甲類焼酎のプロに聞く。飲みやすい甲類・飲みにくい甲類の差(前編)
関東の酒場では、酎ハイ、サワー、ビールテイスト割材飲料(ハイッピー・ホッピーなど)が、ビールや日本酒と同様かそれ以上に注文率が高いお酒です。割り方次第でさまざまな味わいが楽しめるだけでなく、他の酒類に比べて比較的手ごろな価格で楽しむことができます。また、飲食店側にとっても酎ハイなどは重要な存在です。原価率が低く、収益バランスを維持する上で重要な商品となっいます。
さて、酎ハイ類は人々に喜ばれていますが、しばしば「○○(商品名)焼酎だから翌日に残る」「▢▢は飲みやすい」という言葉を耳にします。では、実際に酒類メーカーのブランドによって酔い方や味覚に違いがあるのでしょうか。
この疑問を解明するため、私は宝酒造松戸工場を訪れました。
宝酒造松戸工場とは
一言でいえば、日本で有数の甲類焼酎および関連する酎ハイの製造工場。宝酒造の酒類の約半数が松戸製です。この工場には日本最大級の連続式蒸留機「スーパーアロスパス蒸留機」が設置されており、年に一度の法定点検を除いて、24時間、3交代制で蒸留作業が行われています。
「宝焼酎」は111年前に発売が開始されて以来、長い歴史を誇る甲類(かつてはカストリ)焼酎ブランドです。宝酒造はその間、設備の改良を繰り返し、独自のノウハウと技術を培ってきました。松戸工場では、宝酒造などが改良した連続式蒸留機「スーパーアロスパス式蒸留機」を使用しています。この蒸留機は長年の経験と研究に基づいて開発されたもので、宝酒造の特徴的な製造方法を実現するために使用されています。具体的な設備の詳細についてはここでは省略します。
連続式蒸留機によって製造されたエチルアルコールは、度数を調整するために加水されます。その後、樽で貯蔵された甲類焼酎と配合されるなどして、「宝焼酎」や「宝焼酎 純」「宝ゴールデン」などの甲類焼酎製品として出荷されます。また、一部の製品ではシロップと炭酸ガスが添加され、「宝焼酎ハイボール」や「Takara CANチューハイ」として出荷されます。
また、みりんなど宝酒造が製造する焼酎類以外の商品も東日本向けの多くが松戸で製造されています。ちなみに、製造所固有記号は「D」です。
純度99%超、アルコール度数90%を超えるエタノールに味の違いはあるのか
それでは、ここからが本題です。ここまでは宝酒造の企業案内でしたが、これからは酎ハイ類を愛飲する方々が気になる甲類焼酎による体感の違いをご紹介いたします。
(松戸工場についての紹介記事は、後日Syupoにて掲載しますので、宝酒造や連続式蒸留機について興味がある方は、そちらの記事をお待ちください)
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