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「ゲームの企画書(1) どんな子供でも遊べなければならない」を読んだ感想

なんとなくゲームを作る役にたつかな……、と思って買ってみました。

個人的には、それなりに役に立つけれど対談をまとめたものなので、どうしても当時の雰囲気や思い出話といったゲームデザインとはあまり関係がないものが多く、それらを楽しめる人なら良いかも……、という印象です。

ちゃんとしたゲームデザインを学びたいなら、
ゲームメカニクス おもしろくするためのゲームデザイン
中ヒットに導くゲームデザイン
「ヒットする」のゲームデザイン ―ユーザーモデルによるマーケット主導型デザイン
「タッチパネル」のゲームデザイン ―アプリやゲームをおもしろくするテクニック
がオススメです。

第1章は「ゼビウス」について。第2章は「桃太郎電鉄」について。第3章は「不思議のダンジョン」。第4章はコーエーのシミュレーションゲームについてです。

このラインナップから分かる通り、今時のゲームについてはあまり語られず(インタビューの時期も少し前のようです)、「ファミコン〜スーパーファミコン」あたりの話がメインとなります。

とは言え、個人的には「なるほど」と思った部分も多かったので、勉強になった部分を抜粋していくと、

* ゲームの良いアイデアは「コストがかからずに面白くなるもの」。例えば、デザインデータを増やしたり、キャラを多くするようなアイデアはコストが大きくな流ので良いアイデアとは言えない。セガ版のアーケードのテトリスが「設置にタイムラグを設けることで、ゲーム性が飛躍的に向上した」というものが良いアイデア
* 難易度を上昇させることは、ゲームにとって本質的でない。難易度を高くするのはユーザーに繰り返しプレイをさせるための仕掛けにすぎない
* 「桃太郎電鉄」の「キングボンビー」はゲームバランスを壊すと堀井雄二氏に強く反対された。しかし結果的には正解。理由はゲームバランスが崩れてメチャクチャなカオス感が出るのが面白いから
* 「ローグ」の面白さの1つに、相手の動きを鈍くして自分のターンを稼いでいくような戦略の幅を広げていく楽しさがある
* 「不思議のダンジョン」シリーズでこだわったのが、Bダッシュでマップを歩き回れるスピード感。高速でダンジョンを進むのが気持ちいい。ゲームは手触り感がすごく大切。ウィンドウの操作のテンポの良さにもかなり気を使った
* 「信長の野望」は「歴史上の武将になりきった気分遊べる」ということを重視した

個人的には最後の「コーエー」のインタビューがとても勉強になりました。シミュレーションゲームはリソース管理やパラメータ制御がメインになるので、無機質な開発を想像したのですが、そうではなかったようです。
「信長の野望」では、歴史上の人物や人間性、戦国時代という特殊な時代を描くことを目的として作り、さらに、シブサワ・コウさん自身も "ペルソナ4" の "恋愛シミュレーション" 的な部分を楽しんでいるという話が意外でした。
これはゲームを作るときに「どんな体験を得られるのか?」ということを焦点に当てた、ゲーム開発としてとても正しい作り方をされています。

ということで、シミュレーターゲームを作る場合には、そういった視点でゲームを作るのもアリだな……と思った次第です。

■関連する記事

「どんな体験を得られるのか?」という着想からゲームを作ることを大切さについて考えてみました。
改めてゲームデザインの本をいくつか読み始めているのですが、たいてい最初に書かれているのが「体験」についてのことで、自戒を込めて書きました。

宮本茂さんのゲームの作り方をまとめてみました。宮本茂さんも「どんな体験を得られるか」ということを重視していて、その着想の元になるのが、子供の頃にした遊びになっているとのことです。

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