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梅田のJazz on Topでジャズを聴く

昨日、友人と梅田のJazz on Topに行ってきた。

13時から15時半のライブで、14時から30分の休憩を挟む2部制だった。
ジャズを生で聴くのは初めて。ここ2ヶ月くらいずっと「ジャズを生で聴きたい」と考えていたが、ライブに1人で行こうとは思わなかった。チャージ料と食費を含めて4000円くらいすることが分かっていたので、「案外つまらなくて早く帰りたいと思いながら3時間弱を過ごすのは嫌だな」という思いがあったからだ。友人と行けば演奏がつまらなくても喋っていたら時間が過ぎるので、行くときは誰かと、と決めていた。

店内に入ってすぐ、居心地が良さそうだと思った。僕が恐れていたのはジャズ通の若者がたむろしていて、入店時に僕をじろっと見ることだった。しかしお客は8人くらいで、その全部がおじさんだったのでホッとした。

友人と映画「怪物」の話をしていると、演者の女性が入ってきた。最初は客かと思ったが、ピアノの椅子に座ったので「ああ、この人が」と思った。
短い挨拶が終わるとすぐに曲が始まった。喋っていたおじさん達が黙った。
ピアノ(増田陽子さん)とフルート(咲野ゆりさん)のデュオだった。始まって1分ほどでピアノが思ったよりもノリがよく、ぐいぐい引き込む感じだったので、僕はもう「来てよかった」と思った。ビル・エヴァンスやブルーベック、キース・ジャレット=ピアノのジャズとしていた僕だが、こういう地域で活動するアーティストでも十分グルーヴを感じさせることに嬉しくなった。フルートも綺麗な音だったが、ピアノの前のめりなリズムに僕は気を取られて、ピアノばかり見ていた。見た目は華奢な女性なのにかなり力強く弾く様子が、ギャップで良かったんだと思う。

フィッシュ&チップスと焼きそばで2000円くらい


休憩に入ると演者が客のテーブルを回り挨拶をし始めた。まずは咲野さんが僕たちの前に来て「若い人がいるのはすごく珍しい」と言った。僕はてっきり、どのライブハウスにもスカした若いジャズ狂だか文学青年だかがいると想像していたので、その言葉には勇気付けられたというか、まあ気分は良かった。

次に増田さんが来て、同じように若者の珍しさを開口一番で言った。2人の反応が同じことから、ジャズを好きな若者は本当に減っているということが分かった。増田さんは客の1人である常連を紹介してくれた。オススメのジャズライブハウスを教えてくれた。隣に座っていたおじさんも会話に入ってきた。こういう交流は僕が望んでいたことの1つだった。別のテーブルに座っていたおじさん3人組はチェット・ベイカーの話や、自分が実はジャズファンであることの自慢をしていた。そういう音楽好きの会話を盗み聞きするのも楽しみの1つだった。

2部が始まる前に、アーティストが僕と友人を名指しで「今日は若いお客さんが来てくれました。どうして来てくれたんですか?」と聞いてきた。僕は「ディスク・ユニオンに行くときによく通りかかるから」と答えた。しかし村上春樹や中上健次、ケルアック、その他大勢の純文作家がジャズを好み、僕もそれを真似したい、というのが本心である。

2部制も同じく4曲。中でもオスカー・ピーターソンの「ノリーンズ・ノクターン」が良かった。4曲目の次にはアンコールがあった。そういう風習もライブならではで、勉強になった。正直にいうと、「ノリーンズ・ノクターン」が陽気で弾ける感じだったので、そっちで終わる方が後味としては良かった気がしたが。アンコールの方はバラード調で、シメとしてはぬるっとした感じがあった。まあ、そんなことはどうでも良いのだ。

会計は1人5150円。これが2000円とかなら文句なしだ。しかしお金以上の経験を得た手応えはあったので、多分5000円でもまた行くことにはなると思う。

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