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Q[13]:つくっても消えてしまうなんて寂しくない?

 ソフトウェアは残らないからこそ、別の形で残すようにしています。ブログやプログラムを公開することで他の人に伝えて、発展させてもらうのもいいですし、可能であれば論文や特許という形で残すのもいいでしょう。特に公開された論文は永遠に残りますし、数年経ってから突然、注目を浴びることもあります。
 また、情報は出せば出すほど入ってきます。惜しみなく出すべきだと思います。イマドキは検索して出てこなかったら、世の中に存在しないのと同じようなものです。情報の発信量と流入量に関しては、SNSでつながりが多い人ほど情報が入ってくるとも言われています。有名人などがハブになり、その友達の友達を辿っていくと、世界中の人と6〜7人で繋がるそうです。これをスモールワールドといいます。是非みなさんもハブになってください。
 ハブになっているかどうかは、どれだけネットワークに繋がっているか(次数)などの値で示します。また、ハブにどれだけ近いかを示す、エルデシュ数という数もあります。20世紀でもっとも多く論文を書いたと言われる数学者ポール・エルデシュと直接、論文などの共著がある人のエルデシュ数は1、エルデシュ数1の人と共著がある人はエルデシュ数2、というように定義される数で、現役数学者の大半は6から7以下だそうです。私は数学者ではありませんが、学生の頃、エルデシュ数2の人と共著論文を書いたことがあるので私のエルデシュ数は3になります。特に離散数学やコンピュータサイエンスの研究者は、エルデシュ数3以下の人が多いそうです。
 ところで、サー・トマス・ブラウンは『壺葬論(こうそろん)』の中で、「人々の記憶の中に残りたいと願い、落ち着かず心を乱すのはほとんど時代錯誤の虚飾であり、古びた愚行の現れとしか思われない」と述べています。300年前に時代錯誤って言われてしまっていますが、やっぱり本心では人々の記憶の中に残りたいものですよね。たとえ何かを残せなかったとしても心を乱さず、古びた愚行だった、と達観することにしましょう。

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