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東京って息をすると悲しくなるんだ





ある夜、僕は考えてしまった。
東京に来て得たもの、失くしたもの。

2019年の秋、ある夢を目指し
上京を決心した。
地元、大阪で活動することもできたが、
地元に居ると僕はダメになる、
甘えた性格と流される性格を自分で熟知していた



突然の上京で部屋も決めていなかった僕は
ホテル暮らしをはじめた。

アルバイト先に行くと怒られ、除け者にされ
周りには友だちも居ない。
毎晩お酒を夜中まで飲んで出社した。
泣いて寝て、泣いて起きる日々を繰り返してた


何のために東京へきたのか。

程なくして世界的に新型ウイルスが蔓延した。
もちろん影響は多いに受けた。
仕事もない、友だちにも家族にも会えない。



深夜、タバコを買いにコンビニへ向かった。
周りには人も居ない、
思いきって、マスクを外してみた。

この街の夜を包む匂いは、あのときの匂いと似ていた。
昔よく友だちと行ったスーパー銭湯。
風呂あがり、夜風に吹かれ一緒にタバコを吸う
そんな当たり前の時間が大好きだった。

同じ匂いの夜風に吹かれながらタバコを吸ってみた。
涙が込み上げてくる。
"オトナ"を理由に外で泣くことはもうできなかった。

僕はここで得たもの、失くしたもの。
同じ匂いを吸うだけで悲しくなるのは
失くしたものの大きさと比例しているんだろう。







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