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良い特集が浮かばない!

来月号の特集を任されている。

僕がいる出版社は月に一度編集会議をやる。そこで企画のアイデアを出し合い、担当者を決めていく。
これまで特集を分担したことはあったが、1人でやるのは初めてだ。そのため、僕は必要以上に「面白い特集にしよう」と考えている。

必要以上にというのは、おそらく編集部の先輩はそこまで求めていない。なぜなら僕の出版社は雑誌を2つやっていて、1つは伸び盛りで、1つは廃刊もそう遠くはない。今回の特集は後者の方の雑誌に掲載するものだ。

廃刊が遠くない理由は、業界の衰退、スポンサーの減少、読者の高齢化にある。僕は色々打開策を考えているのだが、いつも「業界の衰退は防げない」という結論にたどり着く。無理なものは無理だ。業界にやる気がないので、こちらも面白い雑誌にしたいモチベーションが湧いてこない。加えて僕はたかが2年目だが、編集部の先輩はこの雑誌が10年以上前から右肩下がりなのを見てきている。僕が5日間かけてこの特集1本に集中して面白いものに仕上げたとして、それがスポンサーの獲得に繋がらず読者も増えないのは分かりきっている。

それでもやはり、良い特集が書きたい気持ちは抑えられない。特集とはその号を象徴するもの。「ああ、11月号といえばあの特集だね」というもの。これを適当に済ましたら、僕は何のために文章を書いているのだろう?ということになる。

で、今日は就業時間のほとんどをアイデアの採集に費やしたのだが、方向性は全く決まらなかった。つまり、僕は今日何もしていなかった。

企画はとある展示会を取材するものなのだが、ただ取材して「こんな展示会がありました」とするなら、特集レベルではないのだ。特集は読み物として面白い必要がある。ちょっとくらいなら大げさに書いても良い。書き手の自由度は高い。

しかし衰退する業界の展示会なので、はっきり言ってモノがショボい。ショボいモノを面白く書くのは、しんどい。空回りしている気分になる。

でも……(僕はでも、しかしが口癖である)センスのある書き手ならどれだけ面白くない素材でも面白く書ける。ここで言い訳していたら僕もセンスのない記者の1人と認めるのと同じ。

しかし、音楽や文学についてならすぐに思いつくんだけどなあ!

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