とある事件について


私の知り合いが、事件を起こして逮捕された時の話です。

その人とは親しいわけではなかったけれど、会えば話すし普通に笑うことができるような相手でした。深く知らないし、ほんのり家庭事情を小耳にはさむくらいの。本当に「知り合い」という言葉がぴったりな相手でした。そろそろあの話を……ついでにあれを持っていくか……。そう思っていた矢先、全国ネットで知り合いの名前が出てしまいました。知り合いは事件を起こし、逮捕、起訴されてしまったのです。

私は、その人とは深いかかわりはありません。その人の抱えていた問題なんか知りません。でも、その日からずっと私の胸に重くとどまる感情があるのです。

「私、その人に何かしてあげられてたら。今度といわず早く会いに行っていたら。何か察知する能力が高かったら……」

人生は後悔ばかりです。死にたいって思っていても周りの人間がこうなってしまうと自分の力のなさを感じてしまってつらいと正直思います。

ところで、最近MIU404という星野源さんと綾野剛さんのドラマがアマプラに入りましたね。ドラマ放映時はテレビを見るタイミングがなくようやく見ましたが、作品の中で親しい人が犯行を犯してしまい……という流れを何度か目にして、知り合いでこんなに悩むなら私はどれだけ悩むだろうかと思い悩んで胸が苦しくなりました。とってもいいドラマですよね。まあそれは置いておいて。

とかく、事件を起こすということは周りに大なり小なり影響を与えてしまうんだと思ってばかり。私は小心者なので犯罪を犯す度胸はないのですが、追い詰められたらあの人みたいになってしまうのかと、恐ろしい。そして、とても悲しい。

名前がニュースで出て、ツイッターで名前が拡散されて、顔写真はまだかと言われて、あいついつかやると思ってましたwwwなんて言われて。もっと深く知っていたらそんな風に思ったのか、それともそんな無責任な書き込みに反論できたのだろうか。あの人は家族が大事だったんだと、そんなことをする人じゃない、あなたに何がわかる?って。でも、私にそれはできない、ただの知り合いだからです。

あんなことをして、家族はこれからどうなる?あの人の実家も知っているし、私には何の関係もないのに不安でたまらなくなる瞬間がある。

世の中には、裁かれない悪人だってたくさんいる。私も犯罪被害者で、今は五体満足に生きていてただのメンヘラだけれど犯人が身内なのでそいつは警察に行くこともなくのうのうと、今はどうしてるか知らない。会いたくもない。加害者になってしまったあの知り合いを思い出して「ああ、かわいそうだ、私は何をできただろうか」と思う瞬間に同時に私に投げられたあの言葉がよみがえることがある。

「お前が我慢すればいいじゃん、誰も悲しまないだろ!」

私が知り合いの犯行の被害者になったら、あの穏やかな人柄も塗り替えられてしまうのだろうか。私に犯行を行ったあいつはまさに「いつかやると思ってました」な人だ。そう思う気持ちがあるからこそ、知り合いに同じ言葉を吐いたあの無責任なツイートに反論できない。知っていたら、そう思ったのかもしれないと。

そんな堂々巡りを繰り返すのも時間が解決するけれど

で、今回のnoteで私が言いたいのは犯罪はやったもん負けなんだってことです。そこに故意があろうとなかろうと。メンヘラだけど、他人に迷惑はかけたくないなと一層思った出来事でした。なるべく迷惑かけないように死ぬしかないな……。

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