見出し画像

「太陽を追いかけろ! in Front of the Rainbow」あとがき+備忘録

はじめに

2023年5月21日に行われた沼ラブ8に、「太陽を追いかけろ! in Front of the Rainbow」という本を頒布させていただきました。
ラブライブサンシャインの聖地、沼津でこの本を頒布することができて本当に嬉しかったです。この話は、個人的にも思い入れのある話だったので、思い出を残す+執筆の備忘録も兼ねて、ブログを書きたいと思います。
極力ネタバレをしないように書きますが、意図せずネタバレしている可能性もあるので、一応、ご注意ください。

ちなみに本作は下記にて本をお取り寄せすることができますので、ご興味あればポチッと押していただけるとめちゃくちゃ嬉しいです。

また、本作は、沼ラブ前に、pixivにて全文公開しております。
こちらもご利用ください。読んでくれたら泣いて喜びます。


書こうと思ったきっかけ

本のあとがきの方にも書いているのですが、この話を書こうと思った一番のきっかけは、世の中がコロナ禍になったのが一番の理由です。

コロナが流行り出して、やりたいことや、これまで当たり前にできていたことがどんどんとできなくなっていきました。
自分は旅行が好きだったのですが、旅行はおろか、外に出ることすら憚られるような空気に、息苦しくなっていきました。
世の中は、人が集まるようなイベントは軒並み中止となりました。Aqoursも例外ではなく、当時控えていたライブ「perfect world」や地元沼津での凱旋ライブ、ドームツアーも、悉く中止……。
もう、これから先、楽しいことは一切ないんじゃないかと思うくらいの閉塞感を味わいました。

ただ、このままじゃ本当に自分の人生、閉塞して終わるだけじゃないか、と思い直し、そこから新しく始めたのが、「小説を書く」ということでした。

以前から、仲間内でラジオドラマを作っており、自分は主にそのラジオドラマの脚本を書いていたので、小説というジャンルに本格的に挑戦したい気持ちはありました。
実はこれまでも何度か挑戦していたのですが、どうにもうまくいかず、断念してそのまま、ということを繰り返していました。

けど、今なら。
時間ならたっぷりある今なら、じっくりと取り組めるんじゃないか。

そんなことを思い、小説を書くようになりました。
まぁ、何か新しいことを始めないと本当につまらない人生になる、という危機感もあり、運よく行動に当てはめることができた、という部分もあります。

ストーリーについて

書き始めたきっかけがきっかけなだけに、コロナ禍の心境が強く影響しています。

本作では、主人公である星野陽子というオリジナルキャラクターの女の子が登場していますが、彼女は自分が生まれた時に病気で母親を、小学三年生の時に、父親を事故で亡くしています。
この辺は、「当たり前と思っていたものは、実は当たり前ではない」という想いを作中で入れたくて、このような設定にしました。

また、今回のような話にした理由としては、「自分なりのAqoursへの感謝」を書きたかった、という想いもありました。

というのも、今となっては大変失礼な想いだったのですが、コロナ禍の最中、「もしかしたらAqoursはこのまま解散してしまうんじゃないか?」と考えていた時があったのです。

そう思った背景として、やはりコロナ禍でAqoursの予定していたライブが中止になったこと。
ライブを見るだけの我々でさえ、中止と発表された時の落ち込みようは凄まじかったので、実際にライブをするAqoursの落胆の仕方は想像を絶するんだろうな、と。
いつコロナ禍が終わるかも分からない状況下で、ライブやイベントを企画しようにも常に中止の可能性を孕んでいる。
先が全然見通せない環境に心身が疲弊し、結果として解散という選択をしてしまう場合もあるんじゃないか。

始まりあるものは、いつかは必ず終わるものですが、コロナ禍になって、一番身近にAqoursの解散という可能性をはっきりと感じたのでした。

もし、そういう選択をしたとしても、それは仕方がない。どうしょうもない。
だったらせめて、Aqoursに感謝を伝えたい。
これまでたくさん活力をくれたAqoursに。
自分がどれだけAqoursに影響を受けたか、たくさんの思い出をもらったのかを伝えたい。

今回、オリキャラを物語の中心に据えたのは、Aqoursへの感謝を伝えるのに、第三者のキャラを主人公にした方が、感謝の気持ちを伝えられるんじゃないか、と思ったからです。

星野陽子について

このキャラは、ある意味で自分の分身という意味合いを持たせたキャラです。
上の方にも書きましたが、まず一つ目の役割としては、第三者としてAqoursに感謝を伝える役割
それともう一つは、自分のAqoursへの気持ちの変化を表す役割も担ってました
Aqoursが結成した前後では、確かラブライブのレジェンド、μ'sが活動休止するぞ、という時期でした。多くの人がμ'sの活動休止に戸惑っていたと思います。自分もそうでした。

いつかはその時がくると薄々分かっていましたが、いざその時を迎えると、ショックで呆然とするしかありませんでした。
なので、「じゃあAqoursを応援しましょうか」と、すぐに気持ちを切り替えることは、なかなか出来ませんでした。

作中で、陽子がAqoursに対して毒づいてる描写がありますが、ここの意図は、当時の自分の戸惑いを大袈裟に表現しています(実際、ここまで悪い印象ではなかったです。単純に戸惑いの方が強かった)。

ですが、Aqoursはその後、懸命な活動を続け、多くの人を魅了しました。自分も、彼女達の活動を見て、どんどんとはまっていきました。
陽子がAqoursとの交流を経て、心情が変わっていったのは、自分の気持ちと重ね合わせた感じです。

また、メタ的な目線で言うと、最初態度が悪かったキャラが、どんどん丸くなっていくというのは、物語の最初と最後で分かりやすく「変化」しているし、読者的にも、感情移入してもらいやすいかな、と言う意地汚い思惑もありました。

謎解きについて

自分としては初の試みで、すごく悩みました。
当然ながら、文章を書くこととはまた別の脳を使う感覚で、めちゃくちゃ苦労しました。

謎解きということなので、必ず解けるようにしないといけない。
でも、あまりにも簡単すぎるのは違う。
じゃあどこまでの難しさならOKなんだ?
ヒントはどこまで、どの内容まで提示すればいいんだ?

みたいに、バランスを見極めるのが本当に大変でした。

謎そのものについても、当時は挿絵を入れるかどうか不透明だったので、文章のみで表現できる問題にしないといけない、という条件もあり、これもすごく苦労しました。
推理小説を書く人は、本当にすごい。

執筆期間について

この話を完成させるのに、約三年かかりました。というのも、この話自体が一番初めに手がけた小説なのですが、途中、中断期間をだいぶ長く挟んだため、時間だけが過ぎていった、という感じです。多分、実際の作業期間を集計すると十一ヶ月くらい?

中断が長くなった理由は、一年生編(本編でいうと第二章)の展開が全くこれっぽっちも思い浮かばなかったから。
いや、実際には「これこれ、こういう展開にしたいなぁ」という漠然としたイメージはあったのですが、そのイメージを固めることが出来なかった。

ここら辺の心情は、今だから分かるのですが、最初にイメージしていた「漠然とした面白い展開」に囚われすぎていたな、と
考えてみれば当然なんだけど、「漠然とした面白い展開」は、自分の中では面白いに決まってるんですよね。
だって、面白いイメージしか持ってないから
対して、文字を書くということは、イメージを固める行為であり、書くたびに、最初に抱いていた面白いイメージと齟齬が生まれてしまう。
「あれ? こんな感じじゃなかったのにな?」という思いがどんどん積み重なって、書けなくなってしまう。
自分はそこに囚われすぎて書けなくなってました。
その後、自分は「小説を完成させる経験がまだない。まずは一つ、短編でもいいから小説を完成させねば」と方向転換し、自分の大好きなちかりこを書き続けてきました。結果として、本編は今の今まで塩漬けにしていた訳ですが……。

でも、まがりなりに小説を何本か完成させる経験を経て。
また、今回、この物語に改めて向き合って感じたことは、「最初の漠然とした面白いイメージ」に囚われてはいけない、ということ。

自分の中では「なんとなく面白いイメージ」があるから、それが至高だ目指すべき頂だと、つい目指してしまうけど、所詮は「漠然としたイメージ」だ。
ゴールも、あるべき姿というのも、実はあやふやのまま。
面白さは何一つ保証されていないのだ
だから、文字を書くたびに聞こえてくる「こんな感じじゃないのでは?」という声を気にしちゃいけない。
根拠にしている「こんな感じ」が、明確じゃないのだから。
とにかく書くことが大切なのだ


結果として、当時は全然書けなかった一年生編も、約二週間で完成させることが出来たので、自分にとって本当に大きな自信になりました。
まず書くことって大事。本当に大事。

推敲について

自分は、文章は一度、ノートかiPadのメモアプリに手書きで全部書くスタイルで、書き上げてから、テキストアプリに打ち込む、という作業をしています。

無駄なことしてんな、と思われる方もいるでしょうが、生来的に、ペンを動かして文章を書かないと気分が乗らないタイプで、テキストアプリに打ち込む段階で、文章を推敲することになるので、自分としては無駄にはならないと思っています。
ですが、この推敲の作業が本当に苦痛でした。

文章を書いている分には「創作してる!」感があるので、結構前向きに作業出来るのですが、推敲となると、一度冷静になって文章を見ないといけない訳で……。
「自分の声、なかなかイケるやん?」と思って録音して聴いてみたら、「思ってたのと全然違う声やん!」とショックを受けるみたいな、自分にとって夢心地から一気に醒める作業なので、本当に辛かった。

やりたくないことは極力やりたくない性格なので、推敲作業をどんどん先延ばしにしてしまい、結果、スケジュールを遅らせてしまうという……。それに、本編を見ると、誤字脱字がちらほらと……。
ここは本当に反省です。
今話題のAIとかで、推敲とかしてくんねぇかなぁ。

最後に

沼ラブの開催が発表されたのが、去年の十一月、ちかりこオンリーの時でした。
沼津でやるイベント、ということで、自分の原点ともいえる本作を完成させるならここしかないと思いました。

長く中断した話を完成させるのは想像以上にエネルギーが必要でしたが、なんとか無事に完成させることが出来てよかったです。

また、オリキャラが主人公という、二次創作においても、あまり好まれなさそうな設定の話にも関わらず、当日は自分の想定以上の方にお手にとってもらいました。
嬉しかったです。本当にありがとうございます。
当時の自分の想いを叶えることが出来ました。
また新しい気持ちで、これからの創作活動を頑張りたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?