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三大欲求のひとつである「淋しさ」

コテンラジオ「性の歴史」を毎回聞き続けた後の番外編。

[PG-18]「社会には愛しかない」AV監督・二村ヒトシさんに聞く人類を幸せにする為のセックス(中編)【COTEN RADIO 番外編 #59】

めちゃめちゃ面白かったです。
そしてものすごく合点がいきました。


三大欲求には「性欲」じゃなくて「淋しさ」=愛が入っているわけですね。

「睡眠」と「食事」と「淋しさ」があって、
愛に飢えているというのが、あらゆる形で出る。


体を養うことと休めること以外の人間がやっているややこしいこと全ては
自分の中の淋しさをなんとかするためのものじゃないか。


資本主義って性欲だよね。
淋しさからきている。
もともと狩猟の実力主義の世界があって、
それから農業するようになって、富が生まれ、金持ちと貧乏人ができた。
来年もまたこの時期に収穫できるということが分かり、時間が生まれた。
テクノロジーが生まれ、セックスと妊娠が関係あると分かる。
そのへんからややこしくなってきた。男が威張りはじめる。

「資本主義」とか「戦争」とか全部、男が淋しくてやっていることじゃないか。

コテンラジオで歴史の話を頻繁に聞くようになって、
この時代にこの国にたまたま生まれた自分たちなんかめちゃめちゃラッキーな方じゃないかと思えど
この日本でも毎日毎日殺人事件。

「空腹だったので・・」とか「不眠で・・・」が動機の殺人事件って聞かなくないですか。

淋しさは、愛は、侮れないです。


ちょうど今、津村記久子さんの

『つまらない住宅地のすべての家』

を読んでいる。


その中の主人公の一人、一人暮らしの25歳男性・望

彼は今日も雑巾みたいな味がするトーストを食べている。
家には沢山の段ボール。
複数買いしたポスターやフィギュアがあり、どうも二次元のアイドルのファンっぽい彼は、どうも派遣社員っぽくて、正社員の男からパワハラを受けているみたい。
そんな彼は、近所の小学生の女の子を誘拐しようと計画している。
自分が人知れず世間に悪意を示すために。

計画の当日、望は不意に隣に住む老夫婦に、庭の植木の刈込をお願いされる。
刑務所を脱走した逃亡犯が近所にいるのでは ということで、
住宅街の人たちが夜、笠原老夫婦宅の一室で寝ずの見張りをすることになったとのこと。
見張りに邪魔な植木の刈込を年の若い望にお願いし、笠原のおばあさんは彼にお礼の三千円と自分で作った牛すじ煮込みを渡す。美味しそうな牛すじ煮込みにつられ受け取ってしまった望の誘拐計画は頓挫し、夜の見張りのメンバーにも加えられてしまう。

夜の見張り中、望は、近所のおじさんたち、丸山さん、松山さん、三橋さんといっしょにいる。
笠原のおばあさんが、揚げそばを出してくれる。松山さんと笠原のおじいさんといっしょにトランプをする。
近所の噂話を聞いたり、牛すじ煮込みのおいしい店の話になる。松山さんが望に言う。
「店で会ったら飲もうよ」
みんなでテレビを見る。遠く離れた土地で大雨があり浸水の被害が出たと知り、丸山さんが、以前よくしてもらった取引先がこのへんなんです と心配している。携帯でニュースをチェックし始める丸山さんを望は目を細めて窓際から振り返っていた。

その後も望は笠原夫婦宅の植木の刈込に行くのだが、
”自分が社会から押し付けられている不全感の解消のために、それぐらいは奪わなければ釣り合いがとれない”ことから、誘拐計画を実行しようとしている。
そんなある日、望は部屋に張っている推しのポスターを笠原のおばあさんに見られてしまう。
布宮エリザの着物姿のポスター
望が大声で怒鳴る前におばあさんは
「その着物、すごくすてきですね。その絵の女の子にものすごく似合っている」と身の乗り出して、ポスターを見ようとする。
長崎更紗だと思う、母の故郷の染め物なのだ、この絵を描かれた人はすごく着物がお好きなんですね と、
着物のことがわかるばあさんに真っ向からほめられて、アニメやゲームに縁遠そうなばあさんでも感心するぐらい、彼女には価値があるのか。ならば、自分は彼女に恥じない人間でいるべきなんじゃないだろうか。自分が罪を犯すようなことを、彼女に共有させてはいけないのではないか。と望はそう思い至った。

その後、望は、どんどんどんどん幸せになっていく。
読んでいて、嬉しくなってにんまりしてしまう。


きっと、淋しさ や 愛 が原因で、もうダメだってところまできている時があって、
その時に、その夜に、自分も偶然に、いろんな他人に救われてきたのだと、
思い出しもしなかった記憶がよみがえりまして、
こうやって、
忘れたくないのでまた書いています。

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