読了まとめ~2023上半期

櫛木理宇/死刑に至る病
面白かった。でも嫌だな…………割と最後の最後まで展開がひっくり返らなくて、えっ……?と思いながら読みました 心が落ち込んでる時には絶対読まない方がいい本だな、と思った

小野不由美/緑の我が家
面白かった 小野不由美、本当に分かりやすくて読みやすい文なのに怖い でも緑の我が家はホラーと言うよりはしんみりというか 人間が怖いというか いい話だったな でも何も解決してなくないですか?
てか最後アパートが燃えちゃって、住民が見違えたように元気になって、でもアパートで起きた怪現象は何も解決してなくないですか?最後オサルの思い出話して、いい話だなで終わっちゃったけど 何も解決してないよ ねえ あの書いたところの住人が死ぬ男の子は?死んだ猫は?自殺に誘う手紙は?人を狂わせる何かは?大林はなにに憑かれて何に狂わされたんですか!?
そもそもあそこはオサルの家があった場所だったんだな……って最初にオサルが言ってたこの場所は歪んでるんだみたいのはなんなんですか?あのアパートに寂しくて帰る場所がない人を誘うのは誰なんですか?土地憑きだとしたら次にできる建物もまたグリーンホームみたいになっちゃうんじゃないんですか?
本当に嫌 小野不由美 大好きで大嫌い 怖いから

小野不由美/営繕かるかや怪異譚2
「緑の我が家」や「鮮血の迷宮」を読んでも思ったけれど、小野不由美は本当に嫌な建物の描写をするのが上手い。内部じゃなくて、配置の歪さとかも。 こわい、こわい、と思いながら読み進めていって尾端に助けられる。怖がりだから尾端が大好きです。最初の芙蓉忌だけ趣が違ってまたよかった

木古おうみ/領怪神犯
おもしろかった!ホラーというか、いや紛れも無いホラーなんだけど、怖いというよりは「おかしい」って感想が真っ先に出たな そこに確かに「在る」だけで解決とかもなくて、こういうの好きだ〜〜!になった

小川洋子/シュガータイム
なんか、なんか、ウワーーーーーーッ!!!!!! ラストとっても良かったな…………あとがきも好きだった 心の柔い部分をのぞきこんでるというか、のぞき込まれてるというか あの なんですか?これ 小川洋子さんの本読むといっつもなんか……こういう気持ちになる

恒川光太郎/夜市
ホラー小説大賞受賞作と聞いてドキドキしながら読んだけど、どちらも少し怖くて切ないような話でとても面白かった 古道の方が特に好きだったな…………

高瀬隼子/おいしいごはんが食べられますように
こんなに食事シーンを息が詰まり、退屈で、まずそうで、嫌にかけることある??????? 終わり方の後味も悪すぎるだろ 押尾さんだけだよ、好きなの 押尾さん以外全員キモい 嫌な気持ちすぎる 分かってたけどね、分かってたけど……

皆川博子/水底の祭り
おもしれ〜〜〜!!!!!短編集って知らずに読んだんだけど、どの話も人間模様というか、なんだろうな、年若い男の子が出てくる話が特出して全て魅力的だった 作者の性癖なんか?牡鹿の首、赤い弔旗、鎖と罠、どれもすごく良かったな…………赤い弔旗が特に良かった でもちょっと前の本だから、倫理観とか時代背景とかでモニョ……になりながら読んだ

原浩/火喰鳥を、喰う 
めちゃめちゃ面白かった…………待って、ラストがまだ咀嚼しきれてなくて分かんない ちょっと漁ろうかな、感想 文章も構成も上手くて怖い ミステリでありホラーだ…………少し進んだと思えば戻されて、大きな揺れに何度も襲われているような読み心地だった 面白い
文章も構成もめちゃめちゃ上手いな……怖い。ゾッとする。現実から弾き出されて、弾き出された部分が侵食されて書き換わってくの嫌だな…… 本を読みながらふとみた下手の隅の闇が急に粘土を増したような気がして怖くなった。虫がジィジィ鳴いてるのが急に明瞭になって恐怖に拍車をかけてる。怖かった、確かに怖かったんだけど、あとを引くような怖さでは無いな こう……なんだろう、読んでて追い詰められるような怖さというか 展開が進むにつれて、どんどん水中で息が苦しくなっていくような怖さって言ったらいいのかな? はあ 面白かった

皆川博子/妖かし蔵殺人事件
最後まで全然真相が分からなかったけど、言われてみればああ、そうか、そんなことか………………って辻褄がピッタリハマった気分。 記者目線で謎が追われていくの、よく見るけどやっぱり面白いな でもなにより 丈太郎、丈太郎〜〜〜〜〜〜〜!!!!!しあわせになれ

國分功一郎/暇と退屈の倫理学
おもしろかった!分かんなかったけど!哲学的知識ゼロの状態で読み始めたから、哲学的知識があれば多分もう少し読みやすいし分かりやすいんだと思う。分かんないなりにハイデッガーの退屈の分類とか、環世界とか、なるほど〜になったし共感もしたし、「退屈」という曖昧模糊で考えたこともなかった概念に少しだけ輪郭が着いたような気がする。また知識が増えた頃に再読してみたい 今は多分半分も分かってないような気がする

皆川博子/恋紅
わたし福之助とゆうと芳三のことめちゃめちゃめちゃめちゃ好きになっちゃったんだけど…………分からない言葉がちらほらあり自分の無学を痛感しました。ググりながら読んだ。わたしはなんでもっと早くに皆川博子と出会えなかったんだろう

道尾秀介/向日葵の咲かない夏
えっめっちゃ好きだが?嫌だ気持ち悪いっていう前評判を聞いてたからどんなもんだろうと思ってたんだけど、個人的には別に嫌でも気持ち悪くもなかったな……ラスト100ページの怒涛の勢いがとても良かった 面白かった!潰すシーン、ゾクゾクした

千種創一/砂丘律
「繊細な果実の甘さと血の混じった匂い」市川春子 確かにこういう匂いがした。すごくわかる。開いてみると水に関することを歌った詩が結構あってよかったなあ、買ってよかった。千夜曳獏も買いたいな
個人的に好きだった二首
正しさって遠い響きだ ムニエルは切れる、フォークの銀の重さに
いちじくの冷たさへ指めりこんで、ごめんはときに拒絶の言葉

小川洋子/妊娠カレンダー
3編の中で一番「ドミトリイ」が好きだったな。小川洋子はあんまり読んでなくて、これで三冊目くらいなんだけどいつも地の文の描写が艶やかで生々しく、肉感を伴った柔らかさと温度があってすごく素敵だなあと思う。

小川洋子/薬指の標本
「ふと気がつくと、吹き出した血がタンクの中に流れ込み、サイダーを桃色に染めていた。その澄んだ色が、泡と一緒にぷつぷつと弾けていた。」 この文章でもうア〜〜〜〜になった 小川洋子さんの小説は少し不思議で薄暗さのような雰囲気があって、本当に好き

小川洋子/海
短編集。どれを読んでも面白くて、やっぱり短編が好きだなあと思った。個人的にはバタフライ和文タイプ事務所に出てくる活字管理人と、ガイドの題名屋の老人が好きだった。 この方の小説はいつも生々しい肉感があって、でも読み口は軽くて不思議な感じがする

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