或る春の夕暮
今日もまた 日が暮れてゆく
路傍に一輪だけ咲いている花が
心細そうにゆれている
今日もまた 日が暮れてゆく
東の空には月が
沈みゆく太陽を急かすように出ている
思えば生き急いで来たものであった
私はこれからを噛みしめるように生きよう
今日もまた 日が暮れてゆく
春の日らしい少々強い風が
私の帽子を落とそうと悪戯をする
間もなく桜が咲き乱れ
あたりを幸福な空気で一杯にするであろう
それも一瞬と思えば妙に切なくなる
(2024.3.22)
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