四行詩集 2023.10.24
砂時計
心は憂いにしずみ
ぼんやりと砂時計を視ている
さらさらと刻は流れる
さらさらと生命の砂が流れ落ちる
レガート
ジャズ・ドラムのレガートのように
うきうきと弾むわたしのこころ。
あなたを待っている時の
この喜びは黄金のいろ。
真夜中の創作
真夜中━━人知れず私は
夢中でペンを走らせる
朝の陽光を恋しく思いながらも
私は詩と一体化することを撰んだ
Sweet Strawberry
口づけのように甘い
苺を食べている
私は思い出す━━あの日の口づけを
いとしい あなたのことを
やさしくなりたい
やさしい人でありたいと
常々私は思うのだ
笑顔が見たい 皆の
ダイアモンドのように輝く笑顔が
高鳴る胸
この胸の高鳴りは何ぞや
この胸の高鳴りは何ぞや
恋に落ちてゆく時のような昂奮を
感じながら━━言葉を紡いでいる
ニュースを見て
もう誰にも 泣いてほしくはない
戦争のニュースが私の心に穴を開ける
もう誰にも 泣いてほしくはない
あの人らを 抱きしめてやりたい
空を見て
秋晴れのひと日
スカイ・ブルーのインクがこぼされて
あたり一面青くひかる空
ああ 私は生きている 生きているのだ
Kiss
肩を抱き 甘く長い口づけを交わす時
私はこのひとに所有されている
という喜びで一杯になる
それゆえの キスの後の微笑
ラフォルグ讃歌
難解だ ヴァレリーより余程
然し彼の詩は私を夢中にする
見え隠れする厭世主義と言葉遊びの魔法
ラフォルグの詩はひとつの神秘だ
空虚
時折 空虚な思いが
私のバケツを空にする
しかし 私には詩がある
書くことで 私は再びバケツを満たすだろう
赦す
赦すことで 過去の悪い思い出に
区切りをつけることができよう
ああ 私はすべてを赦そう
冷酷に去った人びとさえも
終曲
私は上手く詠えているか
気になることではあるけれど
詠える今に感謝しよう
私を詩人たらしめる今に
(2023.10.24)
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