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隕石から太陽系ができたときのことを想像する

 学生の最初の研究で、隕石の断面の顕微鏡画像をデータ化して、鉄ニッケル鉱物の面積を測って粒径分布を作成していました。この作業が面倒くさくてラクしたかったことから、プログラミングを始めました。画像をコンピュータに読み込ませて、自動で粒径分布を計算させます。自動化すると、単にラクになるだけでなく、それまでやる気も起こらなかった量の計算ができるようになり、質的にもずいぶんよくなります。
 ところで、日本は世界で最もたくさん隕石を持っています。国土が狭いのに不思議に思いませんか?実は、南極の昭和基地の方が隕石を採取してくださっているのです。隕石には、鉄やニッケルなどの金属でできている隕鉄、石でできている隕石、鉄と石がまざったものがあります。隕鉄は地面に落ちても他とは成分が違うのでわかりやすいですが、石でできているとそれが隕石なのかどうか発見しにくいですよね。ですが、南極の氷の上に石が落ちていれば、それは高い確率で隕石なのです。また、南極の氷は常に移動していますから、氷を掘り起こして隕石を採取してくださっているそうです。このように苦労して持ち帰ってくれた貴重な隕石を、大切に磨いたり分析したりして太陽系、地球がどうやってできたのかに思いを馳せていました。
 また、隕石の多くには、球体の美しい結晶が含まれています。コンドリュールといいます。これを含む隕石のことをコンドライトと言います。顕微鏡で見ていると飽きずにずっと見てられます。球体の結晶は、地球上の岩石にはほとんど見られません。どうして隕石には大量に含まれているのか。当時の研究では、無重力だからという意見と、雷のような強烈なエネルギーで一気に溶けて、急速に冷やされたから、という意見がありました。そこで、石が溶けるほど高温に熱した管の上からサンプルを落下させて疑似的に無重力に近い状態で結晶化させたり、溶接で使う電気アークで石を溶かしたりして、再現を試みました。これで卒論をまとめました。

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