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紹介したい本がある。


「妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした」

発売してすぐAmazon書籍ランキングで1位(ジャンル別ちゃうで、書籍全体やで…)発売10日で5回も重版とめちゃくちゃ話題の本なので、とっくに知っている方、持ってる方もいらっしゃると思うのだが

私のエッセイ本3冊「クリームシチュウはご飯に合うか否かなど」「スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件」「おしゃべりな人見知り」と、レシピ本「どこにでもある素材で誰でもできる料理を1冊にまとめた『作る気になる』本」の編集を担当してくださっている小林さん、通称”こばへん”の初めてのエッセイ本だ。タイトル全部なっが。

小林さんは、出会った時はESSEの編集長だった。そのあと局長、今は役員?さらなる偉い人になってしまわれたが

数年前に保護犬の”福ちゃん”を家族に迎え入れてからは、福ちゃん、保護猫のともちゃん・もえちゃんとの日々をつづったInstagramが人気を博し、いつの間にか「福ちゃんのお父さん」として有名になっていた。

→小林さんのInstagram

もはや福ちゃんおらんかった時の小林さんってどんな人やったっけと思うぐらい「福が可愛くてたまらない」「早く家に帰りたくてしょうがない」と会うたび仰っている。

やたらオシャレな家に寝転ぶ福ちゃん。小林さんのInstagramより
猫のとも・もえと福ちゃん
娘さんが作ったまるパンととも
まどろむ2人

そんな皆に愛される福ちゃんだが、保護犬に詳しい方はご存知だと思う。信頼関係が芽生えるまでの過程はそれはそれは大変なのだ。

小学生の時、幼馴染のはまざきまいが、虐待されていた過去を持つ保護犬を迎え入れた大変さを見てきたから(同時に何倍も素敵なことであるというのも見てきたけど)「可愛い~」だけでは犬は絶対に飼えないと当時から痛感していた。

そしてこの本のタイトルにあるように、福ちゃんとの日々は、同時に奥様の闘病の日々でもあったのだ。

小林さんがおそらく一番大変だった、この本に書かれている日々が、まさに「作る気になる本」を一緒に制作していた時である。

この記事で少しだけ触れているのだが

新刊のネット予約を開始しました 予約特典の話と、本への思いなど

私がこの本の印税を全額寄付し続けている理由の1つに、実は小林さんの奥さんの存在があった。

といっても私など全然詳しいことは知らないし、たまたまその時一緒に本を作っていたというだけなのだが、そういうつながりもあって、小林さんの本にはちょっと思い入れがあるのだ。

本の内容はどこまで書いて良いのか迷うためAmazonの説明を貼り付けると

『余命半年と宣告された妻。絶望しかなかった小林家の一員となった保護犬・福。 人を警戒してなかなか懐かない殺処分寸前だった福がもたらしたのは、“笑顔”と“生きようとする力”。 救われたのは犬ではなく僕ら家族だったーー。

フジテレビ系「坂上どうぶつ王国」、BS朝日「ネコいぬワイドショー」、朝日新聞「sippo」、J-WAVEなど多数メディアで取り上げられた【がんと闘う家族と保護犬との奇跡の絆】、待望の書籍化!

狂暴な野犬ではなく、可哀そうな保護犬でもなく、人に飼われるペットでもない、まぎれもなく“家族”とのかけがえのない1,095日を切り取った珠玉の物語。』


余命とか保護犬という単語だけみると、お涙頂戴系の話かな?と想像されそうだが、そういう押しつけがましさは一切ない。

読者を重くさせない配慮というのか、本当に読みやすい。お茶目な福ちゃんに笑えて、良い意味でのゆるさもあって、何よりすごく優しいのだ。落ち着いた、誰も傷つけない文章。だからこそ逆に泣けてしまう。

そして嘘がない。本書の中の「正直に言えば、かわいそうな、もらい手の見つからない子犬を引き取る自分になりたかった、というのもあったかもしれない」という一文に、ああ、小林さんらしいな、と頷いてしまった。

合間には福ちゃんとの日々がカラー写真で挟まっている。

来て2~3日の福ちゃん。福ちゃんと言えばこの困り顔。

キャンプ飯に手作りドーナツ…確実に”飯テロ”を狙った描写も多く「夜中に読んだらあかんやつ」でもある。そんな詳しく書かんでええやろと思うほど美味しそうに書いてくる。

ちょっとずつ噛み締めて楽しみたかったのに結局一気読みしてしまった。

1匹の犬の命を救うことで救われた家族と、福ちゃんが教えてくれたことを色んな人に読んでもらいたいと思い、今回noteに書いてみた。

もしよかったら読んでみてください。
妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした

最後に。

こんな紹介しといてアレなのだが、そんなわけないない、そんな綺麗に終わる話なわけないやろ、と思ったのもある。

きっと一番しんどかったであろう部分に関して、小林さんはあえて「書かない」という選択をされている。当たり前だが、本というのは書かれていないことのほうがずっと多い。

この優しい物語を読んだ時、一番身近で大好きな人が何十年も病気と戦う壮絶さや辛さは、どれだけ書いても絶対に伝わらない、わかるはずがないという小林さんの諦め…という良い方は正しくないかもしれないが、抱えるのは自分の家族と福ちゃんだけでいいという優しさや強い意思みたいなのを同時に感じた。一緒に荷物を持たせてもらえなかった、ある種の寂しさみたいなのをちょっと覚えてしまったのだ。

でも、それって本当に正しくて。大切な人の闘病や家族の思いに対して変な解釈や消費のされた方絶対したくないじゃないですか。人は誰しも色々抱えて生きていて、本当の辛さなんてきっと誰にも伝わらないし、伝えることで自分が傷つくこともある。

病気を抱える人、支える人、看取った経験がある人。この本を通して、小林さんは誰の事も傷つけたくなかったんだろうな、そして、誰にも傷つけられたくなかったんだろうな…そう思った。

いや、単にそうしたほうが読み手がそれぞれ自分たちに当てはめて思いを馳せることができるみたいな、本としての普遍性をとっただけなのかもしれない。時々そういう舌をペロッと出すようなところもある人で、だからこそ私は信頼できるのだ。

生き物と暮らす方も、そうでない方も。もしよかったら、手に取ってみてほしい。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

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