっていた動きなんですよね。優磨がこれをやることでボールが回るが、ゴール前に迫力が出ない…というジレンマに対してポポヴィッチがアンサーを出しました。
実際に、名古は右に左に顔を出すことで数的優位を作っていました。さらに、チャブリッチ・藤井は狭い局面でもボールキープができますので、名古やSBが寄る時間を稼ぐことができます。チャブリッチのサイド起用はめちゃくちゃハマってました。
②藤井の裏抜け
優磨が下りることでできるスペースを関川・GKがつくようなシンプルな狙いです。ゴールキックの際は優磨を狙うことで空中戦での強さを見せつけ、それをフェイクに裏を突く動きを見せていました。ちなみにこれは名古屋戦・町田戦の後半で見せていた采配です。
川崎の攻撃
川崎の狙いも大きく2つありました。
①橘田偽SBによる組み立て
右SBの橘田が中央化することで展開していこうという狙いです。
画像のように相手インサイドハーフに対して絞ってもそこから橘田へのパスコースが残っている、、という狙いです。鹿島は守備時はチャブリッチに橘田をマンマークすることでこれに対処しました。
以下はうまくいかなかったシーンの一例です。
瀬古から橘田へのダイレクトパスを交えたり橘田はチャブリッチとボランチのゲート前に構えるようにポジショニングを修正したりなど、修正点は多いように感じました。
②家長への直通パス
ねらいの2つ目は橘田が中央化したことで空いた家長へのパスコースの活用。前半4分の場面は家長がヒールで裏に流してチャンスも有りました。
しかしこれ以降は安西が家長を狙っておりむしろ鹿島のカウンターの起点となってしまっていました。
実は「川崎にしてやられた」先制点
ここまで見れば鹿島有利のはず…しかし先制したのは川崎でした。
試合を見ていた方なら「おい!関川!!!」となっていたでしょう。勿論関川は失点に関与しているのですが、この手前で川崎のビルドアップに1つ変化がありました。
それは鹿島2トップに圧に対して、上福元を含めた3バックでビルドを始めた、という点です。
ゴールキックはここまで山田をターゲットに蹴りまくっていた川崎(空中戦ではほぼ鹿島が勝っていたので、この狙いは謎)ですがここで、上福元を含めた3バックでビルドを発動します。あろうことか名古と優磨はこれに猛然とチャージ。当然2人vs3人ですからあっさり躱され橘田、脇坂を経由し家長に1対1の局面を作られてしまいます。
当然関川のミスではあるのですが、プレスの一瞬のずれをモノにされてしまう展開となりました。
しかし、川崎もこれを狙って発動したわけではないのか、GK含めた3バックビルドは発動されたりされなかったりして前半は終了します。
後半
川崎のビルドを無力化した鹿島の決めごと
この3バックビルドに対して鹿島はアンサーを出します。それは「プレスをしない」こと。
前半では迷いのあった相手ビルドへの対処を明確に修正してきました。
明確な4-4-2ブロックを形成することで川崎は崩しどころを失います。
後半に入って橘田をアンカーに戻すなど、試行錯誤をした川崎ですが鹿島は2トップがアンカーまでのパスコースをふさぐことでこれに対処しました。
「ロジカルなロングボール」が生んだ同点弾
同点弾は前半とは別のもう1つの狙いから生まれました。冒頭述べた2つの狙い以外にも、鹿島はもう1つの攻め筋を持っていました。それが優磨へのロングボール。しかもこれはただ当てるだけではなく、前半からずーっとチャブリッチが裏を斜めに狙っていました。
46分にはそれが実を結び同点弾につながります。
それにしてもチャブリッチのファーストタッチ・ボールの隠し方・シュートすべてが完璧です。足が長いのでボールを相手の遠くに置くことできますし本当に上手い・・
名古と優磨とサポーターで獲った逆転弾
スタジアムの雰囲気が押せ押せになる中、逆転弾は名古のプレスバックから生まれます。と、言ってしまえば簡単ですがここには名古の上手さが詰まっていました。山本の死角から気づかれないように迫り、利き足のアウトにかけることでチャブリッチに正確にパスをつないだのです。
名古の切り替えの早さと技術が光ったプレーでした。
映像はこちら▼(時間指定してます)
地味に優磨のシュートも難しかったと思いますが、このあたりは流石ですね。簡単にやってのけました。
その後、川崎はマルシーニョ退場で万事休す。4-4-2ブロックの鹿島を崩すことはできず、試合終了。8年ぶりの勝利にカシマスタジアムが湧きました。
総括
ポポヴィッチはどこまで見抜いていたのか
私は後半の分析冒頭で、こんなことをドヤ顔で書いていました。しかし、後半の立ち上がりにこれとは全く異なるシーンがありました。
こちら▼(時間指定してます)
なんと名古がGK含めた3バックに対して猛然とプレスをかけているではありませんか。この直後前半の失点シーンと全く同じ形で大ピンチを迎えます。
この時テクニカルエリアにいるポポヴィッチは突っ立ってるだけ。
HTに修正の指示をしていたらポポヴィッチの性格的に激高していたでしょう。ということは、このビルドへの対策は選手発の発想だと考えられます。
ピッチで起きていることをとらえ、選手が体現できるのが一番早く効率的ですが、ポポヴィッチが明確な解を示せていなかったのだとしたら、少し不安が残ります。
「誰が出ても鹿島」の体現なるか
そうは言っても、名古のトップ下起用は相手フォーメーションのWEAKをつく素晴らしい采配でした。知念のボランチ起用や佐野のCB起用など、選手の強みを見出し柔軟な起用ができるのはポポヴィッチならではと言えるでしょう。
特に名古のトランジションの速さに目をつけ、相手のアンカー脇というWEAKをついてサイドでチャブリッチ・藤井と絡ませたのは見事という他ありません。
現状、鹿島はDFの控えが薄いことなど1軍と2軍の差が激しいことが大きな課題です。このようなフレキシブルな起用で選手の負担を軽減しながら戦っていければ真に「誰が出ても鹿島」が実現するのではないでしょうか。
最後に
更新サボっててスイマセン。勝てなかった試合も更新します。(やる気でないんだよなあ)
以上
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