見出し画像

博士課程で再び認知科学実験のプログラミング

 大学の頃にお世話になった先生が、近くの大学に転勤されてきて、いい機会なので博士課程に入学させていただきました。仕事をしながら、週に1回くらい通って研究を始めました。やはり認知科学系のテーマです。学部生や大学院生と一緒に、文献を読んだり実験を始めました。
その研究室では、昆虫や動物の群れなどの行動を分析していたのですが、人間はどうか?という疑問がわいてきました。果たして人間はまっすぐ歩けるのか。歩けるだろうと思う一方で、とんでもなく方向音痴なエピソードもよく聞きます。
 そこで、コンピュータ上に3次元の仮想的な迷路を作り、矢印キーで操作しながら、なるべくまっすぐ進んでもらう実験のソフトウェアを開発しました。単純な迷路ですが、右折・左折しながら進んでいきます。どのくらい曲がったのか、人間はどの程度把握しているのかを調べることになります。結果は驚くぐらい惨憺たるものでした。全然覚えてない。この実験は学部生2人の卒業論文のテーマとしてまとめられました。
 では、実際の街区では人間はまっすく歩けるか?と思いますよね。あまり地元の人以外は立ち入ることがない、複雑に入り組んだ住宅地で、こちらの方向に進んでください、と指示します。目的の方向にまっすぐ進める道はないので、仮想的な迷路と同様、左右に曲がりながら進んでもらいます。仮想空間ほどひどくはありませんでしたが、ゴールと認識していた方向は、-90度から90度まで広くばらついていました。最終的に真逆の方向に歩いて行ってしまった人もいました。この実験も、次の年の学部生の卒業論文のテーマになりました。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?